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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第58回

『中智上海経済技術合作有限公司 単為民 総経理 インタビュー!』2019/2/26

 

単為民総経理が語る中智の物語、国有企業改革への道を理解する


 

中智上海経済技術合作有限公司
単為民 総経理

 中智の成長は中国の改革開放と密接に関連しています。国有企業改革は長い探求のプロセスであり、単為民総経理は中智の発展、改革のペースが止まることはなかったと語りました。

 中国改革の春―――1979年に改革開放の幕が開き、外資導入と「走出去」戦略の下、国際労務輸出業務は絶えず拡大してきました。1987年に中国国際技術智力合作公司として北京で設立され、主に国際労務輸出業務に従事し、国家の対外サービス貿易と国際労働市場の発展に力を尽くしてきました。業務の拡大に伴い89年に上海事務所を開設し、93年に中智上海経済技術合作公司を設立しました。

 当初、当社は国家科学委員会に属していましたが、2003年の国有企業改革において国務院は国有企業の経営や制度等を監督管理するため、国有資産監督管理委員会(以下、国資委)を設立しました。国資委は、中央国資委と地方国資委に分かれており、中央企業は中央国資委に、地方国有企業は地方国資委に属しており、中智公司は、中央国資委直属の企業になります。

 2015年末には、国有企業改革が更に推し進められました。そこで中智公司は国資委の改革の方針に積極的に応え、2017年に董事会及び指導グループ(領導班子)を設置して規範化する調整を決定し、それに伴い社名を「中智上海経済技術合作有限公司」へと有限公司に変更する事を正式に発表しました。現在、中智上海公司の董事会は7名で構成されており、そのうち4名は国資委から派遣された社外董事で、残り3名は社内の幹部から選任されており、すべての重要事項は董事会の決議を経て決定されます。もちろん当社の株式は国家が100%所有しています。

 

お客様のニーズは、中智サービス発展の道標

 中智上海は93年の設立以来、創業時の単一労務輸出サービスから、現在では人的資源全方位アウトソーシング、コンサルティング、研修、ヘッドハンティング、国際業務等のサービスに発展しています。また、さまざまな投資国のお客様向けにサービスを提供する専門サービスチームを育成し、オフラインの手動操作から現在はオンライン及びオフラインのモバイル端末等の多様な形式のサービスまで、絶えず変化するお客様のニーズに応えるために、常に新しい業務を開発しています。

 多くの外資企業が中国での事業を継続的に発展させながら、中国国内の多くの地域に分公司を設立しています。そして上海が中国の本部となり、十数か所あるいは数十か所の異なる地域の分公司に対し投資や人材サービスを提供する必要があります。お客様は、中智上海公司を通じて中国全土の分公司に対しソリューションを提供することができます。中国の特殊性として具体的な政策の実施において地域差があることがよく知られていますが、企業の人事部や財務部にとって、すべての分公司の所在地の情報を把握することは非常に困難です。中智上海公司は、中国全土に90の支店と300以上の受託機関を有しており、外資企業が投資する全ての地域をカバーしているため、中智上海のサービスをご利用いただければ、異なる分公司のニーズに容易に対応することが可能です。

 また、欧米企業や一部の日系企業にとって、ハイエンド人材を獲得するための主なチャネルはヘッドハンティングサービスとなっており、ヘッドハンティング業務の分野にまだまだ拡大の余地があるものと考えています。

 近年では、より多くの外資企業が人事財務管理システム、情報セキュリティ、グローバルなシステムの統合等に大きなニーズを持っています。中智上海では既にISO27000認証を取得しており、今年は米国でも認証を受ける予定です。

 さらに当社は100人以上のITエンジニアを擁しており、お客様のさまざまなシステム要件に対して対応することが可能です。お客様は、当社にとって最大の財産であり、お客様のさまざまな新たなニーズは当社の業務発展の道標です。

 

人材と組織について

 昨年の10月に第一回目となる「世界著名企業青年人材発展上級フォーラム」が上海で開催されました。このフォーラムは、共青団上海市委員会と上海市普陀区人民政府の主催、中智が運営を引き受け、中国で活躍する世界500強の外資企業の経営トップを招き、人材発展と人材管理について話し合いました。フォーラムの午前中には、上海市副市長が出席する外資企業のハイレベル非公開会議が開催され、市委事務局の最新政策が共有されました。800人以上が参加したこのフォーラムにおいて、市委副書記と各業界の著名外資企業のCEO達が交流を深め、改めて上海がグローバル人材の優勢地であることを示しました。

 中国の人口ボーナスを人材ボーナスへ移行することが出来るかどうかという問いに対し、単総経理は、ここで言う人口はただ人件費が安いことをいい、能力に対する要求は低く、それに対し人材は全く異なります。つまり、現場管理人材でさえ、ビジョンと能力を持っている必要があります。近年、益々多くの人々が、中国本土人材と外国人人材を問わず、中国での適応状況が年々向上していると感じています。そのほか、中国では毎年多くの大卒生や留学生、さらには業界で豊富な経験を持つ海外からの帰国者がいるため、人材プールには依然として大きな優位性があるといえます。もちろん、中国の領土は広く、地方の特色が強く、そして人や文化の習慣も多様です。企業は現地の市場や慣行にも対応する必要があるので、人材競争が激しい中国市場でマッチする人材をいかに獲得するかは、最終的には企業自体の人材計画能力にかかっています。


インタビュー風景

 中智上海の人材管理制度について、単総経理は非常に率直に述べました。中智は国有企業であり、その制度には幾つかの制約があります。現在2,000人を超える従業員は未だ人材管理において、ある程度の年功序列制度になっています。我々は前向きで卓越性を追求する企業文化を継承していますが、それでもやはり論功行賞を行わなければなりません。この点について単総経理は、ほとんどの日系企業よりもっとはっきりしていると考えています。例えば、当社のBDチームの業績は売上に偏っています。近年、当社では優秀な従業員(アイデアもヤル気もある社員)を奨励し、彼らにより多くのリソースを提供するために、いくつかの表彰制度や、社内公募制度等を特別に制定しました。


中智上海経済技術合作有限公司
単 為民 総経理

 インタビューの中で、単総経理は、小陳という若い従業員を紹介しました。彼は2年間にわたり「智签宝」を研究し、グループ賞を受賞して昇進昇級を果たし、会社はプロジェクトを製品化するための人的資源とリソースを投入しました。さらにいくつかの新規事業の管理職に対し、単総経理はイントラネット上で全従業員を対象に公開公募を実施することを奨励し、より多くのベンチャー精神を持つ従業員が出てくることを歓迎しており、会社は従業員の創業に投資することを希望しています。しかし残念ながら、これまで積極的に公募に応じる従業員は少ないと述べました。会社の人材構築のため、単総経理は、責任感や胆識があり、よく学ぶ若い人材を惹きつける事ができると述べました。若い人材は問題に直面した経験が少ないため、ジョブローテーションを通じて成長させることが必要です。会社の立場からは、彼らがさまざまな職位を経験することを、個人的には、若い人材が勇敢に挑戦することを願っています。また、外資企業での経験を持つ人材が中智上海に入社することを歓迎しています。能力はもちろん必要だが、企業が異なれば制度も異なるので、若い人材は働き方、仕事のリズム、人間関係に順応し、自らを組織に合わせて調整することを学ぶ必要があります。

 

業界を超えた経験とエンパワメント管理の幅広いアイデア

 単総経理の経歴では、三度の業界を超えた転職が国有企業の管理にオープンなアイデアをもたらしたことに話が及びました。上海市で生まれ、85年に高等学校を卒業、父親の影響で北京郵電大学に入学し通信システムを専攻しました。大学の規模は大きくありませんが、通信分野では全国トップクラスの大学ですが、80年代末の上海の学生にとって、別の地域にある大学を選択することは大きな挑戦でした。大学卒業後は、通信エンジニアとして5年間勤務し、社会人のキャリアをスタートしました。中智入社後は貿易部門を担当し、20年に及び中智恒康医療有限公司の総経理として、貿易において多くの国際的な課題を経験し、中智グループにイノベーションを生み出しました。2017年に中智上海の総経理に就任し、中智上海の業務全体を統括しています。貿易分野から全方位の人的資源サービスに至るまで、人事アウトソーシング、給与報酬アウトソーシング、コンサルティング、ヘッドハンティング、研修、国際業務などに多大な労力を投入する必要があります。特にアウトソーシング部門は最も伝統的な大規模セグメントであり、業務センターのマルチサービスコンテンツの詳細な顧客グループは広範囲な地域に及ぶため、業務に精通し管理することで、競争の激しい環境下でビジネスを発展させるためには、いかに自己を乗り越えるべきか?これが今回のインタビューのメインテーマの一つです。

 単総経理は落ち着いて答えました。「これまでの職業経験を振り返ると、多くは少しの積み重ねであり、たくさん学べば、業界が変わっても問題とはなりません。それどころか自分に対してオープンな考え方をもたらすことでしょう。」

 2019年は経済の下押し圧力が大きくなる中、単総経理は、中智上海は2ケタ成長の維持が必須であり、同時に新製品の投入と社内ITシステムの改善が目標であると明確に示しました。

 (インタビューの最後に、単総経理は中智企業倶楽部・智櫻会の社員達に感謝の意を表されました。そして、これまで経営者インタビューにご協力いただいた日本経済界の友人の皆さまに対し深い感謝を述べてインタビューを終えました。)

 

2018年中智日本企業倶楽部・智櫻会
2018年中智日本企業倶楽部・智櫻会
単為民総経理 新春賀詞交歓会挨拶

(左)在上海日本国総領事館前総領事
(左)在上海日本国総領事館前総領事
と(右)単為民総経理

  


2018年中智日本企業倶楽部・智櫻会新春賀詞交歓会
単為民総経理と会員企業代表

 

2018世界著名企業青年人材発展上級フォーラム
2018世界著名企業青年人材発展上級フォーラム
単為民総経理と会員企業代表

2018年「高級管理者養成塾in上海」
2018年「高級管理者養成塾in上海」
単為民総経理 挨拶

  

【編集後記】 

 中智上海は中央企業であり、最も外資企業を理解している中央企業です。

 中智上海は、人的資源サービス企業であり、人を人材に育てる揺りかごです。

 控え目ながら経験豊富、業界を超え勇敢に挑戦する国有企業の総経理、そして中智企業倶楽部・智櫻会会員の皆様を良く理解している国有企業のリーダーです。

 日系企業会員から数多くのご要望をいただき、第58回経営者インタビューは、---中智上海経済技術合作有限公司の特別インタビュー(非日系企業)とさせていただきました。このインタビューを通して、会員企業の皆様が中国企業の発展と企業家について少しでも理解が深まれば幸いです。中智日本企業倶楽部・智櫻会は、中智に根を張り花を咲かせます。重ねて会員企業の皆さまの中智上海公司に対する信頼とご支持に感謝致します。我々は、会員企業の皆様に対して最もマッチしたサービスを提供するため、より一層努力してまいります。


単為民総経理と中智企業倶楽部智櫻会インタビュー参加者