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【寄稿】上海市労務派遣規範化へ 行政担当部署「若干規定」を策定(2014年12月05日)

 「全国人大常委会中華人民共和国労働契約法改正における決定」(以下、決定)を完遂するため、人社部は「労務派遣暫定規定」(以下「規定」)、「労務派遣行政許可実施方法」(以下「許可方法」)を施行しました。これを受けて上海市行政管轄部署では、同法執行における具体的な「若干規定」を策定しています。

一 法定比率を越える労務派遣従業員の調整及び新たに労務派遣従業員を使用する際は、行政への報告が必要となる

 規定では、規定実施前に使用する派遣従業員の割合が全従業員の10%を越える場合、使用者は「規定」施行日から起算して二年以内に法定比率まで引き下げなければならない、としています。使用者は「規定」に基づき労働者の使用を調整し、派遣従業員比率の引き下げ計画とその期限を明確にした上で、その実施計画を就業場所所轄の地区及び県の人社部へ提出しなければなりません。法定比率を越えない使用者で、生産経営活動上の必要性から新たな派遣従業員を使用するときは、雇用計画により派遣従業員の割合を減らす旨を行政所轄部署へ報告する必要があります。

第二 労務派遣許可を更新しないか撤回する、または許可を取下げられた労務派遣事業単位は、労務派遣従業員との労働関係を慎重に処理しなければならない

 「許可方法」「総務派遣行政許可実施に関する関連通知」などの規定では、労務派遣事業単位が要件を満たせず「労務派遣許可証」を更新できない場合、許可を撤回する場合、及び許可を取下げられた場合であっても、労務派遣従業員との契約が満了するまで労働者を雇入れ、社会の安定に努めなければならないとされています。

第三 同一労働同一賃金原則監察を厳格化する

 派遣先単位は「決定」の同一労働同一賃金規定に基づき、同じ業務に従事する派遣従業員と正社員に対し同一の賃金を支払わなければなりません。

 同一労働同一賃金の原則を遵守しない派遣先単位に対しては、人社部より期限付きの改善命令が出されます。もし期限を過ぎてもなお改善が見られないときは、人社部より「労働保障監察条例」に基づいた処罰が下されます。

第四 規定で定める補助性職位の範囲を遵守しなければならない

 派遣先単位は「派遣規定」に則り、労働組合総会及び従業員全員による討論によりその方案と意見を提出し、労働組合及び従業員代表大会の平等な協商により派遣労働者を使用する補助的職位の範囲を確定した上で、全体に公示しなければなりません。

 補助的職位の範囲を定めない派遣先単位へは、人社部より期限付きの改善命令が出されます。もし期限を過ぎてもなお改善が見られないときは、人社部より「労働保障監察条例」に基づいた処罰が下されます。

第五 労務派遣従業員の労災事故は確実に処理しなければならない

 労務派遣従業員が上海市の使用単位で労災による傷害に遭った時は、労務派遣事業単位がその地区、県の人社部へ労災を申請し、労災による労働能力検査など労働者の労災保険受給に関する責任を果たさなければなりません。派遣先単位は労災認定の確認調査に協力し、また国家及び上海市労災保険規定に基づく使用者の支払うべき労災保険金及び物価スライド分の費用についても責任を負うことになります。

 市外の労務派遣事業単位で上海に支社が無いときは、上海市の派遣先単位が当該地区及び県人社部へ労災認定申請書を提出し、国家及び上海市労災保険規定に則り労災保険に関する責任を負わなければなりません。

 労務派遣事業単位は労災認定を受けた労務派遣従業員との労働関係が存在する期間、労働契約を解除することはできません。また、派遣先単位には「上海市労災保険実施方法」規定により、労務派遣事業単位と共に法に基づく一時金を当該従業員へ支払う義務が生じます。当該従業員と労務派遣事業単位が労働契約を解除及び終了するときは、労災保険基金と労務派遣事業単位は労災医療補助金と障害者就業一時金をそれぞれ支払わなければなりません。

 労務派遣事業単位は派遣先単位の労災保険責任について、連帯して損害賠償の責を負うこととなります。

第六 市外の労務派遣事業単位が上海市の派遣先単位へ従業員を派遣するときは、しっかり招聘計画を立て、上海市の基準に基づいて社会保険費用を納付しなければならない

 外省市労務派遣事業単位が上海市内の派遣先単位へ従業員を労務派遣するときは、しっかり招聘計画を立て、必ず上海市の基準に基づいた社会保険費を納めなければなりません。

 上海市外の労務派遣事業単位で上海市内に支社があるものについては、支社にて手続を行い上海市の基準で社会保険を納めます。支社が無い場合は、派遣先単位が手続を行い、労務派遣事業単位に代わって社会保険を納めるようにします。

 上海市外の労務派遣事業単位で、上海市内に支社が無く派遣先単位が社会保険を納めていない場合で、労務派遣従業員が労災保険、医療保険などの社会保険加入を求めたときは、派遣先単位が先行して負担する必要があります。

 上海市外の労務派遣事業単位が、市外戸籍の従業員を上海市内の派遣先単位が設立した上海市外の事業単位当地で働かせる場合は、本条の適用はありません。

第七 保険未納付があったときは、その責任を追求される

 労務派遣事業単位または派遣先単位に未納付があるときは、行政機関は調査を行ったあと、当該従業員分の額を立て替えて支払う。但しこれは同一労働者一人につき一度のみ許されるものであり、同時に責任者は経済制裁及び刑事責任を追求されることとなる。

第八 労務派遣を人的資源アウトソーシングへ転換する際は規定を遵守しなければならない

 労務派遣事業単位と派遣先単位が労務派遣を人的資源アウトソーシングへと転換する際には、労務派遣関連法規による管理方法を改め、人的資源アウトソーシングの性質に則り、直接管理と間接管理の原則を参照しながら合理的な管理区域を定めることで、争いを避けなければなりません。派遣先単位が請負、アウトソーシングの名目で労働者を派遣労働と同じように使用したときは、「派遣規定」により処罰されます。


        (供稿:範本鶴)