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【寄稿】南通地区企業の賃金管理現状分析(2014年8月27日)

【寄稿】南通地区企業の賃金管理現状分析(2014年8月27日)

 南通地区企業の賃金管理現状分析

     長江デルタの経済成長に伴い、南通地区も蘇州、無錫に続く日系企業が集中する地域となっている。南通地区で2013-2014年度企業賃金調査を行い、一万件近くのサンプルデータを収集した結果、南通地区企業の賃金管理にはある特徴があると結論付けた。本編では、2014年上半期の南通地区各企業における賃金水準及び賃金管理の特徴を述べる。

(一)南通地区の賃金上昇率は長江デルタ企業の平均水準を上回る

    収集した長江デルタの主要12都市における、2014年上半期の賃金上昇率に関するデータによれば、長江デルタ企業の平均賃金上昇率は9.4%であったのに対し、南通地区企業の2014年上半期賃金上昇率は10.1%であり、長江デルタの平均水準を上回っている。

    また、南通地区日系企業の賃金上昇率は10.5%、欧米企業が8.9%であったのに対し、一部中国国内の大型企業では賃金上昇率が9.9%に達しており、外資系企業の賃金上昇率を追い越す趨勢が見られる。これは、中国国内企業に将来の企業を担う人材を引き寄せる力が身についていることを示すものである。

    南通の日系企業は、確かにその平均賃金上昇率こそ欧米企業や国内企業より高いが、この一例をもって南通地区日系企業の賃金水準が他企業より高いとは言えない。賃金水準の高低には賃金上昇が関係しているものの、より重要なのは賃金調整の基数及び業種別の賃金水準を分析することである。我々は、以降も当コラム内で各業種における賃金管理の特徴とその問題について分析を加えていくつもりである。

    南通地区最低賃金基準の上昇率は12%で、南通地区企業の平均賃金上昇率より高く、将来企業が人事コストの削減に力を入れていくことは自明の理である。

    賃金水準では、マーケティング、営業販売の賃金が相対的に高く、販売総監の年収は税込30万元を越えており、一般的な営業社員の年収も税込6万-12万元の間に位置している。人事など管理職の賃金水準も穏かに上昇しており、平均上昇率は年8-10%で、人事経理、財務経理など管理職の年収は平均税込16万-19万元となっている。

    我々は今後、当コラムを通じ、顧客ニーズに沿った南通地区主要職位の賃金水準情報を伝え、合理的な賃金管理のお役に立ちたいと考えている。

(二)離職率及び離職原因分析

     南通地区企業離職率はここ数年増加する傾向にあり、2012年の離職率が10.9%だったのに対し、2013年の離職率は14.8%、2014年の離職率16.2%に上っている。一般的には、従業員離職の主な要因は、賃金福利、キャリアアップ、家庭的要因、仕事の強度、人間関係、企業の将来性、奨励制度、企業文化の8つに分かれる。

     調査の結果、我々は南通地区企業従業員の離職には、賃金が低い(市場競争力が無い)、業績考課においてインセンティブが少ない、昇進機会が無い、という三つの大きな要因があることを割り出した。この離職原因の分析により、我々は,南通地区企業の賃金管理における問題点を推察することができる。

 ★企業が外部市場の賃金データを軽視しているため、企業内の賃金水準が外部市場全体の状況から逸脱して低くなっている。

 ★企業内の業績考課制度が合理性を欠いており、業績によって差が生まれにくくなっている。非科学的な平均主義によって従業員への奨励性が薄れている。

 ★企業内に昇進制度が無く、キャリアの「頭打ち」が発生し、結果能力の高い従業員を慰留できなくなる。

     これらの賃金管理に関する問題について、企業の組織設計、賃金体系設計及び業績考課制度設立の三方面より検討を加えることは、南通地区企業にとって大きな価値があると思われる。

     上海では更に多くの人的資源会社、例えば上海外服、Normstar、万宝盛華等全てが伝統的業務からアウトソーシングサービスの領域へ進出しています。複合型企業を打ち立て、不敗の地に立つべく努力を続けているのです。

     アウトソーシングサービスの発展は、我が国の経済発展に欠かせないものとなっています。人的資源サービス企業はこの機会をもって、新たな分野へ大胆に進出し、企業の成長のために新天地を創造しているのです。

長江デルタ企業賃金上昇率
長江デルタ企業賃金上昇率

南通地区企業離職原因分析
南通地区企業離職原因分析

  


        寄稿 --- 弊社専属中国人アナリスト 陳潔イ