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【寄稿】“労務派遣”はどこへ行くのか(2013年6月17日)

 先日の第三十回全国人大常委会会議で、「中華人民共和国労働契約法」改正が決定されました。その規定では、労働者派遣は欠員補充を目的として用い、「三性職位」に対してのみ実施すること、;派遣労働者数は槍従業員数の一定割合を超えないこと、違反者及び命令違反者は派遣労働者1人につき5000 10000元以下の罰金刑に処すること、これらが2013年7月1日より施行されることが定められています。

 施行日を目前に控え、使用者、派遣元、派遣社員のこの問題への関心は日増しに高まっています。労務派遣がどう変わるのか、労務派遣は一体どこへ向かうのかが多くの人にとってホットな話題となっています。

1、「労務派遣」はどのように変わるのか

 筆者の理解では、国家労働行政部が間もなく施行する「労務派遣規定」には、以下の規定が新たに変更されています。

   1、労務派遣の定義。「労務派遣とは、労働者を他の使用単位へ派遣することを生業とする使用者が労働者を供給し、直接労働者を使用する使用単位の指揮命令下において労働者を使用する雇用形式を言う」

 「使用単位が他の使用単位に業務を委託したが、委託先の労働者が委託元の管理下に置かれているときは、労働者派遣と見做す」

   2、「使用者」の範囲の明確化。「労務派遣労働者的を使用する使用単位とは、中華人民共和国国内の国家機関、事業単位、企業単位、社会団体、個人経済組織、民間非企業単位及び会計事務所、法律事務所等法で定められた互助組織及び基金を指す」

   3、「三性職位」定義の明確化。「臨時性職位とは6ヶ月を越えない範囲で使用される職位を言う」「代替性職位とは使用単位の労働者が学習、休暇等の原因で一定期間就業できないとき、他の労働者を代わりに使用できる職位を言う」「補助性職位とは、主たる業務を為す職位のために業務を為す、主たる業務ではない職位を指す」

   4、派遣労働者の比率についての明確な規定。「使用単位は派遣労働者の数量を厳格に管理しなければならず、使用単位における補助性職位の派遣労働者数は、総労働者数の10%を超えてはならない」

   5、派遣元と派遣先の労働契約における詳細規定労務派遣単位与被派遣XT工之労働契約作出了諡ニ~的ト薗閨B‘労務派遣元は派遣労働者と2年以上の期間の定めのある労働契約を結び、月単位で賃金を支払う」「労務派遣元は全日制で使用する者以外の労働者を派遣してはならない。但し、労務派遣先は派遣労働者を全日制以外の業務に従事させることができる」

   6、外地への派遣に関する規定。「労務派遣元が外地へ労働者を派遣するときは、賃金、労働条件及び社会保険について、労務派遣元を基準とする。但し、労務派遣元登録地の基準が労務派遣先より高く、かつ労務派遣元と派遣労働者に労務派遣元登録地約定で関係規定を執行する旨約定のあるときは、それに従う」

   7、新法移行期間に関する規定。「この法律が公布される前に成立した労務派遣協議または満了していない労務派遣契約について、労務派遣元の派遣労働者に対する『三性』に該当しないことを理由とする解雇を違法とする」

 「この法律が公布される前に、使用単位における労働契約及び労務派遣協議により使用する労働者の割合が多いときは、人事計画案を所轄の人社部へ提出後、労働契約及び派遣労働協議期間満了後2年以内に法定比率以下としなければならない。法定比率以下ではないときは、新たに派遣労働者を使用してはならない」

   

 遺漏があるかとは存じますが、以上が筆者の抜粋した主な新労務派遣規定です。上に挙げたこれらの規定は、労務派遣元や派遣先の大きな注目を集めており、各使用単位とも「7.1」到来に向けて各方面より知恵を絞って対策を練っているところです。先を見越せば、「労務派遣」の絶え間ない規範化に伴い、「労務派遣」業務は近年内に大きな発展を見ることは出来なくなるでしょうが、では歴史の中で積もり積もった派遣労働者たちをどのように処遇するのがよいでしょうか?これは現在我々に突きつけられている厳しい課題であります。

  

2、「労務派遣」はどこに行くのか

 新労務派遣法では、派遣労働者が従業員全体の10%を超えてはならず、しかもそれを2年以内に達成しなければなりません。業界内で多く討論されている、膨大な数に上る派遣労働者をいかに処遇するかというテーマは、我々が明確に一つの答えを出さなければならない問題です。

(1)、「業務委託」こそが「派遣労働者」比率低下の重要な道程である。

 改正「労働契約法」遵守の為には、膨大な数に上る派遣労働者の数を圧縮する必要がありますが、それには多くの方法があります。

 第一に直接雇用です。現在使用している派遣労働者をテストした後、直接雇用します。つまり使用単位と派遣労働者が直接契約を結ぶのです。但し(特に国有企業において)人員と資本力にそれだけの余力がなければならず、そうでなければ提起すら出来ません。

 第二に人事代理です。使用単位が直接雇用することを前提に、招聘、訓練、社会保険納付、福利、労働紛争を人事会社に代理させます。これでも派遣労働者数を圧縮できますが、人員と資本力に余力があることが前提条件です。

 第三に人員削減です。使用単位が組織の再構築、産業の発展や新技術、新設備(ロボット等)を使用することで派遣労働者数を圧縮できますが、短期間内に実現するのは難しいでしょう。

 第四に業務委託です。我々の身近なところには3つの業務委託があります。一つ目は生活補助で、低価値の生活サービスを行う従業員(清掃、保安、物品管理、食堂など)を外部委託します。二つ目は生産補助で、生産活動の補助的業務(運輸、梱包、輸出入手続など)を外部委託します。三つ目は生産そのものの外部委託です。この外部委託には2種類あり、高い技術を要しない部品加工の外部委託と、企業の生産・作業に直接関わる部分の外部委託です。

 前二者については、ほとんどの使用単位がそれを採用していますが、生産外部委託を採用している企業はそれ程多くありません。それを実現することにより、派遣労働者の数を大幅に圧縮できるのみならず、使用単位のコストパフォーマンスと競争力を大きく高めます。

 「アウトソーシング」は国際的に認知されている先進的経営方式です。どんな企業でも高度な技術や企業秘密は無理ですが、何かしらの業務を外部委託しているものです。富士康公司は厳密に言うと一つの「業務委託企業」であり、アップル、サムスン携帯の生産、組み立てを請け負っていますが、携帯の研究開発や販売は行っていません。典型的な業務委託企業であります。

 筆者は最近、貴州省遵義で開催された全国労務派遣協会の組織する「労務派遣と業務委託の区分と関連性」に関するフォーラムに参加させて頂いたが、参加者は非常に熱心にこの問題について討議を重ねていました。多くの中央企業が、「改正労働法施行に伴い、派遣労働者の数も当然調整しなければならない。しかし調整後、「直接雇用」をもって「労務派遣」人員に替えることは容易な事ではない」と発言しています。一方で人員と賃金の編成を余儀なくされ、一方で競争力を維持しなければならないのです。中石化の人事部幹部は「国外のシェル石油、モービル、DP等の企業収益は皆中石化より高いのは、大量のアウトソーシングを利用しているからだ。牌公司本部には全部で6万人、そのサービス、生産には100万人以上の人間が関わっている。これは我々にとって参考に値する事実だ」と述べています。このことから、業務委託による大量の派遣労働者の『消化』は、必要不可欠な道程であることが分かります。

 遵義のフォーラムでの討論で、今回の労務派遣新法規において重大な改正があったことが分かりました、原文は【派遣と偽装アウトソーシングについての規定】といい、使用単位が業務を他の使用単位に委託し、委託先の労働者が委託元の生産場所で生産施設、設備を用い、委託元がその指揮命令を執っているときは、派遣労働者が委託先から来た労働者に替わったがその指揮命令管理を委託元が行っているときは、労務派遣と見做す、というものです。

 これは重大な修正であり、次のような事を意味しています。まず派遣と偽装アウトソーシングを明確に分け、これで社会の誤解を解いています。更に委託先の労働者が委託元の生産場所で生産施設、設備を用いてはならず、委託元がその指揮命令を執ってはならないことを明白にしています。この修正により「委託生産」の法的障害を取り除き、ある方面への派遣社員が「業務委託」を提供することを可能にしています。

(2)、「業務委託」実施について解決すべき問題

 ある種の「業務委託」が「労務派遣」に替わることができるとはいえ、それは完全な等号で示されるものではなく、また自然に入れ替われるものでもありません。筆者はこれを上手く行かせるために、下記の問題を解決する必要があると考えています。

 一つ目に、委託元は委託先に求める項目と内容、期間、品質、価格、決算、医薬責任を明らかにすることです。委託先は委託元の要求に基づいて労働の成果を上げるもので、成果の為に労働を提供するのではありません。ここの境目が曖昧であったり、目的が不明であったりすると、業務委託は機能しません。

 二つ目に、その求める資質に注意しなければなりません。例えば飲食店なら衛生許可、保安業なら保安資質、銀行・金融業ならば相応の資質が必要です。一般的人材会社では特殊な業務を請け負うことは出来ません。委託したい業務に相応の資質が必要なときは、相応の企業を選択する必要があります。

 三つ目に、税制上大きな調整が必要です。労務派遣の場合は営業税や、差額徴税、すなわち賃金、社会保険、福利を控除した額に税金がかかり、それを納めます。業務委託の場合は増値税を納めます。もし業務委託のコストに労務コストが含まれるならば、とても経営をやっていけません。「業務委託」中「人事アウトソーシング」のみを行う際は、節税対策を同時に行っておくと、お互いにとってメリットが生まれます。据有的省已マ~

 四つ目に、担当部署を明確にすることです。人的資源会社及び「労務派遣」は人社部の管轄です。「業務委託」は商務部の管轄です。では、派遣労働者を業務委託に変更した場合、どのような手続きを取れば良いのでしょうか?派遣労働者を業務委託に変更する際は、政策決定について、常に情報を察知しておかなければなりません。

 派遣労働者の業務委託への転換については語りつくせませんが、上述の問題の解決なしに、話は進みません。なので、我々は日々この問題について考え、調査し、解決と改善を少しづつ推し進め、「業務委託」が国民の利となるよう最善を尽くさなければなりません。