聞いてみなければ解らない！人物インタビューシリーズ 第36回
『迅销（中国）商贸有限公司 李 臻 人事部総監 インタビュー！』2016/3/18
迅销（中国）商贸有限公司
李 臻 人事部総監
● 最後まで必要とされるデザインであること
● 社員一人ひとりが経営者
（弊社インタビュアー）（以下弊社）
1949年に山口県宇部市で創業、1984年にユニクロ1号店がオープンし、世界的なアパレルブランドへと成長したユニクロを展開するファーストリテイリング。中国へは2002年に上海に1号店を出店。その後順調に店舗網を拡大し、15年には446店舗に成長。同年、卓越した人的資源政策が評価され、日系企業として唯一、「中国傑出雇主」に選出されました。その中国法人である迅銷（中国）商貿有限公司で人事責任者としてユニクロの急成長をHR方面から支えている李臻総監にインタビューしました。
◆◆◆ 【最後まで必要とされるデザインを目指す】 ◆◆◆
（弊社）
日本本社であるファーストリテイリングの沿革と事業内容についてお聞かせ下さい。
（李総監）
弊社は、1949年に山口県宇部市でメンズショップ小郡商事として創業しました。1984年にユニクロ第1号店を広島市に出店し、1991年には商号を小郡商事からファーストリテイリングに変更し現在に至ります。
当社のグローバル戦略は、①その国の繁華街に出店する。②店長は内部で育てる。③常にサービスの向上を目指す。④合理的な価格で良質な製品を提供する。つまり、コスパがいい。⑤改革、イノベーションを起こし続けるということです。
（弊社）
「UNIQLO」の名前の由来について教えて下さい。
（李総監）
ユニクロ第1号店として「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)を開店したのが始まりで、当時の英語略称は「UNI-CLO」という綴りでした。ところが、1988年に香港法人を設立した際、英語表記の略称を誤って「UNI-QLO」と登記してしまいました。しかし、誤って登記した「UNI-QLO」の綴りの方がクールだということで、そのまま英文の綴りを「UNI-QLO」にした商標が採用されることになりました。
（弊社）
偶然から生まれた名前だったんですね。ユニクロブランドは日本だけでなく中国はじめ世界中の人々に高い支持を受けています。ユニクロブランドの戦略についてお聞かせ下さい。
（李総監）
当社は「いつでも、どこでも、誰もが、お買い得価格で手に入れられるユニクロ」を原点としています。誰にでも似合う服にするため、デザインもあえてシンプルなものを採用しています。
（弊社）
最近、ディズニーや有名デザイナーとのコラボ商品を積極的に打ち出していますが、今後も積極的に展開していく計画でしょうか。
（李総監）
先ほど申し上げたように、ユニクロでは誰もが似合う服を作ることを原点としています。しかし、シンプルなだけでなく、個性的な服に対するニーズにも応えるため、この様なコラボを積極的に進めています。
（弊社）
ユニクロの海外店舗数はどれくらいでしょうか。
（李総監）
現在、中国はじめ世界17カ国に約798店舗（15年実績）を展開しており、16年は960店舗（予測）まで増加し、日本国内の店舗数を上回る見込みです。海外ユニクロ事業の売上高は、ユニクロ事業全体の30％を超えてきました。アジア地区での順調な出店が成長をけん引しています。
◆◆◆ 【「夢」「挑戦する勇気」「情熱」のある人材を求める】 ◆◆◆
（弊社）
すごい勢いですね！急成長する中国での事業展開についてお聞かせ下さい。
（李総監）
中国には、販売会社である当社と生産管理会社があり、従業員数は約2万人（うち生産管理公司が約400人）となっています。当社のHR部門には30人が所属し、全国にある店舗の人事管理を一括して行っています。中国へは、1号店を2002年9月に上海に出店しました。1号店の出店後は順調に店舗網を拡大し、店舗数は446店舗に達しています。また、2013年9月に上海の繁華街にオープンしたグローバル旗艦店「ユニクロ上海店」は、ユニクロの知名度を飛躍的に高めています。毎年100店舗近くを新規出店しており、2020年までに中国全土で1000店舗まで増やす計画です。
（弊社）
これだけのスピードで拡大していると、人材の採用も大変な作業ではないですか。
（李総監）
今年は、500店長候補採用枠に、10万人の応募がありました。書類選考の後、面接するだけでも1万5千人にのぼります。これだけの人数の面接を30人だけで行うのは物理的に不可能ですので、面接は、店長からCEOまで参加して行います。全員採用、全員育成、全員責任です。
（弊社）
すごい競争率ですね。人材採用の基準はあるのでしょうか。
（李総監）
店長や幹部候補となる人材は、主に大学で募集しています。学生の専攻や専門分野ついての要求はありませんが、私たちと志が一致している人材であることが大切です。「夢」「挑戦する勇気」「情熱」を持ち、自分自身が経営者としての意識をもって仕事に取り組む事ができる人材を求めています。
（弊社）
就職後のキャリアルートはどの様になっていますか。
（李総監）
新人社員のうち早い人では1年あまりで店長に昇進します。遅くても2年程度でほとんどの社員が店長に昇進しますね。新人から店長になると、給与は約2倍になります。
（弊社）
頑張れば頑張っただけ評価される人事制度で、社員のモチベーションも上がりますね。しかし、1年で店長とは早いですね。短期間で店長を育てる効率的な仕組みはあるのでしょうか。
（李総監）
ユニクロでは、「ユニクロ大学」という部署が、仕事に必要な全ての研修を企画･運営しています。講座は年間を通じて行っており、自分の目標に合わせた、さまざまな研修を受けることで、キャリアの可能性をより広げられるようになっています。もちろん、店長候補も「ユニクロ大学」で必要なスキルを学びます。現場で経営を学びのは成長の重要なキです。
（弊社）
きちんとした社員教育制度が、グローバルな急成長を支えているのですね。
御社では、CSR活動にも積極的に取り組まれているそうです。
（李総監）
ファーストリテイリンググループでは、服を生産し、販売するだけでなく、リユース・リサイクルすることを通じて、服の価値を最後までむだなく活かすことも重要な責務と考えています。ユニクロとジーユーの店舗で両ブランドの服を回収。国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）や各地のNGOとともに、難民をはじめ、服を必要としている人々に届ける「全商品リサイクル活動」を展開しています。これまでに、59の国や地域に約1,632万点の寄贈を実施しました。
中国では、2014年8月3日に雲南省昭通市魯甸県で地震により、甚大な被害が発生したのをうけ、2015年1月に雲南省魯甸県で衣料支援活動を行い、服のチカラと思いを届けました。年に定例で4回以上中国貧乏の農村へ衣料支援活動を行います。
◆◆◆ 【これからも挑戦を続け、世界No.1ブランドを目指す】 ◆◆◆
（弊社）
それでは最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。
（李総監）
これからも、「いつでも、どこでも、誰もが、お買い得価格で手に入れられるユニクロ」を実現していきます。
また、新しいビジネスへのチャレンジも続けていきます。インターネットを活用して、リアル店舗とEコマースが融合し、今までにない全く新しいビジネスモデルをつくりたいと考えています。
我々はこれからも挑戦を続け、世界No.1ブランドになる道を確かなものにしたいと思っています。服のビジネスを変革し続けると同時に、全商品リサイクル活動をはじめとするさまざまなCSR活動も、引き続き推進していきます。服を通じたビジネスと社会貢献を両輪として、世界中の人々に幸せや喜びを伝え、世界を良い方向に変えていくことができると信じています。
（弊社）
中国で成功している日系企業の共通点として、企業の成長段階にあった適切な人事制度と管理層の教育が挙げられます。ユニクロも、やはり例外ではなかったと感じました。
------------------------------------------------------------------------------------
【李 臻（Li Zhen）） 氏のプロフィール】
上海大学卒業。日本で精密機械メーカーに勤務後、中国へ帰国。中国では、オムロン、ダイキン工業の人事部長を経て、2008年から迅銷（中国）商貿に就職。就職時の15店舗から、現在、人事部総監として中国のユニクロ約500店舗、2万人の従業員をサポートし、HR方面からユニクロの急成長を支えている。
------------------------------------------------------------------------------------
【迅销（中国）商贸有限公司 様 会社情報】
上海市徐汇区虹桥路1号港汇中心1座18F
TEL（021）3338‐2288
FAX（021）3338‐2291
 迅销（中国）商贸有限公司 李 臻 人事部総監 |
 インタビュー風景 |
||||||||||||||||||||
|
|
|
|
