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【判例】週休一日制の場合、時間外労働はどのように認定されるか? (2020年03月30日)

案例

2014年2月12日、任氏は生活超市(スーパー)と2014年2月13日から2017年3月31日までの書面による労働契約を締結した。労働契約には、スーパー側が標準労働時間制を採用し、任氏を毎日8時間、毎週40時間を超えない範囲で労働に従事させること、少なくとも週に一度休暇を与えることが定められていた。労働契約法第十三条第二項によれば、「就業規則」は労働契約の附則として労働契約と同等の効力を持つ。2014年2月13日、任氏は「就業規則確認書」に署名し、「生活超市就業規則」を受け取った。「生活超市就業規則」第2.4条には、「会社側は、従業員へ勤務時間内に業務を完了させるよう求める。もし会社側の経営及び業務上の必要により時間外労働をするときは、従業員は社内システムもしくは「残業申請書」により事前に申請を行い、併せて上長の審査を受け許可を得た後、人的資源部門へ書類を提出し、勤務時間を算定する。この手続を踏まないときは、これを時間外労働とは認めない。従業員の時間外手当は国家及び社内規定に基づき執行される。もし代休が必要なときは、原則的に6ヶ月以内に代休を消化しなければならない」と規定されていた。

その後労使双方は時間外手当を巡る争議を展開した。任氏は法院へ提訴し、1、2014年3月1日から2015年6月30日までの休日出勤分の時間外手当を支払うこと 2、2014年3月1日から2015年6月30日までの法定祝日12日の時間外手当を支払うことを求めた。任氏は証拠としてシフト表を提出し、休日に時間外労働に従事していたことを証明した。

これに対して会社側は反証として出勤記録を提出し、「シフト表は業務計画書であり、実際には異なる勤務時間で調整することがよくあった。ゆえに従業員の最終的な勤務時間は、実際の出勤記録に基づくべきである。シフト時間のまたぎ方から、任氏の提出したシフト表は完全性、客観性を欠き、実際の勤務時間を反映していない。逆に、電子勤務記録を見れば事実を知ることができる、と主張した。

判決

一審は、「任氏は時間外労働が存在したことを証明する証拠を提出しておらず、また会社側が時間外労働について掌握していたという証拠もない。ゆえに、任氏の求める休日の時間外手当の支払いは認められない」として、任氏の訴えを棄却した。

二審は、「出勤時間についての当事者双方からの陳述から、任氏が週6日出勤していたことは確認できる。具体的な出勤時間は、任氏のシフト表から、5:30〜14:00、6:00〜14:30、10:00〜18:30、14:00〜閉店までと各シフトで細かな差がある。毎日の勤務時間について、会社側はシフト表をただの業務計画書だと主張しているが、具体的な勤務時間を確定できなくても各シフトの勤務時間までを否定することはできない。また会社側は、勤務時間には1.5時間から2時間の食事休憩があったため週の労働時間は40時間を超えないと主張しているが、シフト表には食事休憩の時間が示されておらず、休憩中の従業員の割り振りも記載されていないほか、タイムカードには休憩時間の記録がなく、従業員が交代で食事を摂っていたことは明らかである。従業員の業務が食事によって減らされたわけではないから、会社側の主張する食事休憩時間1.5時間から2時間の食事休憩分の賃金控除は認められない。これらのことから、任氏の週労働時間を週6日、一日の労働時間を8時間と認める」とし、任氏の訴えを認めた。

分析

本案件は、週休一日制度の問題に踏み込んだものである。

事実から見ると、法院は出勤記録及び会社側の規定制度から、毎日の勤務が8時間を超えず、週6日間の総労働時間が40時間を超えないことを証明できなかったとしている。会社側の「食事の時間を労働時間から控除している」との主張は、積極的な事実を主張しているけれども証明責任を果たしているわけではないから、使用単位は立証できなかったことによる不利な結果を被った。その結果法院は、労働者の時間外労働が存在したと認めたのである。

元労働部広東市労働局「職工の就業時間に関する問題への回答書(19970910)」では「職工の就業時間に関する問題への伺書」(穗労函字(1997)127号)に対し、検討の結果以下の回答書が出されている。

「企業及び統一された就業時間制度を実施できない事業単位は、「週休二日制」を実施せず週休一日とし、毎日の労働時間を6時間40分とすることができるか?「労働法」と「国務院職工の勤務時間に関する規定」(国务院令第174号)によれば、我が国では一日8時間、週に40時間の労働時間を基準としており、条件を満たした企業のみが標準労働時間制度を実施できる。業務の性質や生産の特徴から標準労働時間制度を実施できない一部企業については、労働者の就業時間について一日8時間、週に40時間超えないものとし、週に少なくとも一日は休暇を与えることを保証しなければならない」。

この他、一部企業は業務の性質や生産の特徴から不定時労働時間制や総合計算労働時間制を実施することができる。これらを導入しようとする企業は、労働部「不定時労働時間制及び総合計算労働時間制実施企業の批准に関する辯法」(労部発(1994)503号)にその手続方法が定められている。

我が国には、標準労働時間制、不定時労働時間制、総合計算労働時間制の3つの労働時間が存在する。標準労働時間とは、毎週5日、8時間を超えない範囲を労働時間とする。勤務時間総合計算制は標準労働時間制を採用できない場合、週、月、四半期、年単位で総合して労働時間を決定するものだが、その平均勤務時間と平均週勤務時間は法で定める標準勤務時間と同一でなくてはならないのである。