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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第44回

『上海佳途国際旅行社有限公司 矢田部 拓彦 総経理 インタビュー!』2017/4/26


 
上海佳途国際旅行社有限公司
矢田部 拓彦 総経理


  ●  文化交流事業の確立に向け「自立創造型社員」を育成

  ●  つらくても最低3年は我慢できない人材は評価しない

 

(弊社インタビュアー)(以下弊社)

100年前の創業時からJTBグループが標榜する交流文化事業を中国で実践し、中国で世界の人々の交流拡大に取り組む上海佳途国際旅行社の矢田部総経理にインタビューしました。

 

◆◆◆  JTB創業の原点は訪日外国人のおもてなし   ◆◆◆

(弊社)

まずは歴史あるJTBグループの沿革と業務内容についてお聞かせ下さい。

(矢田部総経理)

当社の歴史は、今からおよそ100年前に誕生した、のちのJTBグループの前身となる「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」に遡ります。異なる文化を持った人々と出会い交流することが、社会を豊かに変えていくという当時の人々の想いから1912年に、外国人観光客の誘致と斡旋を目的に設立されました。
戦後は、名称を財団法人日本交通公社(英文名称:JAPAN TRAVEL BUREAU)と変更し、63年には株式会社に改組、2001年には、名称を株式会社ジェイティービーへと変更し現在に至ります。
交流により、平和で心豊かな社会の実現に貢献するという想いは100年を超えて現在に受け継がれ、JTBグループは今も文化交流事業に取り組んでいます。

(弊社)

最近はインバウンドが非常に注目されていますが、御社は100年前の創立当時から外国人観光客の誘致に取り組んでこられたのですね。
ところで、JTBグループは文化交流事業の確立にむけて「自立創造型社員」の育成に取り組んでいるそうですが。

(矢田部総経理)

我々の業界である旅行業は、競争が激しく、決して楽に儲かる業界ではありません。そこで価格競争をするなら、どの様な業者でも真似できます。そうではなく、当社は付加価値の高い旅行を提案することを目指しています。
 例えば、日本へ旅行に訪れるのであれば、着物を着たいとか美味しい日本料理を味わいたいなどの欲求があるはず。その様な事を事前に提案できるかどうか。また、旅行中の安全安心のため、旅行保険の案内をきちんとしたり、万が一事故に遭った際の対応など、見積書から見えない付加価値を大切にしています。
 旅行は特許が無いので、新しい商品を開発してもすぐに真似されてしまいます。そこで、常に付加価値のある新しい商品を開発し続けなければなりません。そのために、常にお客様の視点で思考・行動し課題解決を行うことのできる社員を「自律創造型社員」と定義し、その育成に全力を注いでいます。
 また、グローバル人材の育成にも取り組んでおり、毎年60名あまりの若手社員を研修員として1年間、世界各国に派遣しており中国法人でも毎年数名の研修員を受け入れています。

 

◆◆◆  【「WOMAN EXPO in 上海」の企画運営を手掛ける】  ◆◆◆

(弊社)

御社中国法人の沿革と事業内容についてお聞かせ下さい。

(矢田部総経理)

1988年に初めて上海事務所を設立しました。当時、旅行業は規制業種だったため、しばらく事務所の時期が続きました。2003年にようやく諮詢公司の設立が認可され、05年には錦江集団と合弁でイベント会社、翌06年には佳天美国際旅行社の設立等を経て、アウトバウンド旅行業務の認可取得のため、2014年に自由貿易区内に当社を設立し、業務を移しました。
 事業内容は、中国へ訪れるお客様の各種サポート、イベントの企画運営をメインに行っています。昨年、中智と日経BP社が共催した「WOMAN EXPO in 上海」では、当社が企画運営をお手伝いさせていただきました。
そして、今後はアウトバウンド事業にも注力していく予定です。

(弊社)

「WOMAN EXPO in 上海」では、大変お世話になりました。おかげさまでイベントは無事に成功できました。
2016年末に、念願のアウトバンド旅行業務の認可を取得されましたが、今後どのようなサービスを展開していく計画ですか。

(矢田部総経理)

アウトバウンドに関しては、SIT(スペシャルインタレストツアー)に力を入れています。例えば能登半島をサイクリングしたり、ハイキングツアーなど体験型の観光を提案しています。その他、最近では中国のお客様も団体旅行中心から個人旅行中心に変化しているので、鉄道の旅やレールパスなど、個人旅行に合わせた提案にも取り組んでいます。

(弊社)

人材を採用する際に、何を重視しますか。

(矢田部総経理)

やはり長く働いてもらえることです。どんなに優秀な人物であっても、転職ばかりしている人は採用しません。社員に対しても、最低3年間はどんなにつらい仕事であっても我慢しなさいと言っています。いい事も悪い事も、苦しい事も経験することが、自分のキャリアステップになります。

(弊社)

日本では最近、働き方改革が言われていますが、日本と中国で働き方の違いを感じますか。

(矢田部総経理)

中国に赴任して、ワークライフバランスが大切だと改めて実感しました。中国の社員はメリハリをつけて働き、無駄な残業をしません。その点は、日本人も見習わなければならないと思います。
また、どちらが良い悪いではなく、日本人は集団主義的、中国人は個人主義的な傾向があるので、特徴にあった指導方法や人事制度が必要です。

 

◆◆◆  【中国のお客様により認知され信頼される旅行会社へ】  ◆◆◆

(弊社)

御社は、CSR活動に積極的に取り組まれているそうですが、具体的な取り組みを紹介して下さい。

(矢田部総経理)

当社では、地球いきいきプロジェクトという環境保護活動を行っています。一昨年は上海植物園でゴミ拾いと花の種まきを行い、昨年は嘉定区で植樹を行いました。今後も積極的に取り組んでいきたいと考えていますが、上海郊外でこの様な活動ができる場所が少ないのが悩みです。我々は観光業なので、チャンスがあれば観光地の清掃活動に取り組みたいですね。

(弊社)

最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。

(矢田部総経理)

日本では有名な会社ですが、中国ではまだまだ知名度が高くないので、名実ともにアジアナンバーワンを目指します。そのためにまずは、きちんと今年の予算を達成すること。
そして将来的には、中国のお客様により認知され信頼される会社にしたいと考えています。中国人の方々には、日本の素晴らしい地域を、日本人の方々には、中国の進んだ部分をもっとアピールしたいと思います。
 私が座右の銘とする「夢無くして、成功無し」の言葉を胸に、夢を持って日中の交流文化事業に取り組んでまいります。

(弊社)

長時間ありがとうございました。課長塾のメイン講師である新将命先生は、転職するにしても、ひとつの会社で10年は勤めるべきだと言っておられました。ある程度長く、ひとつの会社で働かなければキャリアにならないという事は、中国の90後、00後の若手社員達にもしっかり伝えたいと思います。

 

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 【矢田部 拓彦(やたべ たくひこ) 氏のプロフィール】

慶応義塾大学文学部卒業。1983年日本交通公社(元JTB)に入社後、鹿児島支店、サンフランシスコ支店、グループ会社執行役員等を経て、2010年錦江集団とのイベント合弁会社の総経理として上海に赴任。2014年より現職。

 

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 【上海佳途国際旅行社有限公司 様 会社情報】

上海市浦東南路1877号東旅大厦15楼
TEL (021)3327‐6700
FAX (021)5868‐1968

 

矢田部 拓彦 総経理1
上海佳途国際旅行社有限公司
矢田部 拓彦 総経理1

矢田部 拓彦 総経理2
上海佳途国際旅行社有限公司
矢田部 拓彦 総経理2

  
インタビュー現場風景
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中智との記念写真
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