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【寄稿】経済成長は世界的に鈍化 中国経済はやや安定性を増す(2015年1月19日)

 歳末の時期になって、全世界の経済成長鈍化にしてしまった。最新のデータによると、側近の世界経済成長率は14ヶ月ぶりの低いレベルにまで落ち込んでおり、製造業とサービス業双方の成長率が世界的に下落している。国家及び地区別に見ると、最も成長率の高かった国家及び地区はイギリス及びアイルランドであった。アメリカは世界的経済活動において平均水準を上回っているが、ここ半年の成長率は緩やかなものとなっている。中国、日本、インドの経済成長はプラスの位置に居るものの、インドについてはその成長が鈍っている。ユーロ圏の経済成長率は増加しているものの、過去一年半以来最低の水準に収まっており、ドイツで安定した経済成長が見られるものの、スペイン、フランス、イタリアの経済成長は縮小区間に陥っている。この他、ロシアとブラジルで3ヶ月連続の成長率減少が見られている。先行指標を見ると、各業種及び企業の新受注、輸出、就業指標は各国とも弱含みであると言えよう。

 最新の調査データでは、2014年12月、中国製造業購買担当者指数(PMI)は50.1ポイントで前月比0.2ポイントダウン、中国非製造業商務活動指数は54.1ポイントで、前月より0.2ポイントアップと、全体的に落ち着いた状況となっている。データでは、各産業の成長力が弱まる中、特にサービス業のもたらす経済的作用が強まっている。

 現在の中国経済の主な特徴は以下の通りである。

 製造業:中国製造業の経営は未だ合理的成長区間内にあり、新輸出受注数は回復し、輸出は基本的に安定している。業種別では、食品及び飲料、紡績アパレル等で受注数が増加しており生産のピッチも上がっているが、元旦、春節頃にかけ減少すると思われる。非金属鉱物製造業、鉄道運輸設備製造業の新受注数も急速な伸びを見せており、インフラ投資や鉄道建設を急ピッチで進めていることが経済成長に一定の良い影響を与えていることを示している。

 サービス業:サービス業も比較的良いパフォーマンスを見せており、比較的速い成長を維持している状況である。祝日による消費増大という追い風の下、小売業、運輸(郵政)業、住民サービス業が活発な動きを見せており、内需の安定した成長を牽引している。サービス業の持続的成長により、就業率は2ヶ月連続で小幅ながら上昇しており、サービス業が就業の安定にもたらす作用を顕著に反映している。

 注目点は、まず小企業の生産経営活動がはっきり落ちている点である。小企業の生産指数、新受注指数は共に下落している。これは一部小企業における資金難、受注困難、収益困難の深刻化を反映したものである。市場環境に明らかな変化が生じたことにより、企業は自身の調整になお時間を要すると思われるため、経営活動は今後更に下落する見込みである。次に、価格指数及び販売指数が引き続き下落している点が挙げられる。販売価格は6ヶ月連続してボーダーライン下で推移しており、最近一年間で最低の水準となっている。価格の下落、特にサービス業の下落は、2015年にデフレ圧力が強まる事を意味するものである。国際的主要商品の持続的下落もまた、デフレ圧力を強めるものとなるであろう。

 2014年の中国経済を振り返ると、まず中国経済の安定成長傾向が強まったと言えるであろう。これについて、まず価格の面から見ていくと、市場経済にデフレ圧力がかかろうとも、企業経営やコスト削減、利益の増加にとってはプラス材料となる。次に中国経済が転換期へと足を速める中、サービス業が社会全体の就業を支える上で重要な役割を果たしており、経済成長と就業が足並みを揃えるようになっている。業種別に見ると、伝統的な大量の資源消費と汚染を生み出す業種で今まさにPMIが下落している。鉄鋼業界などでは現在内部での調整や改善、アップグレードの最中であり、経済成長と環境保護を両立させる動きが強まっている。

 二つ目に、中国経済の安定性が穏やかに高まっていると言う事が出来る。地区別に見ると、東部、中部、西部及び東北地区の経済成長率から、地域格差の縮小傾向が更に強まっていることが分かる。企業形態別では、国有企業と株式会社、有限責任会社の距離が縮まり、各形態の企業間で差異が無くなって来ている。五、不動産業界が急速に落ち着きを取り戻し始めている。10月、住宅不動産の商務活動と新受注水準はボーダーラインの下に位置しているが、再び盛り返して来ている。借り家制度の定着に伴い、各地の購買制限政策も相まって、住宅不動産の経済活動に一部回復の兆しが見え、徐々に落ち着きを取り戻し始めている。

 2015年の展望について、中国経済は内外に多くの困難を抱えてはいるものの、中程度の経済成長を続けるだけの条件は整っている。その主な点とは、一、「一帯一路(シルクロード)」海外進出戦略を迅速に実施している。二、鉄道、水路等のインフラ整備に対する資本投資の余地が比較的大きい。三、国有企業改革、自主創業の促進、企業革新、市場刺激策などの措置を取っている。四、財政及び貨幣政策などが経済成長の主な担い手となっている。これらのことから、中国の経済成長は今後合理的な成長率を保ちながら、構造改革とモデルチェンジを進めていくものと思われる。


   (撰稿:何愉)データ:中国国家統計局、モルガンスタンレー・チェース