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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ

『上海嘉会国際医院一般内科・呼吸器内科主任 濵元 陽一郎 医師 インタビュー!』2026/5/19

<strong><font style="font-size:19px">中智日本企業倶楽部・智櫻会 特別インタビュー </font></strong>

中智日本企業倶楽部・智櫻会 特別インタビュー

<strong><font style="font-size:19px">「大病リスク」に備える──上海の日本人医療を支える医師の挑戦 </font></strong>

「大病リスク」に備える──上海の日本人医療を支える医師の挑戦

<strong><font style="font-size:19px">——上海嘉会国際医院一般内科・呼吸器内科主任 濵元 陽一郎 医師</font></strong>

——上海嘉会国際医院一般内科・呼吸器内科主任 濵元 陽一郎 医師


 
上海嘉会国際医院一般内科・呼吸器内科主任 
濵元 陽一郎 医師

富山県出身。代々網元として漁業を営む家系に生まれる。聖マリアンナ医科大学を卒業後、医学博士号を取得。国立国際医療センター(現・国立国際医療研究センター)にて研修後、内科および呼吸器内科の臨床診療に従事し、豊富な経験を積む。2013年から2015年まで、カナダのMcGill Universityで客員研究員として喘息の基礎研究に従事。その後、日本の国立病院機構において呼吸器内科部長を務める。肺炎、慢性気管支炎、喘息、COPD、肺結核など幅広い呼吸器疾患を専門とするほか、肺がん診療および臨床試験にも長年携わる。2022年より上海嘉会国際医院の一般内科・呼吸器内科主任医師を務め、現在に至る。

上海で生活する日本人駐在員にとって、海外での健康管理と医療アクセスの確保は、安心な生活を送る上での最重要課題の一つです。日常的な体調管理は比較的身近な一方、脳梗塞や大動脈疾患、がんなど、突然発生する「大きな病気」への備えについては、十分な認識が広がっているとは言い難い。上海の医療現場で4年間、嘉会国際医院にて日本人患者の診療にあたる傍ら、日中間の医療連携の橋渡し役として奔走する日本人医師の濵元陽一郎先生にインタビューしました。上海の医療環境が抱える課題や、同院が推進する国際医療連携、そして駐在員が注意すべき健康リスクについてお話を伺いました。

 

◆◆◆ 上海でいち早く国際医療を担ってきた総合病院 ◆◆◆

上海嘉会国際医院は徐匯区に位置する国際総合病院で、上海初の正式認可を受けた国際病院の一つである。2017年10月に開院し、500床を備え、35以上の診療科、腫瘍センター、婦人・小児医療センター、心臓センター等の臨床卓越センターに加え、外科の24時間365日救急を重点診療科を展開している。外資企業や外国籍駐在員からの信頼も厚く、日本語を含む多言語診療体制を備えている。同院で診療にあたる濵元先生は、中国における日本人医療の現状について、「クリニック中心の医療から、総合病院との連携強化をする必要がある」と語る。

現在、上海で日本人が利用する医療機関の多くは日系クリニックだ。高血圧や高コレステロールなど、慢性的な疾患の薬を受け取る場としては利便性が高く、日本語で受診できる安心感がある。一方で、中国では日本ほど病院間・診療所間の連携が進んでおらず、重症化した際の対応には課題も残るという。

「日本では病診連携や病病連携が当たり前ですが、中国ではまだ医療機関の間の連携が整備中です。普段はクリニックで十分でも、脳梗塞や大動脈疾患など突然の大きな病気が起きた時、日本人にとって公立病院の受診は言語面も含めて非常にハードルが高いのです」

そのため同院では、日本人医師が在籍する総合私立病院として、緊急時や重症患者の受け入れ体制を整備し、日本人駐在員が安心して生活できる環境づくりを進めている。


嘉会国際医院(外観)


中国呼吸器学会で講演する濵元医師


日本語医師チーム

 

◆◆◆ 在員に増える生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群 ◆◆◆


駐在員の受診状況について、20〜30代の若い世代はスポーツ等によるケガが多いのに対し、40代以降になると高血圧や高コレステロール、尿酸値の上昇など、生活習慣病を抱えるケースが増えるという。「血圧やコレステロールの問題を抱えたまま駐在している方は少なくありません。しかも、中国では会社から日本ほど厳しく生活指導を受けないケースも多く、結果として大きな病気につながる可能性があります」

特に目立つのが、睡眠時無呼吸症候群だ。肥満傾向の中高年駐在員に多く見られ、睡眠の質低下だけでなく、高血圧や循環器疾患の原因にもなる。

「日中の強い眠気や集中力低下だけでなく、将来的な脳梗塞や心疾患リスクにもつながります。駐在中は会食や不規則な生活も多く、悪化しやすい傾向があります」


 

◆◆◆ 日本帰国後まで見据えた「シームレスな医療」 ◆◆◆

嘉会国際医院では検査から治療提案までを一貫して行い、日本帰国後も継続治療ができるよう、日本国内の医療機関との連携を重視している。

「駐在員はいつか日本へ戻ります。だから、中国だけで完結する医療ではなく、日本でもそのまま引き継げる“シームレスな医療”が重要です」

こうした考えのもと、同院は近年、日本国内の大規模病院との国際連携を強化している。日本で最初に設立された癌専門病院のがん研有明病院と昨年11月に国際連携協定を締結した。また、日本の順天堂医院 心臓血管外科の田端教授も同院にて講演会を行い交流を行っている。さらに、今年は、南東北グループとも提携し、次世代がん治療「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」分野での連携も進めている。BNCTは、日本国内でも導入施設が限られる先進的な放射線治療で、中国国内でもまだ普及途上にある。嘉会国際病院は、中国側患者の窓口として、日本の先進医療につなぐ役割も担っている。

 

◆◆◆ 本当に困った時に支える医療を目指して ◆◆◆

濵元先生は、日本で呼吸器内科を中心に、救急や重症患者対応にも数多く携わってきた。そうした経験の中で、「患者が本当に困った時に支える医療」の重要性を強く感じるようになったという。コロナパンデミック後に上海へ渡り、中国の医療制度や病院間連携の違いを実感した。

「普段はクリニックで問題なくても、大きな病気が起きた時、日本人にとって総合病院の受診は大きな不安があります」脳梗塞や大動脈疾患など、緊急性の高い病気では、高度医療への迅速なアクセスが欠かせない。しかし、言語や医療情報の共有面で課題も多かった。そうした現実を受け、濵元先生は「日本人が安心して受診できる総合病院づくり」に力を注いできた。現在は上海市内の日系クリニック医師とも日常的に連携し、必要時には迅速な受け入れ体制を整えている。


 

◆◆◆ 見えにくい「医療インフラ」の重要性 ◆◆◆

中国で働く日本人にとって、医療は“何も起きない時”には見えにくい存在だ。 こうした先進的な国際連携や、クリニックとのホットラインの存在は、まだすべての企業の総務人事や駐在員に届いているわけではない。大きな医療イベント(大病)は表沙汰になりにくく、リスクが表面化しにくいためである。

産業医が現地にいないケースがほとんどである日系企業において、従業員の健康を守るためには、こうした医療インフラの存在を平時から把握しておくことが欠かせない。嘉会国際医院は、今後も単なる治療の場にとどまらず、日中、そして世界を繋ぐ安心の医療ネットワークとして、上海の日本人コミュニティを支え続けている。


濵元先生の診療室


中智智櫻会から濵元先生に「追求卓越」の扇子を贈る

中智の感想

今回のインタビューで印象的だったのは、濵元先生の穏やかで誠実なお人柄でした。高度医療や国際連携という大きなテーマを語りながらも、「本当に困った時に患者を支えたい」という言葉の端々に、臨床医としての現場感覚が滲んでいました。医療制度や診療習慣の違いから、中国の『病病連携(病院同士の連携)』や『病診連携(病院とクリニックの連携)』は、まだまだ改善の余地があります。そのような環境の中で、濵元先生は利益優先ではなく、患者目線で医療を続けてきました。そうした地道な挑戦の積み重ねが、患者との信頼関係を築き、上海のクリニック、さらに日本の病院との連携にも繋がっていったのだと感じます。

上海では日常診療のクリニック環境は整いつつある一方、脳梗塞や大動脈疾患など“大きな病気”への備えは、まだ十分に知られているとは言い難い状況です。

今回のインタビューを通じて、医療インフラそのもの以上に、それを支える医師同士の連携こそが重要であることを深く実感しました。また、常に患者中心の姿勢を貫き、長年にわたり尽力と研鑽を重ねてこられた濵元先生の医師としての初心と信念に、深い敬意を抱きました。


濵元先生(中央右)と日本業務ディレクターの程謙様(右)

上海嘉会国際病院連絡先情報

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住所: 上海市徐汇区桂平路 689 号。

最寄駅:地下鉄9号線・ 漕河涇開発区駅。

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※「会社名、役職名はインタビュー記事発表時の名称です」