聞いてみなければ解らない！人物インタビューシリーズ 第28回
『岐阜県上海事務所 谷口 真里子 首席代表 インタビュー！』2015/8/31
岐阜県上海事務所
谷口 真里子 首席代表
● 企業支援はもとより、中国人向けの観光PRにも積極的に取り組む
● 日本語教師から岐阜県庁入庁、女性初の県事務所代表として上海へ
（弊社インタビュアー）（以下弊社）
日本の中央に位置し、「清流の国」として知られる岐阜県。その上海事務所で1996年の設立以来、初の女性代表として赴任され、女性ならではのご苦労を経験しつつ、企業の販路開拓支援、観光誘客支援等に精力的に取り組んでおられる谷口真里子首席代表にインタビューしました。
◆◆◆ 【企業支援だけでなく、中国人向けの観光PRにも積極的に取り組む】 ◆◆◆
（弊社）
岐阜県上海事務所の活動内容についてお聞かせ下さい。
（谷口代表）
当事務所は1996年に岐阜県から中国へ進出されている企業支援を目的に設立されました。主な支援内容として、見本市への出展サポート等の販路開拓支援、海外の事情調査、海外情報の日本側への発信、岐阜県人会事務局の運営などを行っています。他には、岐阜県の観光誘客課が中心となって観光誘客支援も行っています。
（弊社）
岐阜県からの進出企業は、どの様な業界からが多いですか。
（谷口代表）
岐阜県には、繊維、陶磁器、紙、機械金属、土木、プラスチック、食品の7大産業があり、中国への進出企業の業界は多岐にわたっています。なお、昨年の6月からは、上海高島屋さんの6階に岐阜県産品を取り揃えたコーナーができ、中国人の方に向けて岐阜県産品を積極的にアピールしています。
（弊社）
中国人観光客の誘致への取り組みを教えて下さい。
（谷口代表）
県としては観光誘客にも力を入れており、観光誘客課が中心となり訪日旅行の促進に取り組んでいます。岐阜県には空港がないため、上海事務所では中国の方々向けにＰＲする際に空港を所有する近隣県や中部、昇龍道という枠で連携を図りながら観光客の誘致活動を行うこともあります。日本の観光では、東京と大阪を結ぶゴールデンルートがありますが、このルートから少し足を延ばして頂くと岐阜県があります。JRさんの周遊きっぷ、名鉄さんのセントレア空港から小松空港を結ぶ高速バスフリー乗車券が利用開始となってからはさらに岐阜県へ訪れやすくなりました。
（弊社）
ITを活用した情報発信にも力入れているそうですが。
（谷口代表）
県観光誘客課により中国の人気ミニブログ微博（ウェイボー）を活用した岐阜県観光情報発信が行われており、現在のフォロワー数は1万6千人、昨年末は約1万3千人だったので8カ月程で約3千人増加し、その数は今も増え続けています。
（弊社）
すごい勢いですね！何か特別な宣伝活動はされていますか。
（谷口代表）
特別な宣伝活動は行っていませんが、日々の情報更新やフォロワー対象に岐阜県への旅の魅力を紹介する県主催イベントを年２回程度開催するなどの地道な対応を続けています。また、中国国内の方々に岐阜県の魅力を伝えるため、中国のメディアやブロガーを招へいして視察・取材を行っていただき、雑誌やブログ上に本県に関する記事を掲載していただいたりしています。最近は実際に岐阜県を旅行される方も増えてきており、個人の口コミも影響があると思います。着任した当初は、個人の方からの問い合わせはほとんどありませんでしたが、フォロワー数が増えるに従い、旅行社はもちろん、個人の方からの問い合わせも増えてきました。
（弊社）
どの様な問い合わせですか。
（谷口代表）
岐阜県へはどうやって行けばいいか、中国語は通じるかなど、漠然とした質問が多いですね。最近は個人の方からの問い合わせも増えており、実際に旅行されるという方にはパンフレットをお渡ししたり、場合によってはご説明させていただいたりということもあります。サービスの域ですね（笑）。さすがに数が多くなるとそこまで対応することは難しいですが、今の時点では、少しでも岐阜県のPRに繋がればと願い、出来る限りの対応をさせていただいています。また、そのような方々には微信・微博で岐阜県の情報や旅行の感想を発信していただくことをお願いしています。
（弊社）
岐阜県を訪れる中国人観光客の方は増えていますか。
（谷口代表）
谷口代表） 県内宿泊数は確実に伸びています。また、同じビルで働いている中国人の方が岐阜県観光のパンフレットを取りに来られるなど、関心が高まっている事を実感しています。2013年の赴任当初は、飛騨高山や白川郷を知っているという方にお会いすることもそれほど多くなかったのですが、最近では岐阜県の観光地を知っているだけでなく、実際に訪れたという方の話を耳にするようになりました。
（弊社）
岐阜県は江西省と友好提携を結ばれています。どの様な交流活動をされていますか。
（谷口代表）
日中友好岐阜県議員連盟が江西省を訪問したことをきっかけに、岐阜県と江西省の交流がはじまりました。１９８８年の友好提携締結以来、県・省間の交流から市町村・民間まで友好交流が拡大し、２５周年を迎えた2013年には江西省代表団、岐阜県代表団が相互訪問しました。江西省は、自然豊かで農業も盛んです。花卉関係や林業の分野において研修生の受け入れや、専門家を派遣するなどの技術支援交流も行っています。その他、これまで青少年交流や文化交流などにも取り組んできました。
◆◆◆ 【日本語教師から岐阜県庁入庁、女性初の県事務所代表として上海へ】 ◆◆◆
（弊社）
谷口代表のご経歴をお聞かせ下さい。
（谷口代表）
大学卒業後、ニュージーランドで大学の"ビジネス・ベーシックコース"等に1年程通いました。帰国後は、日本語教師になるために東京の日本語学校で日本語教師になるためのカリキュラムを受講しました。この時に四川省成都市で初の重点学校が設立されるという事で、香港の日本語学校校長からお声掛けをいただき同校へ赴任することになりました。これ以上言うと、年齢がバレちゃいますね（笑）
（弊社）
赴任先の学校ではどうでしたか。
（谷口代表）
希望に胸を膨らませて赴任したのですが、契約期間満了を待たずに日本へ帰国する事になりました。教育に対する考え方の違いなどが主な原因です。当時はまだまだ若く、理想主義的なところがあったので、見解の相違を受け入れる事ができませんでした。
（弊社）
その後、日本に帰国されて岐阜県庁へ入庁されました。岐阜県庁に入庁されてからはどの様な業務をされていましたか。
（谷口代表）
入庁当初は国際交流センターで国際交流関係の業務に携わり、その後、商工労働部や秘書業務、教育委員会などで様々な業務を経験させていただきました。
（弊社）
様々な部署を経験された後、２０１３年に上海事務所へ派遣されることになりましたが、辞令を受けて率直な感想はいかがでしたか。
（谷口代表）
それまで県上海事務所へ派遣される職員は皆男性だったので、自分に務まるだろうかという不安はありました。特に、私自身が性別を意識していないにも関わらずどこへ行っても“初の女性代表”と言われてしまい、良くも悪くも目立ちますし、男性と比較されてしまうというプレッシャーはありましたね。性別を問われることなく業務に真摯に取り組みたいという姿勢は今も変わりませんが、そのようなことで特に１年目は過度な緊張状態が続いていました。
（弊社）
2013年4月のから女性初の首席代表として赴任され、女性ならではの御苦労やエピソードなどがあったと思います。
（谷口代表）
最初にいただいた就業証の性別が男性になっていました。担当官も事務所代表に女性が派遣されるとは思わず性別をチェックしなかったのかも。もちろん訂正して頂きました。他には、様々な面談や交流の場では、通訳と間違われて名刺交換を飛ばされる事がよくあります。（笑）
◆◆ 【一人でも多くの中国人に岐阜県産品や観光の魅力を伝えたい】 ◆◆
（弊社）
県事務所として今後の展望をお聞かせ下さい。
（谷口代表）
岐阜県から進出している、或いは、進出を検討している企業の方々が求める情報を常に収集して発信するなど、皆様のお役に立てる事務所となれるよう一層努めていきたいです。また、岐阜県の優れた県産品の魅力を一人でも多くの中国人の方に知っていただけるよう、販路開拓にもより一層力を入れて行きたいと思います。岐阜県には飛騨牛や富有柿などの美味しい食材や温泉、美しい自然があります。日本観光の際には、岐阜県まで少し足を延ばして訪れていただけるよう今後も岐阜県の魅力を伝える活動にも精力的に取り組みたいと思います。
（弊社）
本日は長時間のインタビュー有難うございました。
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【谷口 真里子（たにぐち まりこ） 氏のプロフィール】
岐阜県出身。大学卒業後、ニュージーランドへ留学。成都市の重点学校で日本語教師を経て、岐阜県へ入庁。入庁後は国際交流センター、商工労働部、教育委員会等を経て2013年4月より現職。
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