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【寄稿】中智調研4月特集--日系企業現場作業員管理実践調査レポート(2016年4月25日)

 中智調研チームの2016年現場作業員管理実践調査では、製造業と非製造業現場作業員の流動率及び報酬福利管理の実践について調査を行った。本文では欧米企業、日系企業及び中国企業の現場作業員管理の実践における特徴を分析し、日系企業の現場作業員管理における特長の分析及び従業員管理改善の実践方法を探る。

最も有効なお金の使い方-高い技能を持つ人材への奨励報酬に注目

 製造業企業現場作業員の年収を見てみると、日系企業の一般的ブルーカラー(普通藍領)の年収は欧米企業及び中国国内企業より高い。しかし熟練ブルーカラー(高技術藍領)の年収を見ると、日系企業は確かに中国国内企業の賃金水準を超えているものの、欧米企業との間には一定の差がある。市場中位値(P50)では欧米企業が日系企業を11%上回っており、市場高位値(P90)では28%もの開きがある。熟練ブルーカラーは現場作業員のカギとなる人材として、人材の招聘、慰留、奨励の重点となる。賃金水準を見ると、日系企業で熟練ブルーカラーへの待遇改善の余地が見られる。

  

注:ここで言う藍領(ブルーカラー)とは現場作業員を意味する。年収は総現金収入(額面)であり、基本給、各種手当、業績給、時間外手当を含む。

 人材の各種奨励制度をよりフレキシブルに活用すべき 

 現場作業員へのボーナスを設定する上で、全ての欧米企業が月別業績給+年末ボーナスという形式を取っているのに対し、中国国内企業でボーナスを設定している企業は半数に過ぎず、月別業績給を設定している企業は全体の1/4であった。日系企業では、年末にのみボーナスを支払うのが一般的で、月別業績給、四半期及び半年毎のボーナスを設定している企業の割合は其々1/3であった。各種奨励金(皆勤手当、品質手当、特許取得手当)を設定している中国国内企業は70%に達するが、欧米企業及び日系企業ではこれらの奨励金を設定している企業は全体のわずか1/3である。各種奨励金の内訳を見ると、日系企業は比較的画一的で、皆勤手当と技能手当に、個々に品質手当を加えるといった塩梅だが、イノベーションやイノベーターに対する表彰は非常に少ない。これに対し欧米企業や中国国内企業では、より多岐に渡る各種奨励金を設定しており、イノベーションやイノベーターをフレキシブルに表彰している。これには従業員のモチベーションを大いに引上げるだけでなく、コストの削減に非常に有効である。日系企業に対しては、このような各種奨励金を豊富に設定することを提唱する。

 日系企業の現場作業員の手当や福利、職業訓練、キャリアアップ、昇進などのより詳しい情報については、今後中智調研が発表する「現場作業員管理実践調査レポート」を、日系企業の人的資源管理の改善に関する詳細な情報については「人的資源管理の改善及びイノベーション実践調査報告」及び「継続と打破――在中日系企業人的資源現地化管理調査特別レポート」を、是非ご参照ください。


   寄稿——中智人力資源管理諮詢有限公司 人的資本調研とデータサービスセンター