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【寄稿】3つのモジュールを使った人事制度診断(2015年10月29日)

 中智日系企業コンサルティング・チームは長年のあいだ在中日系企業向けの人事制度コンサルティングサービスを提供するなかで、伝統的な日系企業文化に基づき設計されている人事制度では、中国の従業員を管理する時に、「気候風土になじまない」という症状が生じることを発見しました。

 人事制度は企業管理の中で最も基本的な管理制度の一つであり、従業員の引き付け、引留め、激励の効果に直接的な影響を与えます。だからこそ、現行人事制度に対して、一度は全方位的な診断を行う必要があると言えるでしょう。

 一般的には、人事制度診断は伝統な3つのモジュールをカバーしています。即ち、「等級モジュール」、「報酬モジュール」、「業績評価モジュール」という3つのモジュールです。そして、各モジュールに対し、いくつかの角度から診断を行うことによって、企業の現行人事制度の強みと弱みを判断し、人事制度を最適化するための切り口とすることができます。

(一)等級モジュールの一般的な診断角度は下記の通りです。 

 職位設置の分析:企業内部の職位設置の合理性を分析します。管理職位と非管理職位の割合に合理性があるか、管理職務クラスに合理性があるかなどの分析を含みます。

 職位職責の分析:企業内部の職位職責が要求を満たすかどうかを分析します。「職責記述書」には、充実性、規範性及び管理プロセス等の分析を含みます。

 職位昇進の分析:企業内部の昇進プロセスに合理性があるかどうかを分析します。昇進ルート、昇進基準と規則の透明性、合理性及び激励性等の分析を含みます。

(二)報酬モジュールの一般的な診断角度は下記の通りです。 

 報酬競争力の分析:企業の報酬水準と同業界における日系企業とのベンチマーキングを行います。各職務クラスの報酬競争力の分析、各職種の報酬競争力の分析、及び具体的なコア・ポジションの報酬競争力等の分析を含みます。

 報酬構成項目の分析:企業の「現行報酬支給方向(何に対して報酬を支払うのか)」を分析します。各報酬構成項目の必要性、合理性、激励性等の分析を含みます。

 報酬割合の分析:各職務クラス、各職種の固定報酬と変動報酬の割合を分析し、外部同業界のデータとベンチマーキングを行います。

 年度報酬調整モデルの分析:企業の報酬調整率と外部同業界の報酬調整率とベンチマーキングを行います。また、企業内部の報酬調整方向性が外部同業界と一致しているかどうかを分析します。

(三)業績評価モジュールの一般的な診断角度は下記の通りです。

 業績評価指標の分析:業績評価指標の対応性、有効性を分析することによって、従業員の業務表現を客観的、合理的に評価することができるかどうかを検討します。

 業績評価結果の分析:業績評価結果の合理性を分析します。内部の格差を合理的に拡大できるかどうかの分析を含みます。

 業績評価結果の運用の分析:業績評価結果が業績賞与の支給、職位昇進及び年度報酬調整と連動しているかどうかを分析します。

 一般的には、上記の3つのモジュールに対して、いくつかの角度から診断を行うことによって、診断企業の現行人事制度の運用状況を把握することができ、人事制度の改定に必要となる基本的な参考意見を提供することができます。


 寄稿——中智人力資源管理諮詢有限公司 日系企業事業部
コンサルティングディレクター 総監 李 暁青