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【判例】労働者が関連子会社へ派遣された場合、経済補償金の年数はどのように算定するか?(2019年6月27日)

案例:

2013年2月、李氏は甲公司で営業主管職に就き、書面による労働契約を交わした。

2015年9月、会社側は事業展開への必要性から、李氏を関連子会社乙公司へ営業総監職として派遣した。この間の賃金は乙公司から支払われていた。

2018年9月、乙公司は李氏との労働契約を解除し、併せて3ヶ月分の経済補償金を支払おうとした。これに対し、李氏側もまた乙公司との労働関係解除を望んだが、自身が乙公司へ派遣された際甲公司から経済補償金を受け取っていないこと、乙公司への派遣が自身の意思ではないことから、経済補償金は自身が甲公司へ入社した時点まで遡って支払われるべきだと考え、6ヶ月分の経済補償金の支払いを求めた。双方は幾度か話し合いを行ったが、李氏は労働人事仲裁委員会へ仲裁を申請した。

争点:

労働者が関連子会社へ派遣された後労働契約を解除された場合、経済補償金はどのように算定するか?

判決:

仲裁庭は、乙公司へ李氏に対し6ヶ月の経済補償金を支払うよう命じた。

分析:

「労働契約法実施条例」第十条では「使用単位が労働者に因らない理由で当該労働者を別の使用単位で労働させるときは、労働者の元使用単位での勤続年数を別の使用単位での勤続年数に加算する。但し元使用単位が労働者へ既に経済補償金を支払っているときは、別の使用単位が法に基づき労働契約を解除、終了する際に元使用単位での勤続年数を加算しない」とある。

また、「最高人民法院労働争議案件審理における法適用に関する若干問題の解釈(四)」第五条では、このように規定されている。「使用単位が下記の状況の一に該当するときは、『労働者は当該労働者本人に因らない理由で使用単位により別の使用単位へ派遣された』とみなす。

(一)労働者が元の勤務場所、職位にいる状態で、労働契約の主体が元使用単位から別の使用単位へ変更されたとき。

(二)使用単位が派遣及び任命という形で労働者を配置転換したとき。

(三)使用単位の合併、分社化により労働者が配置転換されたとき。

(四)使用単位及び関連企業が持ち回りで労働者と労働契約を締結しているとき。

(五)その他合理的と認められるとき。」

本案件で、甲公司は事業展開への必要性から、李氏を関連子会社である乙公司へ派遣している。この派遣は李氏が自発的に望んだものではなく、また甲公司は李氏へ経済補償金を支払っていないから、経済補償金の支払年数を算定するときは、李氏の甲公司と乙公司での勤続年数を合計して算定する。この経済補償金に関する法律規定に基づき、乙公司は李氏へ6ヶ月分の経済補償をしなければならない事となったのである。