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【判例】事業単位は妊娠中の女性従業員に対し、試用期間中採用条件を満たさなかったことを理由として労働契約を解除することができるか?(2019年9月27日)

案例:

張氏は2018年10月24日某金融企業へ入社し、営業を担当していた。労使双方は2018年10月24日から2021年10月23日までの労働契約を締結していた。うち、2018年10月24日から2019年2月23日までを試用期間と定めていた。

張氏は入社当日「営業代表職位採用条件説明書」に署名していた。そこには、「三ヶ月以内に『累計で融資件数>2件かつ融資額>10万元』の条件を満たせなかったときは、採用条件を満たさないものとする」との記載があった。

張氏は、2018年10月24日から2019年2月23日までの間に融資件数4件、融資額41100元という成績を残したが、2019年1月23日、会社側は張氏が採用条件を満たさなかったことを理由として、張氏との労働契約を解除した。このとき、張氏は妊娠期間にあった。

2019年2月28日、張氏は仲裁委員会へ労働争議の仲裁を申し立て、妊娠期間にあり解雇制限がある中での労働契約解除は無効であるとして、双方間の労働関係の回復を求めた。

争点

使用単位は試用期間中採用条件を満たさなかったことを理由として、妊娠中の女性従業員との労働契約を解除することができるか?

判決

仲裁庭は、張氏の申し立てを棄却した。

分析

「労働契約法」第42条には、妊娠期間、出産期間、哺乳期間の女性に対し本法第40条ならびに41条による労働契約の解除をしてはならないと規定されている。本案件において会社側が張氏との労働契約解除の根拠としたのは「労働契約法」第39条、すなわち試用期間中に採用条件を満たさないことが証明されたときは、使用単位は労働契約を解除できる、との規定である。

張氏が入社した際に署名した「営業代表職位採用条件説明書」には、「三ヶ月以内に『累計で融資件数>2件かつ融資額>10万元』の条件を満たせなかったときは、採用条件を満たさないものとする」と試用期間中の不採用条件がはっきりと記載されている。本案件において、張氏は3か月間の融資件数こそ4件であったものの、融資額は41100元に留まった。件数は採用条件を満たしたが、金額が及ばなかったのである。

会社側が試用期間中採用条件を満たさなかったことを理由として張氏との労働契約を解除したのは何ら不当ではなく、ゆえに労働争議仲裁委員会も張氏の申し立てを棄却したのである。