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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 疫病中特別インタビュー

『三井住友海上火災保険(中国)有限公司 邬情 人事行政総经理 インタビュー!』2020/05/28

<strong><font style="font-size:19px">三井住友海上火災保険(中国)のTO DO LIST </font></strong>

三井住友海上火災保険(中国)のTO DO LIST

<strong><font style="font-size:19px">―HRPlusx特別寄稿</font></strong>

---HRPlusx特別寄稿


 

三井住友海上火災保険(中国)有限公司

邬情 人事行政総经理

 

人的資源管理において16年に及ぶ豊富な経験を持ち、人的資源管理の理念を追求し続けている。

自身が率いる人的資源管理チームは、2019年HRoot大中華地区最優秀人的資源団体賞を受賞。

 

◆◆◆ BCP(Business continuity plan)計画の迅速な実施 ◆◆◆

疫情が発生したとき、三井住友海上火災保険(中国)は即座にBCP(Business continuity plan)を発動させた。これは同社が緊急事態に陥った際に発動する計画である。「BCPは三つの「最」優先事項を有しています。まず管理層やHRが何よりも優先するのは、従業員の安全確保、その後に従業員の安全を確保した上での事業展開、政府と歩調を合わせた協力体制と続きます。そして管理チームがこのことを完全に理解しているのは、言うまでもありません。」このように迅速な行動が可能なのは、起こりうる災害を想定して毎年演習を行っているからだと、鄔情氏は語る。

「例えば、上海本社のビルで火災が発生し、設備を何も持ち出せない状況にあって、如何にして支社機構を活用し事業を継続するか?全中国が非常時の状況下に置かれたとき、どのように従業員の安全を確保し事業を継続するか?などのテーマを定め、半日から一日かけて実践演習を行います。演習は、実演者の演技を細部まで決めて行われます。」

BCP計画では、在宅勤務体制をどのように運用するかということについても、十分に議論され演習を行っている。「いざ疫病が流行した後でも、今までの演習を実践するだけでした。在宅勤務の運用は概ね演習の通りで、業務にも特に差し支えはありませんでした。」と鄔情氏は述べた。

 

◆◆◆ 長期に渡るデータ化構想と時代を先駆けた運用 ◆◆◆

疫病が流行する中、在宅勤務の最大の問題は各従業員に事務設備が必要となることだ。三井住友海上火災保険(中国)は一金融機関として、データの安全性を最重要視していた。

「私たちはかねてより社内全体の「デジタル化」に多くの労力をかけてきました。「ペーパーレスオフィス」を全面的に推進した結果、現在社内ではすっかりデジタル化の意識が根付いています。また、四、五年前の段階で既に従業員へマイクロソフト「Surface」などのハードウェアを支給していたので、マーケティング部門や管理層、部門長から従業員に至るまで、モバイルPCを所有している状況でした。」疫病が発生した後の春節期間にもモバイルPCを購入し、全国にいる従業員の自宅へと届けた。これにより、全従業員の90%へ迅速に在宅勤務用のモバイル設備を配置することができたと鄔情氏は述べた。さらに、データや顧客情報の流出など在宅勤務中のデータセキュリティについては、バックステージからの管理システムやIT部門によるハード・ソフトウェア管理を通じて危険性を抑え、業務上の安全を保障したという。


 

◆◆◆ 単純なコストカットより社員の生産性を上げる事が重要 ◆◆◆

疫病により突如経済活動は停止し、多くの企業が生産経営上に深刻な影響を受け、HRはコスト削減や効率化のプレッシャーに晒されている。その様な中でも、同社は従業員の賃金や福利厚生を調整していないという。「通常通り、ボーナスも支給しています。交通費や食事手当などは、就業規則では出勤しなければ支給しなくてもよいことになっていますが、私達はそれも保障しました。実際のところ、お金がいくらかかっても、従業員の会社への共感を失わせてはならないと考えていました。私達は、従業員に対し細かな事までこだわる必要はないと考えます。本当にコストを節約したければ、イノベーションを起こし従業員の生産性を上げることが重要です。」

疫病が流行する中で、人的資源管理がなすべき急務について、「いかにして弾力的な人的資源管理を行い、適材適所によって従業員に最高のパフォーマンスを発揮させ、会社に貢献してもらうか。すなわち、いかにして会社と従業員にとってお互いに良い関係、Win-winの関係を形成するかという点です。」と鄔情氏は語る。

それでは、HRは疫病に対してそのような能力を備えていなければならないのだろうか。「HRは、いつ如何なる状況であっても、業務内容や業務モデル、業務形態を十分に理解した上で、管理職の立場から適切な人的資源方策を実行しなければなりません。疫病の期間中ならば尚更、すべての人的資源管理方策は業務の正常な展開を保障するための力にならなければならないのです。」と鄔情氏はいう。


 

◆◆◆ リモート管理は一時的な命題ではなく、イノベーティブな管理思考 ◆◆◆

疫病の流行は、バランスの取れた権限の集中と委譲や、より柔軟性のある従業員の業務方法など、リモート管理に関する多くの問題や考え方をもたらした。この変化に対応するには、より多くの準備をしっかり進め適応していかなければならない。三井住友海上火災保険(中国)は、人的資源システム上での柔軟性に限らず、良好な管理体系とハードウェアの準備あってこそ、業務上の安全を保障できると考えている。

「疫病流行中のリモート管理の中で、会社側として、未来のフルタイム従業員へのリモート管理とはどういうものかについて考えさせられました。異なる物理的空間で従業員が自主的に働き、自分の時間を管理することで、生産性の向上とワークライフバランスの均衡を目指す、これこそが私達の管理に与えられた命題です。」

また、オフィス空間に対する考え方にも変化が生じているという。「デスクを固定する必要はあるのか?空いたスペースで他のことができないか?スモールオフィスの活用によってコストを削減できないか?思考の転換が多くのイノベーションをもたらす、これは今まさに私達が思い描いている事です。」


【中智からのコメント】

新型コロナウイルスの流行というこれまで経験したことのない非常な災害に見舞われ、多くの企業が困難に直面し、対応に追われましたが、三井住友海上火災保険(中国)は、あらかじめ準備していたBCPの計画通りに対応し、大きな混乱もなく疫情期間を乗り越えられました。今回のインタビューでは、鄔情人事行政総経理に、疫情発生時の対応から疫情後の課題まで、広くHR責任者としてのご経験とお考えを語って頂きました。