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【判例】休憩時間、公道上でダンボール布団に寝ていたダンボール男(2013年3月8日)

案例:

 王さんはビール製造工場の工員である。ある夏の夜、彼は同僚たちと一通り作業を終えたあとの休憩時間急に眠くなり、倉庫外の公道でダンボールを一枚被って眠ってしまった。この時二台のバンが荷物を取りに行き、公道上のダンボールをただのゴミと勘違いして、王さんを轢いていった。王さんは肋骨3本を骨折し、頭皮に裂傷を負った。

分析:

 この案例のカギは労災の定義づけにある。我が国の「工傷保険条例」に明確な規定はないが、「条例」第15、16 条にそれを見出すことができる。いわゆる労災とは、労働者が業務遂行過程において、業務(職務)遂行中に受けた傷害を言う。労働関係、業務(職務)執行、傷害を負ったこと及び業務と傷害の具体的因果関係の4要素をもとに労災か否かを判断する。これらは一つでも欠けてはならないが、出退勤、業務に必要な準備時間、業務の後片付け等は、拡大解釈により業務時間とされる。

 本案件で、王さんが労災に当たらないのは明らかである。何故なら道端に眠っている間業務は行っておらず、また業務の開始、終了に必要な準備を行っている訳でもないので、傷害と業務に因果関係はなく、自己責任ということになる。従ってこれを労災と処理することはできないが、交通事故として運転手に対し相当の責任を追求し、関係規定に従い相当の処理を行うことは可能である。