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中智日企倶楽部・智櫻会企業 リンナイ上海を訪問——中国営業販売の新たなビジネスモデルを体験(2018年8月17日)

  2018年8月17日、中智日企倶楽部・智櫻会会員の皆様が、激しい風雨の中リンナイ上海体験館に集い、中智日企倶楽部・智櫻会の企業訪問活動は、円満に成功を収めました。

  今回の講座にはキヤノン、富士フイルム、資生堂、サクラクレパス、ナ・デックス、三井金属、ユージン、ミズノ、みずほ情報総研、アルプス電気、アサツーディ・ケイ、東涇技器、上海クロップ、伯東、日本貿易振興機構等30数社の日系企業営業部及び管理部責任者が来場し、訪問体験講座という新しい活動のもと、中智各会員企業の営業販売成功案件とその実践についてともに拝聴し、探究を深めました。

  

  開講に先立ち、中智日企倶楽部・智櫻会馮串紅部長より今回の活動の主旨について説明がありました。

  「中国市場の営業販売モデルは日々変化しています。在中日系企業は30年余に渡る歴史の中で、中国でのモノづくりから製造+営業販売へと進化しました。また近年では多くの日系企業が2C市場への参入しており、中国本土での熾烈な競争に身を投じています。日系企業のレッテルをいかに薄めていくか、中国での営業ルートを如何に開拓していくかは、多くの会員企業の皆様に共通する課題です。中国市場に根を下ろし、安定した成長を遂げるには、技術や品質の外に、中国市場における営業モデルを理解し、中国人消費者のニーズと消費方式を予見することが特に重要なのです。
今年7月10日、リンナイ中国全国の営業販売責任者である姜穎本部長を本倶楽部へ特別にお招きし開催した半日間のセミナーには、非常に多くの反響が寄せられました。多くの会員企業の方々よりリンナイ社を訪れたいとの要望があったときには、セミナーの成功をこの身で感じ取りました。
ここに、中智日企倶楽部はリンナイ上海様のご協力の下、訪問体験講座を特別に企画致しました。日系企業の皆様に、中国小売業の新たな営業モデルを感じていただくとともに、姜本部長と直接交流していただき、会員企業様の中国ビジネスの一助となれればと思っています。」

  

中智日企倶楽部・智櫻会馮串紅部長

  引き続いて、姜本部長よりリンナイを代表して歓迎の挨拶が行われ、参加者へ体験館の概要とコンセプト、体験館の責任者などについて説明しました。

 参加者の見学を引率したのは、リンナイ上海大区総監の賀晨氏でした。体験センターが従来の家電デパートや京東天猫との違いは、水もガスも電気も使える、という点です。リンナイの商品について言えば、ガスが通っていない商品はただの模型であり、商品の性能を十分に味わえないのです。体験センターでは、他にもスマート給湯器や暖房システム(中国の「住宅に合わせた加湿暖房、放熱機能)、台所システム、輸入商品などが展示してありました。

  

リンナイ 姜本部長

  見学を終えた後は、厨房体験の時間です。リンナイ体験館の原莹店長は、参加者たちへ専用に作られた日本式のエプロンを配り、60後から90後に至るまでさまざまな年齢層の参加者たちは料理をしながら、創意工夫に富み扱いやすく、操作が簡単で緻密なリンナイの商品に感心した様子でした。厨房用コンロは全て日本製で、価格も決して安くはなく、中国のガスコンロ市場においては中国のブランドがシェアを占めており、リンナイの新たな販売ルートの開拓は、困難を極めたはずです。

  この体験を通じて、消費者は新しい生活様式を学んでいったのです。リンナイガスコンロは創意と技術の賜物であり、その蓮のような炎で焼いたステーキの味は格別なものであったでしょう。また、その炎で作った目玉焼きトーストは、多くの80後や90後に急速に伝わることとなったのです。

  日本の総経理と中国の若い従業員が一緒に食事を作る。この雰囲気は日本の高級管理者の皆様へ体験館の意義を十分に知らしめたことでしょう。熾烈な競争が続く中国市場では、本部からの指示で営業ルートを開拓するのではなく、中国消費者の特徴とこの身を探究した上で、中国に合った営業ルートを切り開いていく必要があるのです。

  

  

  

  

  

  美味しい食事を頂いた後、参加者たちはいよいよメインイベントであるリンナイ姜本部長との交流に入りました。姜本部長は参加者の皆様へ謙虚に歓迎の意を表し、「リンナイはまだまだ成長の途中で、足りないところも多い。本日リンナイへお越しいただいた皆様より違った角度からの多くの意見を賜り、リンナイを更に良い方向へ発展させていきます」と述べていました。

  

 現在中国の消費者が日本での消費を好み、日本の製品を爆買いしているのは、彼らがメイドインジャパンの品質に着目しているからだ、とのある企業からの意見に対し、姜本部長は営業販売の視点から、「この現象は私の観点から述べますと、日本や他国で爆買いをする最大の原因は『一種の損得心理』だと思われます。なぜなら、日本や他国で買い物をするよりは、品質保証(※その製品が本物であることを証明できる)のほかに、国内で購入するより安く手に入るからです。また、日中関係の関係改善が、爆買いを助長する作用をもたらしています。」

  

 また別の企業からは、上海以外の場所にもリンナイ体験館を作る計画があるかという質問がありました。これに対して姜本部長は、「中国以外の国ではまだリンナイ体験館を設立していません。現在武漢に上海よりも規模の大きい体験センターがあり、北京では8月に体験センターの定礎式が開かれます。リンナイは華北大区、西北大区、上海大区等各営業エリア毎に体験センターを設立し、2020年までに30箇所の体験センターを設立することを目標として努力を続けています。」。多くの企業から夫々に賞賛の声を頂いて、リンナイ中国営業部は他国営業部の先を行き、リンナイグループの中でも最前線をひた走っています」と回答した上で、「上層部の承認を得るまでは苦難の道でした。しかし、私たちは尻込みする訳には行かなかった。リンナイをより高く、より遠くまで成長させるべく、業績の持続的成長に留まらず、本部とも連絡を密にして中国市場により適応させたいと考えています」と述べていました。

  

  

 更に姜本部長は、「いわゆるオンライン、オフラインの境界線は徐々に曖昧になってくると思われます。Web空間の人間はオフラインで買い物をすることができるし、オフラインの人間がWeb空間で買い物をすることもできる。このことから、リンナイが最もやらなければならない任務とは、オンライン、オフラインを区別して考えるのではなく、双方間を通じさせ、リンナイの商品を必要としている全ての人がリンナイの商品を購入できるようにすることだと考えています。中国の消費環境は日本とは異なりますので、リンナイ上海としてはこのような形で自身の特徴を出しているのです」と語りました。

 今回講座に参加した日本人総経理は、「日本国内のリンナイの販売モデルはB2B方式が主で、デベロッパーと直結していました。なので、消費者自身が購入するには不動産業者のリフォームを待って商品を選ばなければなりません。驚いたのは、中国の消費者に対する宣伝への力の入れ方と宣伝方法で、伝統的な口コミがものを言う日本と比べ、中国市場には様々なビジネスモデルがある、ということです。日本国内のリンナイにも、B2C方式により着目してほしいと感じています。」と感想を述べています。

 最後に、日企倶楽部・智櫻会の馮串紅部長は、「成功企業の模範として、まだ成功を収めたとは言い難い日系企業や、本日ご参加頂いた企業の皆様とリンナイ社の事例を分かち合えればと思います。本日の活動では多くを学び得、また思考を深めることができました。次回8月28日に開催される中日ビジネス異文化講座では、日系企業駐在員の方々の心の声と共感を得ることができるでしょう」と締めくくりました。