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【寄稿】企業の成長と人材の定着―貴方は従業員の真意を把握できていますか?(2016年10月28日)

 アルファ碁が李世石を打ち負かした昨今(※注)、人工知能の活用やオートメーション化は企業において益々普遍的なものとなっている。しかしどんなアルゴリズムを有する人工知能プログラムやアプリケーションだろうと、伝統的製造業やサービス業から「人」そのものを切り離すことはできない。企業の今後の成長において、機械がその一部分を肩代わりすることはあるだろうが、人材というものは永久に替えの利かない存在なのである。

 企業間の人材争奪戦が熾烈さを増す中、各企業は優秀な人材の招聘や引き留めに心を砕いているが、依然賃金が安い、福利厚生が手薄だ、出世が見込めないといった怨嗟の声を上げている従業員は少なくない。そんな中、企業の管理者たちは違いなく従業員が必要とするものを与えたいと考えているが、彼らの真意が分からない中で、如何にして従業員たちと共に成長していくか頭を悩ませているのが現状である。

 中智の従業員満足度調査研究チームが従業員の企業に対する満足度、業務に対する熱意度、従業員の定着度の三方面から投資国別データを収集したところ、業務に対する熱意度では日系企業が最も低く、中国企業が最も高いことが判明した。なお、一般的には、熱意度が高いほど、従業員の生産性も高くなるものである。


  

 従業員の業務に対するモチベーションを上げる要素としては、熱意度の他に、従業員の企業に対する満足度という指標があることを押さえておかなければならない。満足度は各企業の情況によって異なってくるが、我々が収集した従業員主観による満足度のデータを比較すると、とても満足及び満足と答えた従業員の割合は欧米企業と中国企業でほとんど差異が見られなかったものの、日系企業で比較的低い数字となった。また、普通もしくは分からないと答えた従業員の割合が高いのも、日系企業の特徴である。


  

 満足度の高低は従業員の定着度にも影響を与える。データを比較すると、欧米企業及び中国企業の定着度は日系企業を上回っている。また、離職については、日系企業で1-2年の離職を考える従業員の割合が最も高く、在職中に転職を考える従業員の割合は中国企業が最も高い、という結果となった。


  

 従業員が重視している満足度のエッセンスは各種企業によって異なるが、日系企業の場合、従業員はキャリア(昇進)プラン、現地化、賃金体系、企業文化などにより注目している。

 従業員の思考回路を理解し、管理職として従業員の真意を把握する為には、企業内部をあらゆる角度からチェックしなければならない。従業員を企業の未来に関与させ、その発展のために様々な意見を出させることで、企業は従業員と共に成長していくことができるのである。

 (※注:アルファ碁はGoogleが開発した囲碁プログラム。李世石は韓国の著名な囲碁棋士)