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2018年中国健康雇主コンテスト参加企業 優秀案例紹介・富士フイルム(2018年10月23日)

  
(中文版)
  

 内容来源:姚遠氏 | 人力資源部•部長 | 富士フイルム社

 原文: 健康大业

限りある予算の中で、如何に健康管理を

 富士フイルムのオフィスへ足を踏み入れたとき、会議室から楽しそうな笑い声が聞こえてきました。笑い声の後に白熱した議論の声が鳴り響き、それはまるでブレインストーミングのようでした。尋ねてみて初めて、これがブレインストーミングではなく、新人研修であることを知ったのです。

 「富士フイルムは、『マイホーム文化』を強く提唱しています」富士フイルム人力資源部の姚遠部長によると、新入社員が入社したとき、すなわち「家門」を潜ったときから、同社の健康管理は始まっているのです。姚遠部長は、「富士フイルムは、企業の文化的核心や価値観をもって従業員の最も重要な、そして会社が(従業員のために)最も力を発揮できる小さな突破口を探し出します。そこを入念に深く掘り下げ、ゆっくりと従業員の健康をあらゆる方面からサポートするのです」としている。

01認識が最優先、最も重要なポイントにコストを費やす

 コストが逼迫する中で、実施したい、又はしなくてはならない健康に関するプロジェクトというものは非常に多く、多くの企業が健康管理に頭を痛めています。これは富士フイルムも同じです。

 「限りある予算の中で、まず私たちは問題点を洗い出します。また、常に新しい試みを行えるよう、迅速に総経理へ解決案を提出し、予算がつけば機会を見て実施するようにしています」。姚遠部長は問題を発見すると、適切なソリューションを前面に打ち出すようにしています。予算は限られていようとも、健康管理への意識、そして改善の意識は常に前面に出す。このことが最高決定者へ影響を与え、問題を最終的に解決するためにとても良いのです。

同時に、HR部門は内外の大量の健康診断調査分析を行います。姚遠部長は、特に社内調査の部分で従業員の健康への考え方やニーズを収集し、その結果をまとめた上で、緊急度に合わせて当年度の具体的な健康管理計画案を立案しているのです。

「意識最優先」を堅持しているために、富士フィルムでは早くに実行可能な最先端の考えを実施することができ、また富士フイルムの人的資源チームは、如何に限られた予算を駆使して有効な手を打つか、という「富士フイルムメソッド」を見出すことができるのです。

もし全てに十分な準備ができないときは、プライオリティを置き、重要度と緊急度に応じて、重要なところにコストをかけます。

例えば、プログラム開発部主管のフィードバックから、ある従業員に多大なストレスを与えているとすれば、そこには心理的な問題が存在していることがわかります。プログラム開発部は高いストレスに晒される部門なので、HR担当者は常日頃から従業員たちを観察し、メンタル面での健康状態を改善しなければなりません。部門内のメンタルに関わる問題を解決するためには、会社側は解決のための資源をこの部門へつぎ込み、併せて部門内に奨励賞や報奨金制度を作る必要があります。こうすることで、彼らに価値を共有しているという感覚を持たせることができるのです。更に、1年間に2回チームを組織し、チームの協力関係を促進すると同時に、彼らをプラスのエネルギーに晒すことで、心身のバランスを保ちます。これらの「ストレス解消」手法により、結果的に部門内が活力に満たされるのです。

02小さな突破口と緻密な健康管理

健康診断はどの企業も企画している健康管理プロジェクトですが、毎年これに費やすHR部門の時間は大変なものです。

しかし、彼らに言わせれば、毎年恒例で実施している健康管理プロジェクトで、コストが有限であったとしても、常に真のニーズを求め、最も適したソリューションを探し求めなければなりません。そして、健康へのニーズの発見は、小さな突破口から始まるのです。

富士フイルムの健康診断は男女を分類するところから始まり、その後核心的人材を慰留する必要から、核心的人材へ特別な健康診断を施すようになりました。更に、女性従業員から乳腺検査などを求める声が大きくなったのを受けて、女性向けの健康診断項目を追加しました。……フレキシブルな健康診断の他に、健康診断を受ける時期も弾力化しており、決められた時間に健康診断を受けていたのが、「受けたい時に健康診断を受ける」形態に変わっています。例えば冬場の健康診断を避けて、夏に受けたいと思えば、夏に健康診断を受けることができるようになりました。従業員の自由度が上がるにつれ、健康診断の受診率も90%以上に達しています。

健康診断が弾力化したからと言って、富士フイルムの健康診断計画が役目を終えた訳ではありません。むしろ始まりであると言えます。

健康診断後は従業員一人ひとりの結果をアーカイブ化し、データを蓄積するとともに、第三者機関からのレポートをもとに各ルートから(健康に関する)アナウンスを発していく、これこそ、富士フイルムが健康診断で重きを置いてきたポイントです。

「健康診断をして結果を見せるだけでは、実のところ大して従業員の助けになっていません。なので、私たちは健康診断後に信用ある病院の専門医に健康診断の報告書を見てもらい、従業員が自身の健康状況をより詳しく知り、診断後の健康増進のために役立てられるようにしています」富士フイルム健康診断責任者の董穎琦氏はこのように話しています。

富士フイルムは、健康診断は常時行うべき事だが、常に同じ事をしている訳ではない。従業員に合わせて常に調整を施すことで、真に従業員の健康と病気予防の一助となる、と考えているのです。

03全ては会社の文化的核心を源とする

富士フイルムが施す多くの健康管理措置は、同社の企業文化に強く支えられています。富士フイルムは健康管理のモットーを明確にしている訳ではありませんが、企業の核心的価値観が従業員の心に深く浸透しているため、健康管理に関する指導が十分に為されているのです。

人材観。富士フイルムは人材を非常に重視しており、核心的人材のためにより多くのコストをかけたいと考えています。富士フイルムでは、良好な業績を持続して発揮している人材や、いかなる職位であっても代替不能な人材は、全て核心的人材とみなしています。

責任意識。富士フイルムでは「従業員に対する会社の責任」を常に追求しており、従業員一人ひとりに対して責任を負っています。逆に、会社の責任意識が従業員へ伝播することで、従業員も自然と会社のためにより努力するようになるわけです。

品質の追求。今年84歳を迎える富士フイルムですが、商品やサービスのクオリティのみならず、従業員の質にも力を入れています。従業員全員が健康や仕事において、末永く最高のクオリティを保てることを、心から望んでいます。

相互扶助をモットーとするマイホーム文化。富士フイルムでは「相互扶助」を提唱しており、マイホーム文化「we are family」を強調しています。また、ヒューマンケアへの努力を重ね、従業員が仕事の焦燥に囚われないようにしています。

認識に始まり緻密に事をなす。富士フイルムの健康管理は、会社自身の特徴の中で成長を続けています。

Q & A

Q:富士フイルムが最初に健康管理を推進しようと思った動機は何ですか?また、なぜ健康管理の推進を堅持しているのでしょうか?

A:富士フイルムでは「品質保持と相互扶助」を企業文化としています。この中の「品質」が指し示すのは会社の商品のみならず、「人」すなわち従業員をも含むのです。人のクオリティには「能力的素質」と「身体的素質」があります。私たちは従業員の「身体的素質」を重視するからこそ、会社設立の数年後から年一回の健康診断を実施しているのです。

毎年従業員の健康診断を行っていると、私達は毎年新しい注意すべき事項に出くわします。例えば、ある時は頸肩部の疾病に罹った従業員が多かったり、またある時は大気汚染の影響で呼吸器疾患が多く見られたり、営業販売員には三高(高血圧、高血脂、高血糖)の傾向があり、またホワイトカラーの受けるストレスは日増しに増加しており鬱病のリスクも高まっている等−−私達は、健康管理を持続推進し従業員の健康を確保することで、企業を大いに発展させることができると確信したのです。

Q:どのようなプロセスで健康管理の計画、実施、改善を行っているのでしょうか?

A:富士フイルムでは「現場力」すなわち全ては現場から始まり、従業員や現場の視点から問題を考え、解決していくというやり方に重きを置いています。これは健康管理も同じです。私たちはまず従業員へ会社の健康管理計画への意見を伺い、これに企業理念や企業戦略を掛け合わせて、使用可能な(コストなどの)資源を定めます。その上で、これを最大限に最適化する方法を考え、効率的に運用するのです。

新しい健康管理計画を発案したとき、私たちはイノベーティブな計画を試すこともあります。しかしいわゆるイノベーションとは、先入観を打破する概念であり、つまり固定概念の外にある計画を行う事になります。なので、人的資源部門のスタッフは常々自問自答を行い、自身に何度も「Why」や「What」を問いかけます。各職位の健康管理に共通項目は無いか?どうすればそれぞれの職位に合った健康管理が出来るのか?なぜかつて利用したことのあるサプライヤーが、最も適したサプライヤーだと言えるのか?新たに出現したサプライヤーに競争力があるとは言いきれないのではないか?人的資源部門として各従業員に合った健康管理計画を立案できているのか?……絶え間ない自分自身との会話の中で、私たちは新たなインスピレーションを得ているのです。