聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第5回
『福島県上海事務所 國分所長にインタビュー!』
取材日:2013年4月3日
(弊社インタビュアー)(以下弊社)
2004年7月23日に、中国上海市に福島県初の海外事務所として「福島県上海事務所(福島県産業振興センター上海代表処)」を開設されて以来、福島県政府上海事務所様は福島県と上海市を繋ぐ梯として、積極的に中国との経済交流を促進されています。 さて、皆様、福島県と上海市はこれまでどのような関係構築をなさっているのでしょうか?本日はインタビューの中で福島県と上海市の交流関係をお伺いしています。また、福島県の復興支援対策の状況もお伺いさせていただきます。
(弊社)
本日はお忙しいところ、弊社メールマガジン掲載の人物インタビューを快くお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。 それでは、最初に上海事務所の業務内容をお伺いさせていただきませんでしょうか。
(國分所長)
現在事務所開設後、9年目です。中国から福島への観光促進のためにキャンペーンを行ったり、福島より進出される企業の支援をしております。また、県人会の運営なども担当させていただいております。私は2011年の3月11日に前任者と引継をやっておりまして、まさに地震が起きた当日でした。すぐに帰ってこいと本庁より言われましたが、 福島に戻り着くまで、丸二日かかりました。
(弊社)
それは、大変だったでしょう。どういうルートで戻られましたか?
((國分所長)
成田まではもどれました。しかし、元々予定していた飛行機はキャンセルになりましたので、別の便を確保して成田へまず帰りました。その後あの大混乱の中で帰る手段を確保できなかったのですが、ANAが羽田から福島まで臨時便を出してくれましたので、その便で戻ることができました。空港のカウンターは行列順番待ちの状況でした。
(弊社)
大変な経験をなさったんですね。当時のお気持ちお察しいたします。 それでは、國分所長と中国との出会いのキッカケを教えていただけますか。
((國分所長)
ジェトロ上海に派遣されたのが、2001、2002年でした。最初の中国との出会いはそれがキッカケですね。そこで企業の進出支援の手法などを学んで、その後県庁の商工労働部で長く働きました。そして、2003年から上海事務所の立ち上げの準備をしまして、その後、2004年の7月に上海事務所を立ち上げました。
(弊社)
ジェトロで勤務されていた時は主にどのようなことをなさっていたんですか?
((國分所長)
私は中国に進出される中小企業の相談窓口としての仕事をしていましたので、素人ながら一日5件ほど相談を受けていました。そこでは多くのことを学びました。ジェトロの凄いところはそのような企業情報が全部蓄積されているところです。
(弊社)
すばらしいですね。そしてその経験を上海事務所で今活かされているわけですね。
((國分所長)
いえいえ、まだまだこれからなんですよ。
(弊社)
また、相互交流で所長とは逆に上海から福島に赴任される方はおられますか?
((國分所長)
こちらの上海の方が福島に来られて、働いている方はおられませんが、湖北省の方が県庁に来て、国際交流員として働かれていました。また、我々の事務所は湖北省の方との交流の拠点としての活動も行っております。1994年に湖北省と「人材と技術の交流に関する同意書」を締結し、様々な分野において友好交流を行ってきております。
(弊社)
福島県さんは進出企業への支援を行なっていらっしゃるようですが、いかがですか?
((國分所長)
地震の後も製造業として進出したいという会社が多くあります。そのような福島の企業を県で支援しております。
(弊社)
福島県より進出された企業は現在まで何社ありますか?
((國分所長)
凡そ、大手を含めて120社程あります。当事務所では主に華東地域に進出されている企業を支援させていただいております。県では中小企業の国際化を支援しております。
(弊社)
分かりました。ホームページで拝見させていただきましたが、上海事務所では様々な制度を活用され、企業の支援業務をされていると伺いましたが、内容をご紹介ください。
((國分所長)
福島県内の中小企業の国際化を推進させていただくことが、我々の任務でもありますので、在中国福島県関連企業と福島県企業とのビジネス交流を行い、取引に結びつくようにサポートさせていただいております。また、最近増えている運送業や飲食業の方等サービス業での進出を希望される企業に的確なアドバイスができるような重宝される組織を目指したいと思います。 そのほか、地域経済アドバイザーという制度があり、北京、上海、シンセン在住で中国事情に精通した方にアドバイザーをお願いしています。この制度の特徴は福島県の中小企業向けに中国に関する精度の高い情報を随時提供させていただくサービスで、福島県の県人会などで情報をシェアさせていただいております。
(弊社)
分かりました。残念なことに、今は福島関係の食品が輸入禁止になっていると伺っています。中国国内では今は、福島県産品を食すことはできないのですが、福島に来られる中国人の方にアピールされたい一品は何でしょう。教えていただけませんでしょうか?
((國分所長)
やはり、果物でしょうか。福島ではおいしい果物が食べられます。福島県は果物狩りができる場所が多くあり、また、一年を通して楽しむことができます。もちろん、冬もできます。冬はハウスの中でイチゴ狩りができますよ。これからの4月以降の季節はさくらんぼの季節です。おいしいんですよ、福島のさくらんぼも。さくらんぼと言えば、やはり、皆さん山形のさくらんぼをイメージされてしまうことが悔しいのですが、福島は一番は無いのですが、2番、3番の食べものは沢山あるんですよ。また、いちごは1~6月、さくらんぼは6月~7月、ももは7月~9月、りんごは9月~12月、なしは8月~10月、ぶどうは9月~10月に楽しむことができます。福島でしたら、いつでも果物狩りができますので是非お立ち寄りください。
(弊社)
そうですね、おいしですよね。そして、私個人的には酒が好きなのですが、福島の酒もおいしくて、有名ですよね。福島の酒と言えば何でしょう?
((國分所長)
実は福島の酒は全国新酒鑑評会で金賞クラスの受賞が非常に多い県なんですよ。というのも県のハイテクプラザという研究機関で酒造好適米や福島県オリジナルの酵母を開発しています。酒蔵さんとも一緒になって品質向上に取り組んだ成果と考えています。 どのお酒もそれぞれ特徴があって、どれもおいしいですよ。
(弊社)
是非、今度飲ませていただきます。他の産品もご紹介ください。
((國分所長)
そうですね、有名なのは喜多方ラーメンですね。しかし、喜多方だけではなく、例えば白河ラーメンや郡山ラーメンもおいしいんですよ。他にもラーメン屋など有名なところは沢山あるんですよ。福島のラーメンは醤油ベースでどれもおいしいですよ。そして、喜多方の人は朝からラーメンを食べるんですよ。私が出張に行った時に初めて朝から「ラーメン食べにいきません?」とお誘いを受けた時はこの人何言っているのだろうと思いました。
(弊社)
そうなんですか!喜多方では朝からラーメン食べられんですか!私ラーメン党なんですよ。今後日本に帰る日に「朝からラーメン」、是非堪能してみたいです! それでは、話題を変えまして、大河ドラマでは「八重の桜」が放映されていると思いますが、反響はいかがですか?
((國分所長)
特に会津地方は震災前の観光客の9割近く元に戻ったと聞いています。 そして、今震災から今に至るまでは、風評被害は少なからずありましたが、少しずつ、 観光客も増えて、旅行から戻られて実は福島は安全だということを口コミで伝えてもらっている効果はたいへん大きいと思います。観光客やビジネスパーソンの来福も徐々に以前のレベルに戻りつつあります。中国のお客様は我々行政で示した放射線レベルの数値が問題無いことを提示させていただいても、信じてもらえないのですが、一度福島に来られた方が口コミで福島の安全性を伝えてもらうことは福島にとって、とてもありがたいです。これからも引き続きご支援をお願い申し上げます。
(弊社)
そうですね、日本は国が小さいので中国の方から見ると、日本全体が放射線の影響を受けているように感じられる方もおられるんでしょうね。
((國分所長)
そういうこともあり、福島旅行に行かれる中国人の方に放射線カウンター(放射線測定装置)を貸し出して、実際測ってもらいます。すると、中国と日本で放射線量変わらないじゃないかと分かってもらえます。そして、皆様にその事実を伝えていただいております。私たちの事務所にも2台装置がありますので、ご利用をご希望されるお客さまに随時貸し出しさせていただいております。中国のお客様も福島に行ってみて、子供たちが実際外で遊んでいるのを見たり、警戒区域がどんどん小さくなっているのを確認されたら安心して福島旅行を楽しんでいらっしゃいますね。
(弊社)
特に中国では政府の発表を信じないところがありますよね。ですから、個人の口コミ の力は大きいんですね。そういう意味で福島のPRはございますか?
((國分所長)
そうですね。実は今、福島を含めた被災にあった地区を旅行すると3年間のマルチビザを得ることができるんですね。それを利用して今福島にこられている方は上り調子で増えています。東京から80分で福島に来れますので、是非今この制度をご利用していただいて、福島に是非お立ち寄りください。そして、今PRのためにiPhone用のアプリを開発しておりまして、「福島小旅行+」というアプリですけれども、これで福島県のきれいな景色を見ることができますし、このアプリで遊べるように作っていますので、知らないうちに、福島のことを知って貰えるようにしています。このアプリで福島に興味をもってもらうきっかけ作りをしています。そして、今福島で警戒区域はごく一部です。大多数の方は以前と同じ暮らしをしていますので、安心してきて頂いて福島を満喫してください。是非多くの方に来て、見て、食べていただいて、来福していただいた方全員が福島の親善大使になっていただけるように、われわれも全力で福島ファンをサポートさせていただきます。何卒宜しくお願い申し上げます。
(弊社)
了解いたしました。弊社でも我々の会員の方へメールマガジンの発行を通じて福島の親善大使を増やせるようにお力添えさせていただきます。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。