ホーム > クローズアップ > 聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第41回

聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第41回

『株式会社 日経BP 新実 傑 代表取締役社長 インタビュー!』2016/12/20


 
株式会社 日経BP
新実 傑 代表取締役社長


  ●  在中日系企業の課題は、中国人リーダーの育成

  ●  中智と提携し価値ある新しいサービスを生み出したい

 

(弊社インタビュアー)(以下弊社)

日本経済新聞グループの一員として、「専門性・先端性・先見性」に基づいた確かな情報やサービスを届けることを使命として活動を続け、3年後に創立50周年を迎える日経BP社。今年3月に新しく代表取締役社長へ就任した新実傑氏に、中国事業に対する思い、中智と戦略提携協議を締結した狙いを伺いました。

 

◆◆  【経営・技術・生活の3分野で高付加価値の先端・専門情報を提供】  ◆◆

(弊社)

今年3月に日経BP社の代表取締役社長に就任されました。日経BP社の事業展開の特色についてご紹介ください。

(新実社長)

日経BP社は日本経済新聞グループの一員として、1969年に誕生した会社です。3年後に創立50周年を迎えます。情報発信を主とする新聞社グループの中で、弊社は「専門性・先端性・先見性」に基づいた確かな情報やサービスを届けることを使命として活動を続けてきました。
創立時は、ビジネスパーソン向けの専門雑誌や書籍を発行する出版事業からスタートしました。経営情報、技術情報、医療情報などの専門雑誌や書籍の発行です。
その後、展示会・セミナーなどのイベント事業、調査・コンサルティング事業も手掛け、スマートフォンやPC、タブレット端末などに向けて情報発信するデジタル事業も始めました。カバーする分野も、経営や技術だけではなく、食や健康、流行情報などを対象とした生活分野の情報も発信しています。今は経営・技術・生活の3分野で、雑誌・書籍などの印刷メディア、Webサイトやメールマガジンなどのデジタルメディア、セミナーや展示会などのアルのイベントなどの多彩な情報提供手段を駆使し、高付加価値の先端・専門情報を提供するようになっています。
 「専門性・先端性・先見性」の使命を果たすために、弊社ではそれぞれの分野に特化した専門性を持つ人材を育てています。取材や調査などの作業を通じて蓄積した、価値ある情報を基に、編集記者や研究員は未来を予測する先見性を磨いています。これが弊社の大きな特徴の一つと言えます。

 

◆◆  【デジタル媒体のほか、海外へも積極的に事業展開】  ◆◆

(弊社)

新実社長は83年に中央大学法学部を卒業され、日経新聞社に入社されました。入社後の歩みを教えてください。

(新実社長)

日本経済新聞社では30年近く記者と編集者の仕事に携わりました。主に経済・金融分野を担当していました。勤務地は東京とロンドンで、記者として最も印象深かったのは、欧州の通貨「ユーロ」の誕生ですね。

(弊社)

記者として活躍された80年代から90年にかけては、東西冷戦の終結から99年にはユーロ誕生と、グローバル化が一気に進展した時代ですね。その後、編集者としてビジネスや経営に関わる中で、印象深いエピソードはありましたか。

(新実社長)

2010年にスタートした有料のデジタル媒体「日経電子版」の開発と編集の責任者を務めました。この電子版の創刊が一番印象深い思い出です。開発を始めた2007年ごろの日本では、デジタル媒体に購読料を支払う人はいないとされ、「絶対に成功しないビジネス」とまで言われました。
   コンテンツ作り、ビジネスモデルの設計、システム開発とすべてが大変でした。しかし今では紙の新聞とほぼ変わらない価格を負担して、およそ50万人の方々が日経電子版を利用してくださっています。ビジネスとしても日経のメディア事業を支える収益の柱となっています。

(弊社)

デジタル媒体のほか、近年では海外へ積極的に事業展開をしています。その理由はなんでしょうか。

(新実社長)

もともと情報収集・発信という面で国境はありません。弊社が取材し、発信すべき「専門性・先端性・先見性」の情報は海外にもたくさんあります。以前は、取材・執筆をするための編集拠点を中心に、海外拠点を拡大してきました。現在、編集拠点となる支局はニューヨーク、シリコンバレー、ロンドン、上海の4カ所があります。
雑誌・書籍コンテンツの海外への提供も積極的に推進してきました。中国、台湾、韓国の出版社とライセンス契約を結び、現地の雑誌やWebサイトに弊社の記事コンテンツを提供しています。経営、自己啓発、IT、医療、建築、健康などの弊社の書籍も中国、台湾、韓国のみならず、タイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国で翻訳出版されています。これまでに500件を超えるライセンス契約を締結し、現地で販売好調な書籍が多数発行されています。
こういった海外での活動を広げるにつれ、コンテンツだけではなく、弊社が日本で展開しているイベントや教育などの事業が、海外でも需要があることに確信を持つようになりました。そこで、中国や香港に営業拠点を開設し、ビジネス分野、IT分野、電子・機械分野など、日本国内で実績を重ねてきた専門分野において、アジア地域での現地イベントを多面的に展開し、日本企業の海外進出を支援するようになりました。今では、中国、台湾、タイ、インド、シンガポール、インドネシア、ベトナムなどで主催イベントを開催しています。

(弊社)

アジアを中心にグローバルに事業を展開されていますが、その中で中国の位置付けを教えて下さい。

(新実社長)

中国は弊社が最重要視している国の一つです。中国は今後さらに発展します。米国や日本がそうであったように、その発展の過程の中で、専門分野のイベントやセミナー、人材育成のための教育の需要はますます高まっていくと予想しています。発展の礎は「人材」です。人材を育てるために、教育やセミナーなどのリアルなイベント、人脈を広げたりするためのマッチングイベントは有効に機能します。弊社がこれまで手掛けてきたコンテンツやサービスが、中国のビジネスパーソンのお役にたてると感じています。

(弊社)

これまで様々な企業やビジネスを見てこられたと思いますが、在中日系企業がビジネスで成功するための課題は何だと思いますか。

(新実社長)

業種によって環境や課題が異なるので、一言で表すのは難しいと思います。ただ、根底にある課題はやはり「人材育成」ではないでしょうか。どんなに立派な企業であっても、中国の方々にお役にたてる商品やサービスでなければ、中国市場で成功することはできません。日本で成功したサービスをそのまま中国に持ってきてもうまくいくとは限らないのです。
中国市場で成功を収めるためには、中国人のリーダーを育成し、企業の現地化を推進していく必要があると感じています。そうでなければ、本当の意味での「中国の方々にお役立てる」を実現するのは難しいでしょう。日系企業だからといって、幹部全員が日本人では心許ない。日本人のリーダーと中国人のリーダーがそれぞれの良さを出し合い、補完しながら事業を推進していくのが理想形ではないでしょうか。

(弊社)

様々な日系企業の総経理からお話をうかがうと、皆さん現地化の必要性、そのための中国人リーダー育成の必要性を言われます。今年、中智と共同で中国でミドルマネージャ向けの教育研修「課長塾」を開催しました。手ごたえを感じましたか。

(新実社長)

「リーダーとなる中国のビジネスパーソンを育成したい」との思いから、教育研修「課長塾」を開催しました。第一回目ということもあり、手探りでの開催でしたが、ご参加いただいた方々から高い評価をいただきました。少人数制、講師との密な関係、異業種の参加者との交流など、中国ではまだ一般的ではない教育研修を実現できたと自負しています。
開催して初めて感じたのですが、「課長塾in上海」には、中国と日本のビジネスパーソンが同じテーブルで研修を受け、互いに切磋琢磨することの大切さ、面白さがありました。これは日本で開催している「課長塾」では見ることのできないことですね。生まれも育ちも文化も異なる国の方々が、同じ目的に向かって進むことの難しさ、進むための創意工夫、達成したときの充実感の大きさなどを、「課長塾in上海」で体験することができるのです。改善を進め、この教育研修が中国に根付くようにしていきたいですね。

(弊社)

課長塾のほか、10月には、働く女性のイベント、「ウーマンエキスポ」を中国で初開催しました。「ウーマンエキスポ」を中国で開催する意義は何ですか。また、このイベントを通じて中国の働く女性に何を伝えたいですか。

(新実社長)

ウーマンエキスポは、2014年に日本で初めて開催したイベントです。働く女性を対象に、健康や美容、キャリアアップなどの情報を提供するのが主な目的です。「キレイも、キャリアも、ハッピーも手に入れる。自分らしく輝く、すべてのワーキングウーマンのために」を具現化したイベントですね。中国、とりわけ上海の女性はほとんどが働いていいらっしゃいます。
そして、「キレイも、キャリアも、ハッピーも手に入れたい」と考えている。なので、日本でのコンセプトのまま、イベントの中身を中国の働く女性向けにカスタマイズすることで、中国の女性に喜んでいただけると考えました。多少のニーズの差はありますが、基本的に「働く女性」のための情報に、国境はないと考えています。
当然ですが、「働く=お金を稼ぐ」だけではありません。働くことによって、喜びや幸せを感じたり、自分を高めたり、生きがいを見出したりすることができます。人生において、働く時間はとても大きな割合を占めます。
だから、ウーマンエキスポのキャッチフレーズのように、「キレイも、キャリアも、ハッピーも手に入れる」働き方ができると理想的です。このイベントでは、美容や健康、キャリアアップ情報、ならびに日々の生活に欠かせない知恵など、皆様がハッピーになるための助けとなる情報を提供します。中国の働く女性それぞれが、ご自身に合った「ヒント」を一つでも多く感じ取っていただき、持って帰っていただきたいですね。

 

◆◆  【両社の強みをミックスし、価値ある新しいサービスを生み出したい】  ◆◆

(弊社)

今月、中智と戦略提携協議を正式に結びました。今後、中智とどの様なサービスを展開して行きたいですか。

(新実社長)

弊社が目指す「専門性・先端性・先見性」の情報やサービスを提供する、または人材を育成する、などの考えは、中智さんの基本理念と一致すると考えています。だからこそ、戦略提携協議を結びました。中智さんは中国での人的資源サービス提供、弊社は日本でのコンテンツ/サービス提供と、業種や対象地域が異なります。が、基本理念が同じだからこそ、両社の強みをミックスさせることで、互いを補完し合い、これまでになかったような価値ある新しいサービスを生み出せると信じています。「課長塾in上海」や「ウーマンエキスポ上海」が、その良い例です。どんどん新しいことに挑戦していきますので、ご期待ください。

(弊社)

本日は、有難うございました。中智としても、日経BP社さんが日本で手掛けてきたコンテンツやサービスを中国に合うようカスタマイズして、日系企業だけでなく全ての中国人ビジネスパーソンに貢献できるようなコンテンツを一緒に作りあげていきたいと思います。来年も引き続きよろしくお願いします。

 

------------------------------------------------------------------------------------

 【新実 傑(にいのみ すぐる) 氏のプロフィール】

83年中央大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。12年に日経BP取締役、14年に日本経済新聞社執行役員に就任。16年3月より現職に就任し現在に至る。

 

------------------------------------------------------------------------------------

 【株式会社 日経BP 様 会社情報】

東京都港区白金1丁目17番3号NBFプラチナタワー
TEL 03-6811-8111
FAX 03-5421-9050

 

株式会社 日経BP 新実 傑 代表取締役社長
株式会社 日経BP 
新実 傑 代表取締役社長

インタビュー風景
ウーマンエキスポ
インタビュー風景

  
日経BP社と中智上海が戦略合作協議に調印
日経BP社と中智上海が戦略合作協議に調印

株式会社日経BP一行が中智来訪
株式会社日経BP一行が中智来訪