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2018年中国健康雇主コンテスト参加企業 優秀案例紹介・ キヤノン(中国)(2018年10月29日)

  
(中文版)
  

 内容来源:栄奕文氏 | 人力資源副総経理 | キヤノン(中国)

 原文: 健康大业

 午後2時半、パソコンと睨めっこして業務に没頭するキヤノン(中国)の従業員は、突然パソコンの画面内に現れた動画に椅子から蹴り出されました。その動画には、赤い帽子を被り、首に赤いスカーフを巻いて、両手に花束を持ってカウボーイダンスを踊る小澤秀樹CEOの姿があり、続いて出てきて踊っていたのは、キヤノン(中国)各部門の主管たちでした……

 この「強制的業務中断」は、キヤノン(中国)の健康管理活動の一つで、「Flash mob」と呼ばれるものです。CEO自らが音頭を取る「Flash mob」ですが、これこそが、キヤノン(中国)の健康管理に対する態度と行動を代表するものなのです。今回は、そんなキヤノン(中国)の情熱あふれる健康管理の実践をより詳しく見ていきたいと思います。


01「健康第一」の健康戦略

 キヤノン(中国)の緻密かつ効果的な健康管理は、キヤノン(中国)の「健康第一」戦略に大いに役立っています。

 まずは、キヤノン(中国)の健康に対する見方を見ていきましょう:

 •病気と災難は忘れた頃にやってくる!

 •健康は空気ではない、あって当然だと思ってはならない!

 •健康管理の責任を他人へ押し付けることはできない、自身の健康には自分で責任を負わなくてはならない!

 •「人事を尽くして天命を待つ」、情熱的な姿勢とチャレンジ精神で毎日の仕事や生活にいそしむこと!

 •健康はあらゆる地位や名誉、財産に勝る、かけがえのないものである。健康を失ってから悔やんでも「時すでに遅し」である!

 •何事にも努力すべし、但しくれぐれも無理をしすぎてはならない!

 •「無事是名馬」、どれほど有能でも健康を失っては長く仕事を続けることができない!

 •適度な飲食と十分な睡眠で胃腸の健康を守り、適度な運動を行うこと!

 •いつでも積極的に明るく、前向きなスタンスを心がけよう!

 •どんな時でも微笑み、笑い、Big Smileを忘れずに!

これがキヤノン(中国)が定める「十大健康準則」です。「健康が全てを優先する」という価値観が、行間に溢れています。これを見れば、CEO自ら健康体操を踊るのも何ら奇妙なことではない、という事がお分かりいただけると思います。キヤノンでは実際一貫して「健康第一」に重心を置いており、キヤノン(中国)も1997年の設立以降この優れた伝統を継承し、今日に至るまでその核心を守ってきたのです。

2018年、健康が社会や個人にとって重要視されるようになるにつれ、キヤノン(中国)も再び核心的理念を提唱するとともに、「健康第一」を戦略レベルに引き上げました。これにより、健康管理全体が再編成され、それが企業の成長の一助となったのです。

「健康第一」の企業戦略の下、キヤノン(中国)では健康管理体系が徐々に確立されていきました。健康文化全般、健康と安全の管理、予防保健、健康知識の普及と伝播の四大項目に、十数項目の小項目からなる健康管理を従業員へ実践させ、これに「キヤノンの独自文化」が加味され、精彩溢れる健康管理が行われるようになりました。

02随所に浸透する健康文化

「健康第一」を戦略レベルに引き上げたことが、キヤノン(中国)の健康管理に大きな成果をもたらしました。企業文化に派生した健康文化が広まったことが、職場へ良い雰囲気をもたらし、企業戦略実施の有効な武器となったのです。

情熱(Passion)を特長とする営業販売型企業では、健康は最も基本的な素質と見られています。

「赤の情熱」で有名なキヤノン(中国)では、各人が常に心に情熱を満たすよう提唱されており、健康への理念もこれに従い浸透しています。キヤノン(中国)にはある伝統があり、新入社員が入社すると、女性は赤いシルクのスカーフを、男性は赤いネクタイを受け取ります。従業員は重要な場面で、この「情熱」を体現するものを身につけるのです。また、毎週月曜日を「情熱の月曜日」と銘打ち、従業員は出社の際に必ず赤いものを身につけておかなければなりません。「赤い情熱」の文化に溶け込むことで、従業員は過ぎ去った日曜日に別れを告げ、新しい一週間の始まりに精神を奮い立たせ、仕事モードへと帰っていくのです。

また、朝方の30分間には「あいさつ活動」を展開しており、交流と健康、笑顔への意識を呼びかけています。これは、各部門が「笑顔」という手札を持たせて代表者を送り出し、代表者は各階の別部門の同僚たちへ挨拶するとともに、自分の所属する部門の進捗状況や新商品、知識を伝えるというものです。このような活動を毎日行うことで、社内の雰囲気がリラックスしたものになっていくのです。一つの「你好」、一つの笑顔が、各従業員へ同僚との交流や笑顔を促すのです。形のないものが、健康的な業務環境を生み出し、従業員の心身を健全なものとしているのです。

キヤノン(中国)の管理者に言わせると、従業員の心身の健康は必要不可欠なものなのです。小澤秀樹CEOがかつて語ったように、「自身の健康管理もままならなければ、会社を管理することなどできない」のです。それゆえキヤノン(中国)における人材の資質モデルには、心身の健康が一定の比重を占めているのです。心身の健康を失うということは、キヤノン(中国)では昇進の道が限られたものになることを意味するのです。

また、キヤノン(中国)は、管理者は自分自身のみならず従業員の健康についても責任を負わなければならないとしています。健康管理は、部門長の責任によるものです。なので、キヤノン(中国)ではHR部門が健康管理を担当していますが、真に従業員の健康を管理するのは各部門の管理者なのです。キヤノン(中国)の管理者は、業務目標の達成だけでなく、部門内の従業員の心身の健康をも管理する義務を負っているのです。

健康文化が社内の日常行為レベルにまで浸透し、健康管理が特別なテーマから日常へと変化したのは、常にこのような環境にあるからこそです。

これこそが、キヤノン(中国)の健康管理なのです。


Q & A

Q:キヤノンでは、何に基づいて健康管理を推進していますか?

A:「健康第一」は、キヤノングループ全体の経営理念です。あらゆる活動の推進に当たっては最後まで「人間本位」を堅持しており、また健康管理の改善についても討論を重ねています。

Q:今までの健康管理の中で、どのような点が最も困難だったでしょうか?そして、どのように困難を克服したのでしょうか?

A:従業員一人ひとりに健康管理の意義を理解してもらい、またその重要性を意識してもらうために、何度も繰り返し周知した点です。私達は標語や健康活動を通じて、また上級管理者自らが参加して、健康管理意識の増進に努めました。

Q:キヤノンはどのように、独創的な「flash mob」のインスピレーションを得たのでしょうか?また、「flash mob」の効果は?そして、長く行われているこの活動は、組織運営にどのようなノウハウをもたらしているのでしょうか?

A:いつでも心に情熱を、というのがキヤノンの企業文化です。情熱的な音楽とともに身体を踊らせるのは、「デスクにずっと張り付く必要はない」ことを従業員に示すとともに、業務効率の向上につながります。従業員の健康管理プロジェクトというのは、従業員全員のニーズを満たすのが難しいものです。そこで私達はまず彼らが最も関心を寄せる内容から着手し、その実施状況や従業員からのフィードバックを参考に調整を行っています。

Q:キヤノンでは、健康管理と企業ブランドの確立や優秀な人材との間にどのような関係があると考えていますか?

A:優秀な人材は、健康管理を含む強い自己管理能力を持つものです。当社の従業員は企業文化に賛同し、企業とともに成長していきたいと願っています。健康な心身があって初めて、より多くの価値を創造し得るのです。