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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ

『金光紙業(中国)投資有限公司 李宗新 商用事業部総経理 インタビュー!』2026/6/28

<strong><font style="font-size:19px">中智日本企業倶楽部・智櫻会 経営者インタビュー 第115回 </font></strong>

中智日本企業倶楽部・智櫻会 経営者インタビュー 第115回

<strong><font style="font-size:19px">長期主義で実業を深耕し、 </font></strong>

長期主義で実業を深耕し、

<strong><font style="font-size:19px">デジタルとグリーンの両輪で業界の未来を拓く </font></strong>

デジタルとグリーンの両輪で業界の未来を拓く

<strong><font style="font-size:19px">——金光紙業(中国)投資有限公司 李宗新 商用事業部総経理</font></strong>

——金光紙業(中国)投資有限公司 李宗新 商用事業部総経理


 
金光紙業(中国)投資有限公司 
李宗新 商用事業部総経理

1984年、中国・山東省生まれ。華東理工大学工商管理学部卒業。惠氏(Wyeth)にて10年間、栄養食品事業に従事した後、アリババで5年間勤務し、中国市場のデジタル化とインターネットビジネスの発展を最前線で経験。2022年に金光紙業(中国)投資有限公司(APP)へ入社した。現在は生活用紙事業部門において商用事業部総経理として、消費財業界とインターネット業界で培った知見を活かしながら、事業成長とデジタル変革を推進している。

 

◆◆◆ 米系Wyeth、中資系アリババ、インドネシア系金光で培った優れたマネジメント視点 ◆◆◆

私は1984年に山東省で生まれました。2003年に華東理工大学へ入学するため上海にやって来ました。2007年の卒業後は上海を拠点にキャリアを築いてきました。事業において成果を重ねるとともに、上海で幸せな家庭を築いています。今では上海が第二の故郷のような存在になっています。

これまでのキャリアでは3社に勤務し、惠氏(Wyeth)で10年、アリババで5年、そして金光APPで約4年の経験を積んできました。振り返ると、米系企業から中国企業、そしてインドネシア系グローバル企業へとキャリアを重ねる一方で、オフラインビジネスからオンラインビジネスへ、さらにTo CからTo Bへと、さまざまな事業領域を経験してきました。中国の消費財市場が急速に発展した時代を経験し、その後はアリババで中国のデジタル化とインターネット経済の成長を最前線で体感しました。そして現在は、製造業のデジタル変革という新たな挑戦の中に身を置いています。

その後、2022年にAPPへ入社しました。その理由は、同社が「林・パルプ・紙一体化」の産業チェーンにおいて揺るぎない地位を築いていることだけではありません。デジタル化の大きな波の中で、巨大企業でありながら変革に挑戦する強い決意に魅力を感じたからです。現在は、これまで培ってきたグローバル消費財ブランド運営の経験と、インターネット業界で身につけた迅速な対応力やイノベーションのノウハウを融合しながら、APPのさらなる成長と高度化に取り組んでいます。


 

◆◆◆ 百年の歴史を持つ金光集団と、中国で事業を深耕するAPP ◆◆◆

APPの製品は私たちの日常生活に非常に密接に関わっています。家庭で使用する「清風」ブランドのティッシュやトイレットペーパー、キッチンペーパーをはじめ、ホテルや飲食店で使用される業務用紙製品、オフィスのコピー用紙や書籍印刷用紙など、幅広い分野で活用されています。さらに、茅台酒や中華たばこ、Luckin Coffeeの紙製パッケージ、Pfizerの医薬品パッケージなどにもAPP製品が使用されており、APPは人々の生活のさまざまな場面を支えています。

金光集団は、インドネシアの著名な華人実業家である黄奕聡氏によって1938年に創業されました。かつて『フォーブス』誌からインドネシア最大の財閥と評価され、現在では世界6大陸にわたり、150以上の国と地域で事業を展開しています。事業領域は製紙・パルプ、農業・食品、不動産、通信、エネルギー、金融、医療の7つの中核産業に及びます。

APPはグループの中核事業である製紙・パルプ部門として1972年に設立されました。世界各地に数十の製紙・パルプ企業を持ち、100万ヘクタールを超える植林地を保有しています。事業は森林管理からパルプ、産業用紙、文化用紙、生活用紙、各種紙製品までをカバーしており、世界有数の製紙企業としての地位を確立しています。APPは1992年に正式に中国市場へ進出し、上海に本社を置く金光紙業(中国)投資有限公司(APP中国)を設立しました。当社は中国において「林・パルプ・紙一体化」という先進的な発展モデルを導入した最初期の外資系企業の一つです。これまでに寧波亜洲漿、江蘇金東、海南金海、広西金桂、山東博匯、如東金紅葉など、中国各地に世界レベルの大型製紙拠点を戦略的に配置してきました。現在、APP中国は約2万人の従業員を擁し、年間生産額は約900億元に達しています。中国最大級の「林・パルプ・紙一体化企業」として、原材料から最終製品まで一貫したトレーサビリティと高品質管理を実現しています。

 

◆◆◆ グリーンとデジタル・スマート化転換と業界トップクラスの業績を目指す戦略 ◆◆◆

現在のAPP中国の戦略は非常に明確です。それは、「グリーン転換」 「デジタル・スマート化転換」 そして 「業績で業界トップクラスを実現すること」という二つの変革と一つの目標に集約されます。

グリーン転換の面では、私たちは企業の持続可能な発展における先駆者であり続けてきました。中国政府が「デュアルカーボン(炭素ピークアウト・カーボンニュートラル)」目標を掲げた後、APP中国は迅速に対応し、2030年までのカーボンピーク達成、2060年までのカーボンニュートラル実現を正式に約束しました。当社は約4,400万トンの森林炭素吸収量を保有しており、2030年までに製品のカーボンフットプリントを30%削減するという定量目標も設定しています。現在、当社製品の単位当たり炭素排出量は中国国家基準を24%下回っています。

デジタル・スマート化転換では、全面的なDXを推進し、「無人化工場」と「スマート製造」の実現を目指しています。例えば、如東生活用紙生産基地はアジア最大級のスマート生活用紙工場であり、Industry4.0とAIを活用した全自動生産ラインを導入しています。24台の抄紙機を専用生産ラインとして運用し、RFIDによるトレーサビリティを実現。パルプ製造から製紙、最終製品までを自社で一貫管理することで、サプライチェーン全体の効率向上、エネルギー消費削減、品質管理の高度化を実現しています。

また、私たちはグローバル連携とローカル市場への深耕の両立を重視しています。中国国際輸入博覧会、中国国際サプライチェーン促進博覧会、中国国際消費品博覧会などの国家級展示会に継続的に出展し、「森林・パルプ・産業用紙・文化用紙・生活用紙」の総合的な製品ポートフォリオを紹介するとともに、世界中の優良な顧客やパートナーとのネットワークを拡大しています。

さらに、外部のデジタルB2Bプラットフォームとの戦略提携も積極的に進めています。政府・企業向けオフィス需要、不動産・交通、ホテル・観光、飲食業、業務用清掃、ポイントサービス、福利厚生、カスタムブランドなど、多様なニーズに応じたデジタル調達ソリューションを提供しています。

今後もAPPは、「林・パルプ・紙一体化」という強みを軸に、国内外のパートナーシップと商圏を拡大しながら、産業チェーンの高付加価値化、差別化、グリーン化を推進していきます。

 

◆◆◆ 「信頼信用」「徹底追求」「長期主義」---私が考える日系企業像 ◆◆◆

APPは長年にわたり、多くの日本企業と協力関係を築いてきました。日本の大手商社や製紙会社など、サプライヤーとしても顧客としても深い関係があります。包装用紙や生活用紙分野だけでなく、日本系コンビニチェーンなどとも重要なパートナーシップを築いています。私自身も日本が好きで、家族と旅行に行くことも多いです。日本企業に対する印象を三つの言葉で表すなら、「信頼信用」「徹底追求」「長期主義」です。

「信頼」、まず何よりも、日本企業は誠実さと信用を重視します。一度築かれた信頼関係は長期にわたり維持され、単なる取引先ではなく真のパートナーへと発展していきます。現在の世界経済は競争が激しく、多くの市場がゼロサム化しています。そのような環境だからこそ、「信頼」は何より価値のある資産です。BtoBビジネスにおいて信頼は取引コストを下げ、顧客との関係を強化し、双方の成長を促進します。

「徹底追求」、日本企業はユーザー体験を極限まで追求します。私はこれまで何度も日本を訪問し、商品開発やイノベーションについて学んできました。食品、飲料、パッケージデザインなど、多くの分野で日本企業は世界トップレベルです。特に印象的なのは、「顧客自身よりも顧客を理解する」という姿勢です。顧客の潜在ニーズや利用シーンを徹底的に研究し、それを商品やサービスに反映しています。これは中国企業が学ぶべき重要なポイントだと思います。

「長期主義」、日本企業は何十年、あるいは何百年という時間軸で事業を考えています。変えるべきものと守るべきものを明確に区別し、短期的な流行に左右されません。例えば地方の酒蔵や老舗企業は、長年にわたり品質とブランド価値を守り続けています。その積み重ねが大きな競争力になっています。私はこの長期主義こそ、日本企業最大の強みの一つだと考えています。今後は、より多くの在中日系企業と連携を深め、相互に価値を創出しながら、業界の高品質な発展を共に推進していきたいと考えています。


 

◆◆◆ 機会、可得性、文化発信力---在中日系企業に求められる課題と可能性 ◆◆◆

私はむしろ、日本企業には今後も大きなチャンスがあると考えています。理由はシンプルです。「本当に良い商品は、まだ不足している」からです。中国では供給過剰と言われますが、世界中の優れた商品がすべて中国市場に存在しているわけではありません。消費者は品質、安全性、信頼性を求めています。その意味で、日本企業の製品力には大きな可能性があります。

一方で課題もあります。第一に、可得性(手に入りやすさ)です。中国の消費者はEC、即時配送、ライブコマース、コンビニ、ドラッグストアなど、多数のチャネルを使い分けています。良い商品でも、消費者が欲しい時に買えなければ意味がありません。商品力だけでなく、流通戦略とチャネル戦略が重要です。

第二に、ローカライゼーションです。中国市場は極めて複雑です。P&Gやユニリーバなどのグローバル企業は、現在では中国事業のトップに中国人経営者を起用しています。現地に権限を委譲しなければ、中国市場の変化や消費者ニーズを正確に把握することはできません。中国市場を理解するには、中国市場の中に入る必要があります。

第三に、文化の輸出です。近年、日本文化は中国の若い世代に深く浸透しています。アニメ、ゲーム、キャラクター、食文化など、日本のソフトパワーは非常に大きい。商品の価値だけでなく、その背後にある文化やライフスタイルを発信することで、ブランド価値はさらに高まります。今後は文化と商品を一体で輸出することが重要になるでしょう。


 

◆◆◆ 眼光に輝き、胸中に道程あり ◆◆◆

私が最も重視するのは、「目に光を宿し、心に進むべき道を持つ人(眼里有光、心中有路)」です。まず必要なのは使命感です。毎朝起きる原動力となる目標を持ち、自ら挑戦したいと思える人は強い。外部から与えられた目標だけでは、人は長く成長できません。自らの内側から湧き上がる動機こそが、学習と成長の最大の原動力になります。もう一つ重要なのは結果を出す力です。過去の中国経済には人口ボーナスや市場拡大という追い風がありました。しかし現在は違います。成長が鈍化する環境の中で成果を出せるかどうか、管理者自身の能力がこれまで以上に問われるようになっています。私は結果を出し続ける人材を高く評価します。

APPでは毎年多数の新卒社員を採用し、体系的な育成を行っています。社内大学や研修制度も整備されており、新入社員向けの「管理職候補生逐光プログラム」から、社内の「APP企業学院」、さらには中欧国際工商学院(CEIBS)との提携プログラムもあります。人材育成は企業の未来への投資だと考えています。また、私自身は非常にフラットな組織を好みます。現在でも25名以上の幹部が直接私にレポートしています。階層を増やすと情報が減衰し、意思決定が遅くなります。私はできる限り現場に近いところで組織を運営したいと考えています。

現在、私たちは営業部門でAI活用プロジェクトを推進しています。顧客分析、提案書作成、競合比較、営業トレーニングなど、多くの業務をAI化しています。以前であれば数時間かかっていた作業が、現在では10分程度で完了することもあります。AIによって生産性を向上させ、人材がより高付加価値な仕事に集中できる環境を整えることが重要です。

 

◆◆◆ ESGが企業価値を生み出す ◆◆◆


2025年李总出席由中企研主办的知名企业ESG论坛上发言in北京首钢

私はESGを単なる社会貢献活動とは考えていません。ESGは競争力そのものです。APPでは再生可能エネルギー利用率が約25%に達し、年間約15万トン分の石炭使用量を削減しています。工業用水の再利用率は95%、固形廃棄物の再利用率は99%を超えています。また、教育や医療分野への寄付・社会貢献活動も継続しています。重要なのは、ESGが企業価値を生み出すという点です。ESG対応企業はより有利な条件で資金調達ができ、顧客や社会からの信頼も高まります。

同様に、デジタル化による透明性向上も企業統治の重要な要素です。私は、ESGとデジタル化はこれからの企業競争力を決定する二つの重要な柱であると考えています。


中智日企業倶楽部智櫻会と李総とAPP中国の事務所ビル白玉蘭広場の屋上で

中智の感想:

李総経理のお話からは、北方人らしい率直さと上海で培われた洗練された感覚、グローバル消費財企業で培った価値観、中国テクノロジー企業のスピード感と実行力、そして金光APPの多角的な事業展開から生まれる幅広い視野が随所に感じられました。また、穏やかで品格のある人柄の中に、事業への情熱と挑戦心があふれており、その歩みの一つひとつが現在の成果につながっていることを強く実感しました。さらに、在中国日系企業に対する率直かつ建設的な提言も大変印象的でした。金光APPが今後も実業に根差し、全産業チェーンの強みを生かしながら、グリーン化とデジタル化を着実に推進し、業界の持続的な発展を牽引されることを期待しています。


※「会社名、役職名はインタビュー記事発表時の名称です」