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【寄稿】世界経済の調整局面にブロック化の傾向あり 中国経済は安定成長への基礎固めが必要(2016年3月3日)

 2015年を顧みると、世界経済は成長率、インフレ率、利率、貿易成長共に低く、あたかも低速車線をふらつきながら運転しているかのようであった。主な経済共同体の経済状況はより後退したと言え、石油等の大口商品価格の下落やドル高が多くの新興資源国へ大きな困難をもたらしている。世界の各主要経済共同体はそれぞれに回復の原動力を捜し求めており、グローバル経済の変化に拍車をかけている。

 2016年が明けて早々、世界経済の成長は引き続き低調な形勢が続いている。最新のデータによると、業種別の景況感では、全世界で全ての業種(※第二次産業及び第三次産業)で 分岐点を超えて伸びているが、その伸びは2014年12月以降(13ヶ月連続で)最低となっている。国及び地区別では、2016年1月の段階で、新興国の経済成長が先進国を軒並み下回っている。ロシアでは、工業生産量が下落すると共に、第三次産業もより縮小している。ブラジル経済は依然急速な減速を続けており、国内総生産も減少している。唯一インドのみ、過去11ヶ月における全ての工業生産に比較的高い成長が見られる。

 また、同時に先進国の成長鈍化も明確なものとなっている。アメリカの経済成長率は連続27ヶ月に渡りプラスとなっているが、その伸びは鈍化を見せている。ユーロ圏はここ4ヶ月で最低の成長率となるほど急速に落ち込み、日本とイギリスは穏かな成長の態勢を見せている。先行指標調査を見ると、世界経済が疲労困憊のまま新たな一年を迎えたことが分かる。

 最新の調査データによると、2016年1月の中国製造業の購買担当者指数(PMI)は49.4%で先月に比べ0.3ポイント下落し、中国非製造業商務活動指数は53.5%で、先月に比べ0.9ポイント下落した。製造業の指数下落の原因には前期の影響を受けたことが挙げられるが、その下げ幅は以前の平均水準を下回っており、また非製造業の下落の原因は資本市場の短期変動によるものである。これは、中国経済が依然安定成長の基礎を固めなければならないことを示すものである。

 現在、中国経済の主な特徴は以下のとおりである。

 一、中国の国内消費が経済成長を下支えする傾向が引き続き強まっている。消耗品関連業種は依然比較的高い成長を示しており、これは内需に大きな潜在成長力を抱えていることを示している。消1月、消耗品関連業種の先行指標指数は製造業全体の平均を大幅に上回った。祝日の後押しもあり、食品及び酒類、製茶、文化教育、体育、娯楽用品などの製造業が比較的高い成長を見せた。

 二、製造業の在庫整理活動は引き続き活発で、市場の需給関係の改善に良い影響を与えている。1月の商品在庫指数は全体的に下落し、ここ数年で最低の水準となっている。

 三、製造業原材料価格が回復している。原材料生産者物価指数は2ヶ月連続で回復し、その回復幅も増大している為、原材料関連企業の経営圧力を緩和している。

 四、製造業全体の就業状況は安定している。製造業従業員指数は小幅ながら回復し、臨界値に近づいている。

 五、サプライ側の改善が利益を生み出している。鉄鋼業の衰退が緩慢になって来ている。

 六、基本的建設活動で安定した成長が見られる。1月の土木工事建設業活動商務活動指数は高い水準をキープしており、投資への安定した基礎を打ち立てている。

 七、国民の消費熱は依然高い。祝日の民間消費牽引効果は顕著で、特にサービス業の主要産業中、小売業の商務活動指数が2ヶ月連続で高い水準を示している。ホテルや飲食業の商務活動指数や新規受注指数も明らかに上昇しており、卸売業の商務活動指数や新規受注指数も全体的に大きく伸びている。

 八、不動産業商務活動指数は下落している。不動産業の商務活動指数及び新規受注指数は2ヶ月連続で下落した。これは、季節的な要因がある一方、不動産業の市場環境が依然として緩いため、政策が市場へ積極的に影響を及ぼすことが原因である。

 新年明けて間もないが、企業の第一四半期業績予測は落ち着いたものとなるだろう。輸入指数、購買指数、原材料在庫指数がそれぞれに下落し、企業は積極的な生産経営活動に及び腰となっている。総じて、現在中国経済が安定成長を見せている事に変わりはないが、なお安定成長の基礎を固めなければならないことは確かであろう。


   データ:中国国家統計局、モルガンスタンレー・チェース