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【寄稿】市場経営活動は平穏を保つ --中国の経済成長、適切かつ合理的な範囲内で推移《第3四半期総括》(2014年12月05日)

 2014年第三四半期の全世界経済成長は9月こそ落ち込んだが、四半期の成長率として見れば2010年第二四半期以来の高水準となっている。最新のデータによると、業種別ではサービス業の成長が世界的に目立ち、5ヶ月連続で製造業の成長率を上回っている。国家及び地区別に見ると、安定した成長を続けているのはアメリカ、イギリス、アイルランドなど一部地域に限られている(尤も、これらの国家及び地区においても9月の成長率は落ち込んでいるが)。成長率中位にあるのは、程々の経済パフォーマンスを見せているドイツ、スペイン、日本である。成長に陰りが見え始めているのがブラジル及びロシアで、フランスやイタリアは経済成長がはっきり落ち込んでいる。とはいえ、先行調査のデータによれば、第三四半期の全世界GDPは2010年第二四半期以来の最高水平に達する見込みである。

 最新のデータによると、2014年9月、中国製造業購買経理指数(PMI)は51.1ポイントで、先月の水準を維持している。中国非製造業商務活動指数は54ポイントで、先月より0.4ポイント下落しているものの、3ヶ月連続で54ポイント前後の高い水準を保っており、市場活動が安定した成長体制を保持していることが分かる。

 その主な特徴は以下の通りである。

一、需要と供給のバランスが良く、新受注指数も安定しており、製造業は比較的高い経済指標を維持している。

 時期的なものを見ると、西洋のクリスマス商戦の影響から、第四四半期は外国からの発注がピークに達する時期である。また今年以降世界経済は全体的に改善されており、アメリカ経済は復調しユーロ圏及び日本経済は底から回復しつつある。外需は基本的に安定しており、加えて我が国の輸出利便化政策が段々と定着していることもあって、第四四半期の輸出が大きく成長する可能性は大きくなっている。

二、実態経済が安定成長し、製造業の在庫率が低下している。

 業種別の経済成長を見ると、セメント等非金属鉱物製品製造業や鉄道運輸設備製造業において新たな受注及び生産指数が明確に上昇している。鉱物製品製造業と鉄道運輸設備製造業の新受注及び生産指数は明らかに上昇しており、次期において基礎建設投資が経済成長を下支えする展望を予感させている。

三、製造業企業の経営状況が安定している。

 今までの調査では、受注不足、資金不足、コスト上昇等の問題が製造業企業の生産経営をずっと苦しめてきた。しかし第四四半期は需要の安定した成長に加え、幅広い貨幣政策の効果もあり、受注不足や資金不足に明るい兆しが見え始めている。

四、投資需要が経済の安定成長を支え、建設業の業績回復が明確になっている。

 土木工程建設業の新受注数は三ヶ月連続で伸びており、このことは一部投資プロジェクトが早く進行していることを意味する。中国国家統計局のデータでは、今後新たに行われる施工プロジェクトへの総投資予定額が持続的な回復傾向にある。

五、祝日効果により小売業、物流業が好調を維持している

 小売業の商務活動と新受注指数は昨月に引き続き上昇しており、またその上昇幅も明らかに拡大し、業界の期待指数は高位で推移している。また一方では買い物による物流活動が依然活気を帯びており、優勢業務の商務活動指数は引き続き上昇傾向にあり年内最高値を記録しそうである。これらは祝日の消費熱が依然活発であることを反映している。。

六、不動産業は依然低調で、「書き入れ時」にも往年の活気は見られない

 9月、不動産業の商務活動及び新受注、収益価格などの主要指数は先月と変わらない程度回復したが、その回復力は依然として弱く、各指数もマイナス成長の領域を出ていない。月不動産商務活動、新受注及び収益価格などの主要指数は昨月よりもやや回復しているものの、その回復力は依然として弱く、指数も衰退と言える位置から抜け出していないどころか、昨年同期よりも下落しているのである。不動産業に依然力強さが見られないのは、産業全体にとっての悩みの種である。

 しかしこれと同時に注目しなければならないのは、現在の中国経済においては一定のマイナス要素が存在することである。まず現在の新受注指数が昨年同期の水準以下であること、原材料の購買価格指数が最近2ヶ月に比べマイナス成長レベルにまで下落しており、市場のインフレ圧力は大きくないと表明しているにも関わらず下落したことで企業経営にマイナスの影響を与えかねないこと、小企業の景気感は依然低く、景気回復の基礎はそれほど固まっていないこと、が挙げられる。

 全体的に見ると、第三四半期の中国製造業の平均的成長率は今年上半期及び昨年同期に比べやや高くなる見通しである。非製造業の商務活動指数は依然高い水準で推移しており、安定した成長を見せる市場状況は変わらない。中国第三四半期の経済状況が基本的に安定しており、成長速度も適切かつ合理的な範囲に留まっている事を、データは証明している。


   (撰稿:何愉)資料:中国国家統計局、JPモルガン・チェース