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【判例】早退時の交通事故は労災に該当するか?(2014年5月25日)

【判例】早退時の交通事故は労災に該当するか?(2014年5月25日)

案例:

 2011年6月,徐某はA社で安装工作に従事しており、双方は労働契約を結んでいた。社内規定では、徐某の就業時間は8時から20時となっていた。2011年7月29日19時20分過ぎ、徐某は業務終了後同僚の呉某と共にバイクに乗って退社し、その途中スーパーに寄り買い物をしようとした。19時25分、スーパーの入り口付近に差し掛かったとき、一台の小型バスと衝突し、徐某と呉某は怪我をしてしまった。当日、交通警察大隊は交通事故の調書を作成し、徐某の事故責任を認めた。その後、徐某は病院で右肱骨外侧髁骨折、额面部头皮裂伤、右第二掌骨基底部骨折の診断を受けた。

 2012年1月5日、徐某はA公司の捺印がある労災申請書を作成し、人的資源と社会保障局へ提出した。2012年1月13日、人的資源と社会保障局は「労災保険条例」第十四条第(六)項規定に基づき、この案件を労災と認定した。

 2013年4月、A社は行政訴訟を起こし、人的資源と社会保障局の労災認定の取り消しを法院に求めた。

焦点:

 徐某は合理的な帰宅経路内で交通事故に逢ったと言えるだろうか?

判决:

 国務院「労災保険条例」第十四条第(六)項では、通勤または退社の途中、本人の責によらない交通事故もしくは都市軌道交通、渡し舟、列車での事故による傷害を労災としている。

 被告側は本案件において、第三者である徐某は退社途中に交通事故で怪我を負ったものであり、A社の捺印がある労災申請書を確認した後、事実と上述の法律法規規定に基づきこれを認定したものであるから、全く問題は無いと主張した。

 これに対しA社側は、第三者である徐某は合理的でない時間に、合理的でない場所で交通事故に遭った、と主張した。

 法院は、第三人である徐某が早退したのは労働規律違反ではあるものの、その本質は退社であること、徐某が当日に取った帰宅経路は確かに最短距離ではないものの、スーパーで買い物をするという合理的な生活の必要性があり、最短の帰宅経路からもそれほど離れていないだけでなく、退社後初めに立ち寄った場所であることを理由に、合理的経路を帰宅している途中に遭った事故であると判断すべきとの認識を示した。

 このことから、法院はA社の労災認定撤回の要求を退け、徐某の労災を認めた。

分析:

 我が国の「労災保険条例」第十四条第(六)には、職工が出社もしくは退社の途中、自身の責によらない交通事故に逢ったとき、労災を認定するとある。それでは、遅刻や早退、寄り道があったときも「出社もしくは退社の途中」であると言えるのか、具体的な案例を見ながら分析しようと思う。    

 「出社もしくは退社の途中」には、二つの内容が含まれる。    

 まずは合理的な時間の境界である。職工が遅刻、総体途中に交通事故にあった場合は、遅刻及び早退手続を採ったか否かが具体的な境界線となる。本案件の徐某は安装工で、当日の業務を終わらせた後、許可を得ずに早退している。とはいえ就業時間は間近であり、労働規律違反の範疇であるから、これは退社であると言える。    

 次に合理的な帰宅経路の境界である。合理的な帰宅経路とは、職工が社会通念を逸脱しない時間に、使用単位から自宅まで帰宅する合理的な経路を言う。もし職工が出社途中に朝食を摂ったり、退社途中に買い物をした場合でも、出退社の途中であると見做される。本案件の徐某は退社後バイクで帰路に着いているが、最短距離での帰宅ではなくとも、生活に必要な合理的行為の範囲内の行動であり、事故に遭った場所は会社を出て最初に立ち寄った場所であるから、退社途中の合理的な帰宅経路上にあるとするのが妥当である。    


        寄稿 --- 中智HR 法律諮詢部