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【寄稿】福利厚生の見方と提起(2016年12月1日)

 仕事に忙殺され自身の生活を顧みることすら出来ない社会人にとっては、夢の世界か、あるいは会社そのものが「家庭」なのかもしれない。このような状況はハイテク企業で特に日常の光景となっており、新たなプロジェクトが舞い込んで来ると従業員は不眠不休を強いられ、毎日数時間の睡眠しか取れない。そのために、シリコンバレーのエンジニアの男たちは、シンプルな生活を送っている。彼らは毎日同じTシャツとパンツを履いて全てを仕事に捧げ、会社は従業員の健康のために、また会社の価値を高めるために全力を尽くす。だからペットや子供同伴の出勤や個別化された快適なオフィス、シャワーや休憩室など、最新の福利厚生はシリコンバレーから生まれる。いわゆる福利厚生とは、従業員により良い仕事をさせ、また従業員の仕事以外の生活ニーズを解決する為のものであるべきである。

 現在よく見られる福利厚生とはどんなものか、と問われる会社もあるだろうが、実際福利厚生は会社の種類や地域、形式によって各社共まちまちである。例えば製造業では年末年始に工員達へ商品券をプレゼントしているし、年に一度の健康診断もひょっとしたら楽しいものかもしれない。しかしハイテク企業のエンジニア達を満足させるには、数枚の商品券では不足なのである。我が国では、いわゆる福利とは法定福利と企業福利を含む。法定福利は国の法律に則ったものだが、従業員に言わせれば、より関心があるのは法に定められていない部分なのである。法によらない福利厚生はフレキシブルで、どれだけのお金をかけるかは会社側が自由に決められるが、肝心なのは従業員の奨励や慰留に有効なお金の使われ方がされているかという点である。

 それでは、福利厚生の最も優れた点とはどのようなものであろうか?フレデリック・ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)によれば、福利厚生とは典型的な保健要素であり、短期間ではある程度の従業員への奨励効果しか認められないものの、従業員の慰留により強い効果を発揮するものである。もし多くの人にあるべき福利厚生がなければ、従業員は労働組合へ駆け込むかも知れないが、従業員の心を揺さぶる福利厚生を提供することができれば、従業員の好感度を大幅にアップさせることができる。今年、中智諮詢调研中心は福利調査を行い、主に現在よく見られる福利厚生について調べたところ、80%の企業で健康診断や誕生日、結婚、出産時の祝い金などを実施している事が分かった。この他、春節祝い、商業保険への加入、休暇の付与、社員旅行などが福利厚生としてよく見られた。


  

 先に標準的な福利厚生について述べたが、多くの企業では自社の実情を反映させたオリジナルの福利厚生を打ち出している。コンピュータが一般的な業務ツールとなり、皆が長時間パソコンの前に座っている現在、従業員の運動不足と健康の問題は企業が直面する課題の一つだが、そのような中従業員と会社が共に成長するために、会社側が健康に関する福利厚生を用意することが段々スタンダードになりつつある。以下は、従業員の健康に関する福利厚生をまとめたものである。


  

 当然、従業員の健康に関する福利は、福利厚生のほんの一部に過ぎない。福利厚生は元来フレキシビリティなものであるから、他社のものを真似て設定すれば良いというものではない。自社で福利厚生を設定するときは、会社全体の予算や従業員のニーズ、企業外部の福利情況などを鑑みながら行わなければならない。まず自社の福利厚生の情況を自己診断し、併せて福利項目に関する従業員の意識調査を行った上で、企業外部の福利状況などを総合して設定するのである。福利厚生の目的は賃金の補充であり従業員の慰留であるから、福利厚生が従業員のニーズに叶っているか否かは非常に重要なファクターである。また、実情全ての人に合う福利を設定するのは難しいという問題点について、多くの大企業は弾力的な福利モデルを用いることで対応している。福利厚生のコストを抑制したいときは、従業員受けの良い福利を採用するのも一つの良い方法である。