ホーム > クローズアップ >HR人物インタビュー VOL.4 Change Co.,Ltd.(上海承志商務諮詢有限公司) 董事長 中井 恵美子氏

「お客様の成功につながるコンサルティングを続けていきたい」


Change Co.,Ltd.(上海承志商務諮詢有限公司) 
 董事長 中井 恵美子氏

 「お客様の夢をカタチに変える」…そんな思いを社名に込めた―

上海で日系企業を中心に幅広いコンサルティング活動を続けるChange Co.,Ltd(上海承志商務諮詢有限公司)の中井恵美子董事長はこう語る。

 2008年9月のリーマン・ショックが契機になり、翌年4月に独立。中国経済がV字回復を遂げる前だったため、当初はさすがに厳しかったと振り返るが、持前の負けん気と打たれ強さで逆風を乗り越えた。

 拠点を構え、第一歩を踏み出して1年半、「お客様の成功につながるコンサルティングをさせていただくためにも、私たち自身がチェンジしていかないと…」。

 中井董事長はこう意気込む。
(聞き手:中智日本支社HRM事業部)

 

―コンサルタントとして中国に関わるようになったきっかけは

(中井氏)

 以前、勤めていた会社が事業承継をメインとするコンサルティング会社で、お客様の大半は未上場のオーナー企業でした。自分の持ち株をいかにうまく後継者に譲っていくかというオーナー経営者からの相談に対して様々なアドバイスをさせていただいていました。

 そのうち、事業承継以外にも経営者から色々な相談が持ち込まれるようになり、その中の一つに対中ビジネスがありました。その時点で、事業承継をメインにしながら、実際は総合コンサルティング会社という色合いが強くなり、中国に事務所を開設して総合コンサルの窓口としてアプローチしていくという方針が打ち出されました。その後、2006年に上海代表処を開設し、2007年に現地法人を立ち上げました。

 私自身は2006年8月から出張ベースで上海に来ていましたが、立ち上げに伴って、現地で指揮を取るように私に声がかかりました。海外で仕事をするチャンスは、自分の人生でそう巡ってこないだろうと考えて引き受けさせていただきました。このチャンスをモノにしたいという思いもありましたね。

 2007年3月に上海に赴任したのですが、翌年9月のリーマン・ショックで撤退ということになり、それが今の会社設立につながりました。

 

―独立されたのは

(中井氏) 

 2009年4月1日です。前の現地法人当時、自分たち独自のメニューとして研修プログラムがようやく完成し、さあこれからという時に撤退となったものですから、せっかくここまで来たのに、という思いが自分にはありました。

 それで会社に独立を申し出たのですが、中国経済がV字回復する前でしたから、会社設立当初は正直厳しかったですね。やがて、以前のお客様などから案件のご紹介をいただいたりするようになって、それは本当にありがたいことでした。

 

―今、実感されていることはありますか

(中井氏)

 コンサルティングの仕事には、知識だけではなく「知恵」が必要です。いろいろな文献にあたることで知識はついていきますが、知恵にはならない。知識を使いこなす知恵は、多くの現場の経験を積むこととネットワークを広げることでついてきます。そういう意味では日々勉強です。

 それと、実感したのは、日本的なコンサルティングのやり方、考え方は通用しないということです。会社を作って今まで、変な言い方ですが、日の丸を背負ってやってきたというところがありました。そうじゃないと。中国で本腰を入れて、お客様の成功につながるコンサルティングをやらせてもらえるのはこれからだと考えています。本質的にサポートできる、本当に困ったという時にお役に立てるようにネットワークと知恵を使っていきたい。

 会社の仕組みも少しずつ変えようと思っています。中国の現場で通用する、お客様の力になれる仕組み、お客様の力になれるという事がきちんと見える仕組み作りが必要です。それが見えないとお客様に不安を与えることになりますから。会社の規模も大きくはないので、信頼していただける形を打ち出したいですね。

 

―チェンジという会社名に込めた思いは

(中井氏)

 お客様の夢を形に変える、本当にチェンジしてくださいと、変えることによって、どんどんステップアップして行って下さいという意味を込めて、その名前に負けないように私たちもチェンジしていかないとだめですけど。

 まだ設立1年半で大きなことも言えないですが、お客様に役立つ会社として変えるべきところはどんどん変えて行って、中国にいるコンサルティング会社としての責任を果たして行きたい。

 

―これから「世界の市場」を目指す日系企業にアドバイスを送るとしたら

(中井氏)

 生意気なようですが、1つは13億人の市場を甘く見ることは禁物ということ。日本の10倍以上の人口で、富裕層も10倍以上いて、という計算が成り立つような甘いところではありません。日本の26倍の国土に13億の人が生活していて、それを目指す事にどれほど大変な覚悟が必要かということです。

 もう一つは、ここは中国だということです。日本の感覚をそのまま持ち込んで、できるとかできないとか、そのまま対応しないで欲しいですね。考え方も国の仕組みも日本とは全く違うのですから。

 法律の出来方も違うし、管理の仕方も違う。よく言われることですが、日本にいるのと同じ感覚で日本流を通そうとするのは失敗の元。それと、知らないことの恐ろしさ。問題が大きくなってから右往左往される企業が多いので、それを事前に防ぐのが我々の役割だと思っています。

 

―進出日系企業に共通する問題に人事労務があります。
在中国日系企業にはどのようなアドバイスを

(中井氏)

 日系企業にとっては不滅の課題ですね、人事労務というのは。労使お互いの信頼関係を築くというのが根底に必要だと思います。その上で、誰が見ても具体的で分かりやすく透明度の高い評価制度、賃金制度というものを打ち出していかないと従業員に納得してもらえないだろうと思います。

 日本の就業規則を中国語に訳してそのまま持ち込んでも無理があります。考え方が違うのですから、それをまず理解する事が必要でしょうね。

 

Change Co.,Ltd (上海承志商務諮詢有限公司)
董事長 中井 恵美子氏(Nakai Emiko)
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