聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ
『博邁立鋮投資(中国)有限公司 山本 徹 董事長・総経理 インタビュー!』2024/6/15
中智日本企業倶楽部・智櫻会 経営者インタビュー 第105回
技術と製品、人材を磨き続け、新たな価値を創造する
——博邁立鋮投資(中国)有限公司 山本 徹 董事長・総経理
大阪府出身。1988年に大学卒業後日立金属株式会社入社、営業部門に所属し、特殊鋼の販売を担当する。本社および支社でメーカー営業16年、国内外のディーラー営業14年、管理部門の営業本部で4年勤務する。勤務地は大阪、東京のほか、2001年から2004年まで香港、2010年から2014年まで東莞で駐在する。2023年12月から上海へ赴任し、博邁立鋮投資(中国)有限公司の董事長兼総経理兼株式会社プロテリアル執行役員、中国地域グループ会社5社の董事長、4社の董事を兼務している。
2023年1月に日本本社が資本再編により社名を「株式会社プロテリアル」(旧称「日立金属株式会社」)に変更したのにともない、中国法人も、2023年5月に社名を「博邁立鋮投資(中国)有限公司(Proterial (China), Ltd.)」とし、新しい一歩を踏み出しました。同社は1910年の創業以来、モビリティ、産業インフラ、エレクトロニクス関連分野を中心に、高い技術力でユニークな高機能材料を提供しています。今回は、博邁立鋮投資(中国)有限公司の山本徹董事長・総経理にインタビューしました。
◆◆◆ 2023年にプロテリアルとして、新しい一歩を踏み出す ◆◆◆
新しい社名に込められた意味を山本董事長・総経理はこう説明する。「新社名であるプロテリアルは、当社の企業理念を反映しており、“PRO”+“MATERIAL”から作られています。PROが表すのはProfessional、Progressive、Proactiveの3つの言葉で、それぞれに『期待を超える仕事』『挑戦し続ける意志』『主体的な姿勢』という意味が込められています。博邁立鋮投資(中国)は、2005年に設立され、上海を本部として北京、蘇州、広州、大連に分公司を設けており、主に自動車関連、産業インフラ関連、エレクトロニクス関連の製品販売を行っています」
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◆◆◆ 高機能材料を通じて社会のイノベーションに貢献する ◆◆◆
プロテリアルグループは素材メーカーとして広範な産業に高機能材料を提供している。「中国は、世界一の自動車製造大国であることから、自動車関連の売り上げが最も大きな割合を占めており、最近ではEV自動車のモーターやバッテリー、充電設備に使用される素材の供給が増えています。そのほか医療分野にも力を入れており、内視鏡やCTなどの医療機器に使用される部品素材の需要が伸びています」と山本董事長・総経理は話す。
産業インフラ分野も重要な市場の一つである。「当社の製品は、中国の製造業が自動化へと移行する中で欠かせない工業用ロボットの高性能化に貢献しています。また、一度に多くの人々を安全に輸送することが求められる高速鉄道の部品にも、当社の素材が使用されています。このように、私たちの素材を通じて人々の生活をより安全で快適にし、社会や経済の発展に貢献することを目指しています」と山本董事長・総経理は強調する。
◆◆◆ 従業員のための取り組みが評価され、HRoot2023傑出雇用主賞を受賞 ◆◆◆
昨年、博邁立鋮投資(中国)はHRoot主催の「人的資源管理卓越大賞(HRoot Awards)」において、2023年傑出雇用主賞を受賞した。山本董事長・総経理は、「この受賞は、福利厚生や教育研修など、日々の取り組みが評価された結果だと考えています。このような大きな賞をいただくことで、会社全体のモチベーションが高まり、管理部門にとっても業務の励みになっています」と受賞の感想を述べた。
同社は現地化の推進に取り組み、中国籍社員を積極的に幹部に登用している。中国籍管理者の育成には教育研修制度の充実が不可欠である。同社では、大中華圏のグループ全体で11社、約3,000人の社員を対象に、職種や階層ごとのニーズに合わせた研修を毎年5回以上実施しており、昨年は7回の研修を実施した。
社内Well-being活動 |
◆◆◆ 持続可能な社会の実現に向けた取り組み ◆◆◆
安全と環境への配慮にも積極的に取り組んでいる。「プロテリアルグループは中国国内に工場を持つため、社員の安全や健康、環境基準の遵守には特に注意を払っています。安全意識を高めるため、毎週グループの関連会社が参加する各会議の前に必ず安全対応について話す時間を設定しています。その中で、各関連会社が業務の中で気づいた危険な行為などを順番に共有しています。この制度はプロテリアルグループにおいて新たに創設されたもので、普段は見過ごしがちな行為も、他の人の話を聞くことで注意を促し、安全意識を高める優れた取り組みとなっています」と山本董事長・総経理は説明する。
また、カーボンニュートラルを目指して勉強会も開催している。「一昨年から中華圏環境会議を開催しており、今年の10月には第三回の会議を予定しています。プロテリアルグループは、世界の環境保護に貢献するため、カーボンニュートラルを目指して地道な取り組みを続けています」と山本董事長・総経理は話す。
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山本徹董事長・総経理(右から二人目) |
◆◆◆ 9年の時を経て感じる中国の発展と変化 ◆◆◆
山本董事長・総経理は、2010年から2014年まで東莞で勤務した後、昨年9年ぶりに中国へ赴任し、改めて中国の急速な発展と変化を実感していると語る。「生活面では、キャッシュレス化が進み、デリバリーサービスやシェア自転車など、9年前には見られなかったサービスが普及しており、ライフスタイルの変化に驚かされました。ビジネス面では、中国企業の技術力の向上が顕著です。現在、中国企業の技術力は世界で通用するレベルに達しており、当社が競争に勝ち続けるためには、品質や技術力をさらに高め、新たな価値を創造し続けなければなりません。そして、これからも社会貢献を中心に据えた取り組みを続け、持続可能な未来に向けた努力を惜しまない姿勢を貫いてまいります」と山本董事長・総経理は述べた。
中智の感想:
インタビュー中、物静かで落ち着いた語り口の中に、山本様の深い知識と経験が垣間見えました。山本様は博邁立鋮投資(中国)の董事長・総経理を務めるほか、中国のグループ会社9社の董事長や董事も兼務し、大中華圏全体の経営を指揮しています。多忙な日々の中でもオンとオフをしっかり切り替え、休日には語学学校に通い中国語を学ぶほか、読書や音楽鑑賞を楽しんでいるとのことです。3回8年の駐在経験から、中国のビジネス習慣に精通し、中国ローカル社員に対する理解も深い山本様から、中国への特別な愛情が伝わってきました。中智は、日立金属(中国)の設立から、博邁立鋮投資(中国)の現在まで、ずっと人材サービスと会員サービスを提供させていただき光栄に思います。プロテリアルグループの事業が一層の発展を遂げ、より幸福な職場環境が築かれることをお祈りします!
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※「会社名、役職名はインタビュー記事発表時の名称です」