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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第39回

『本田摩托車研究開発有限公司 高取 和登 総経理 インタビュー!』2016/8/10


 
本田摩托車研究開発有限公司
高取 和登 総経理


  ●  異業種交流は良い刺激となり社員のやる気を起こす

  ●  現地社員も駐在員も、同じ「夢」を追う仲間

 

(弊社インタビュアー)(以下弊社)

「The Power of Dreams」をスローガンに、人々の暮らしを便利にし、安全性・環境対応性の向上や走る喜びの創造に取り組む本田技術研究所。その中国法人であり、Hondaの原点である二輪事業の研究開発を行っている本田摩托車研究開発有限公司で総経理を務める高取和登さんにインタビューしました。

 

◆◆◆  【世界に研究所を展開し、各地域のニーズに合った研究開発を行う】  ◆◆◆

(弊社)

日本本社である本田技術研究所の事業内容と沿革についてお聞かせ下さい。

(高取総経理)

本田技術研究所の歴史は、1960年に本田技研工業の研究・開発部門が分離した時から始まります。より多くの人々に、商品を通じ「喜び」を提供していきたいというHonda全体の企業理念を具体化していくために、ひとつの独立した存在として誕生しました。本田技術研究所では、本田技研工業やHondaグループ各社と連携しながら、常に独創的な技術や商品の開発に取り組んでいます。
また、ご存じのとおり二輪事業はHondaのルーツであり、世界中の国と地域で販売し、総売り上げと販売台数で世界一となっています。

(弊社)

中国法人である本田摩托車研究開発では、どの様な研究開発を行っていますか。

(高取総経理)

当社は、2002年2月に本田技術研究所の100%出資により設立されました。業務内容は、主に二輪車の研究開発を行っています。
 本田技術研究所では、世界各地の文化や風土に溶け込みながら、国境を越えて夢と信念、そして経営資源を共有するたに、日本以外の世界の5つの地域に研究所を展開し、各地域のニーズに合った研究開発を進め、商品づくりに結びつけています。

 

◆◆◆  【異業種交流、経験に基づく経営論を学べるのが課長塾の魅力】  ◆◆◆

(弊社)

御社の会社案内のパンフレットの表紙をめくると、大きく「技術者である前に まず人間であれ」という本田宗一郎氏の言葉が書かれています。技術の追求だけでなく、人材の教育にも熱心に取り組まれており、弊社と日経BP社が共同で開催した「課長塾IN上海」には、日本人駐在員と中国人社員を計7名派遣して頂きました。

(高取総経理)

課長塾については、管理部長助理の王飛飛から、この様な研修があると報告を受けました。内容を確認すると、まず異業種交流型のセミナーだったのに非常に興味を持ちました。
 私自身、これまで会社から多くのセミナーに参加させてもらい、異業種交流型のセミナーにも参加した経験がありますが、普段あまり接点のない業界の方々との交流は非常に刺激的で、良い経験になりました。
 また、この様なセミナーでは、講師は大学教授の場合が多いのですが、「課長塾」でメイン講師を担当する新将命先生は、コカコーラやジョンソンエンドジョンソンなど一流外資企業の日本法人で経営を経験されていました。私はTQM(トータル・クオリティ・マネジメント)講師の資格を持ち、日本では中堅管理職を教育した経験がありますが、本に書いている理論だけではなく、経験に基づいた知識を学ぶ事が大切だと感じています。

(弊社)

研修を終えた社員の方々の反応はいかがでしたか。

(高取総経理)

新先生の講義は経験談が豊富で説得力があり、またグループディスカッションでは、異業種からの参加者や、日本人だけでなく中国人とも一緒に交流ができ、とても新鮮で面白かったと聞いています。
 日本では管理職の経験のない人でも駐在になると、管理職の仕事もやるようになります。この様な研修を通して、管理職の原理原則を学び、交流を通じて中国人と共に働くという意識を自覚してもらいたいと思います。
 また、現地化を進めるうえで、中国人管理層を育てる必要性も実感しています。この様な研修を通して、中国人社員にもしっかり経営の原理原則を学んで欲しいと思います。

(弊社)

中国では、90年代生まれの新世代社員はあまり我慢強くなく、また給料よりも、やりがいや将来性を重視する傾向があると言われています。御社でもその様な傾向を感じますか。また、この様な新世代社員への指導の仕方に工夫はされていますか。

(高取総経理)

90年代生まれの新世代社員は、強く叱るとすぐに会社を辞める人が多いので、叱り方にも注意が必要です。情熱を持ち、本人のためを想って叱っていることを伝わるようにする必要があります。また、どの様に若い社員のモチベーションを上げるか、教育や研修にもこれまで以上に工夫が必要だと感じています。

 

◆◆◆  【言葉や文化は違っても、社員は同じ「夢」を追う仲間】  ◆◆◆

(弊社)

高取総経理のご経歴をお聞かせ下さい。

(高取総経理)

大学卒業後、バイク好きが高じて本田技術研究所へ入社しました。入社後は、二輪車の振動騒音を研究するグループに配属され、そこで21年間、スクーターから大型バイクまであらゆる車種の振動騒音技術の研究に携わりました。その間、実地テストのため様々な国や地域へ出張させてもらいました。一番思い出に残っているのは、アラスカからカナダを通過してシアトルまで2週間かけて現地スタッフとツーリングしたことです。

(弊社)

仕事でツーリングとは羨ましいですね!ツーリングではどの様なテストを行うのですか。

(高取総経理)

商品の性能が、現地の自然環境や道路の状況に適合するかをテストし、不具合をチェックします。実際に現地の道路を走り、乗り心地や使い勝手の良さをチェックして商品に反映させます。

(弊社)

21年間、研究の仕事をされた後に海外へ駐在されたそうですが。

(高取総経理)

2005年にアメリカのロサンゼルスへ駐在し、主に北米モデルの商品企画を担当しました。その後、朝霞市の研究所に戻り、2014年4月にブラジルへ駐在し、生産技術やコストダウンの研究をしました。そして2016年4月から現職に就いています。

(弊社)

アメリカ、ブラジル、中国と文化や言葉の全く異なる国で仕事をする中で、仕事の考え方や価値観の違いに戸惑った経験はありましたか。

(高取総経理)

それは全く感じませんでした。皆さん同じ人間で文化や言葉は違っても本質的な部分は同じだと思います。如何にコミュニケーションをよくとるかが重要です。現地社員の皆さんは日系企業で働いているので、駐在員とも仲良くしたい気持ちが強いように感じます。駐在員や現地社員の分け隔てなく、同じ「夢」を追うHondaの社員で仲間だという意識を持ち、共にお客様により良い商品を届けたいという想いで仕事をしています。

(王 部長助理)

本田フィロソフィには、人間尊重という理念があります。その基本理念の中に、お互いに個人の違いを認めあい尊重し、意欲のある人には個人の国籍、性別、学歴などの属性にかかわりなく、等しく機会が与えられることを謳っています。

 

◆◆◆  【社会の責任ある一員として環境問題へ積極的に取り組む】  ◆◆◆

(弊社)

御社は、社会活動にも積極的に取り組んでいるそうです。

(高取総経理)

現地で稼いだお金は、現地の社会へ還元するという考えから、世界各地で様々な社会活動を展開しています。中国では、2006年から中国本部が主催となりグループ各社が共同で、内モンゴル自治区での植林活動に取り組んでおり、今年の5月に行われた植林活動には私も社員たちと参加しました。植林活動期間中、夜には参加した各部門でダンスなどの芸を披露するのが恒例となっており、私も社員たちと一緒にダンスを披露するため、仕事が終わってから社員たちと汗だくになりながら一生懸命練習しました。(笑い)

(弊社)

グローバルに成功されている企業の多くが、経営理念の共有、現地社員(駐在員を含む)の教育を重視されているようです。課長塾でメイン講師を務めている新将命先生も、講義の中で経営理念と社員教育の重要性を述べられていました。新先生の言葉を借りると、「成功する企業は、成功するようにしている」のですね。
 本日は、長時間にわたり有難うございました。

 

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 【高取 和登(たかとり かずと) 氏のプロフィール】

83年本田技術研究所に入社。入社後は、一貫して振動騒音の研究を担当する。2005年にアメリカ ロサンゼルス研究所勤務、埼玉県朝霞市の二輪R&Dセンターを経て、2014年にブラジル研究所勤務の後、2016年4月より本田摩托車研究開発有限公司の総経理に就任し現在に至る。

 

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 【本田摩托車研究開発有限公司 様 会社情報】

松江区松江工业区赵家泾路128号
TEL 021-5774-8880
FAX 021-5774-8600

 

本田摩托車研究開発有限公司 高取 和登 総経理
本田摩托車研究開発有限公司 高取 和登 総経理1

インタビュー風景
インタビュー風景

  

高取 和登 総経理と王飛飛 部長助理

高取 和登 総経理と王飛飛 部長助理

高取 和登 総経理

本田摩托車研究開発有限公司
高取 和登 総経理2

中智上海との記念写真

中智上海との記念写真