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聞いてみなければ解らない!インタビューシリーズ 第47回

『課長塾IN上海【実践編】を終えて、特別インタビュー』2017/11/30


  ●  在中日系企業が人材教育面で抱える課題

  ●  「直面する課題や解決すべき職場の問題」に変わりはない

 

(弊社インタビュアー)(以下弊社)

今回で課長塾は3回目となり、既に100名近くの中国人および日本人ミドルマネジャーたちが、混ざり合い、ぶつかり合いながら「真のリーダー」となる技術を学びました。そこで、主催者として過去3回の課長塾IN上海で見えてきた日系企業ミドルマネジャーの課題や今後の取り組みについて、中智日本企業倶楽部の馮串紅部長と日経BP社課長塾の石塚健一朗塾長が語りました。さらに課長塾【実践編】で講師を務めた石田淳氏、鳥原隆志氏にインタビューしました。

 

●  在中日系企業が人材教育面で抱える課題

中智日本企業倶楽部 部長 馮 串紅からの感想

グローバル化が進んでいる今の中国では、日系企業にとってこれに適応できるリーダー的人材の育成が非常に重要だ。在中日系企業が人材教育面で抱える2つの課題をめぐって行われた。一つは「中国に経営層として赴任する日本人駐在員のマネジメント力向上」、もう一つは「経営を任せられる中国人幹部の育成」である。

今回の「課長塾in上海」はこれで3回目となり、1回目は去年7月、2回目は今年5月で、いずれも参加企業にたいへん好評だった。中智の調査によると、経営層として中国に赴任する日本人駐在員と、現地化が進むことでますます増えている経営を任せられる中国人幹部の育成は、中国に進出する日系企業では大きな課題になっている。このため中智では日経BP社と協力し、日本の既存の人財育成プロジェクトを中国に招き入れようと考えている。「中智はこの先も引き続き課長塾を開催していく予定で、また、部長やもっと高いレベルの幹部向けの育成プロジェクトも開催したいと考えています。

  

 

●  「直面する課題や解決すべき職場の問題」に変わりはない

日経BP社 経営メディア本部販売部部長 課長塾塾長 石塚健一朗からの感想

日経BP社ではミドルマネジャー対象のマネジメントスクールを開講している。その名も「課長塾」。大企業からベンチャー企業まで各社で選ばれたリーダーが、異業種の課長と机を並べて学んでいただいている。2010年の開塾から2200名超の修了生を輩出している。日本では、東京・大阪・名古屋・広島・福岡で毎年開催しているが、中国上海では2016年7月より展開を始めた。

7年間にわたり開催し、2200名超と接してきて達観した事がある。日本人マネジャー、中国人マネジャー、国籍、人種に関わらず「直面する課題や解決すべき職場の問題」に変わりはないことだ。

企業の経営者、人材育成担当者から、大きな期待を受けて人材育成のプログラムを実施してきた。真摯に向き合ってきたが、皆、優秀で辛いながらも前向きに日々の問題解決に邁進されている。

一方で、課題は山積みでもある。

その傾向として大きく3つに集約されるのではないだろうか。

1、経験と知識に基づき日々をすごす、無意識かつ視野狭窄 あれがない、これがない病

2、バタバタして時間が取れない、決意は先立つがでも行動に起こせない 毎日が元旦病

3、相手の考えがわからない 自分の考えが伝わらない 上司と部下のスクランブル交差点病

毎回のワークショップで、その考えや決意を職場で行動すれば、継続すれば素晴らしい組織変容が起こるのではないかと提供側としても期待に胸が膨らむ。でも悩む姿を目撃し、学んだマネジメント手法を実践してみたが私どもにうまくいかなかったと相談される方もいる。1回試したけど、うまくいかなかったらと諦めるなと冷めた言い方もあるが、そこに何かが足りないのだ。3つの課題感を解消できるもの、その方自身の行動を止めているもの。指導される部下の耳にシャッターを降ろしてしまうもの。このメカニズムを解明し、行動する事に勇気を持たせるもの、実践した手法を機能させる事が課長塾に期待されている「マネジャーのパラダイムシフトとそのセンス、活用法」である。

我々のカリキュラムに根底にあるテーマは、このコンセプト以外、なにものでもない。

「課長塾」では、”マネジメントに相性や熱血は必要ない”とお伝えしている。うまく機能しないのは、部下との相性が悪い、やる気がないんだよと人格の否定に逃避されていた方が、この講義を受講する事で、学んだマネジメント手法を職場で行動し、組織を機能させて、軽やかに結果をだされている。

最後に、部下を持つ 組織を率いる管理職へ

「あなたのリーダースタイルを言葉にしてみてください」

数分考えても表現できない方、我流自己流には限界があります。あなたのスタイルは、入社以降仕えてきた上司に見よう見まねでしかなくはないですか?

指導を受けてきた上司は、何人いましたか?その多くはない見本では、確実に変化するビジネスシーンを乗り越えてはいけません。

課長塾を受講し、真のリーダーとして活躍されることを提案いたします。

  

 

●   “課長は辛い、けど面白い”

(中智)

3回目となる今回は初めての【実践編】として、行動科学とインバスケットの講義を行いました。講座全体についてのご感想を、聞かせて下さい。

(石塚塾長)

今回の主眼である、部下指導では行動だけに着目することで、マネジャーの気持ちを楽にしたいと考えました。いつの頃から目に見え無い「モチベーション」というお化けに振り回され、部下の指導がおぼつかないといった印象をみなさんの発言を聞いて、課題へのアプローチに迷いが見えました。

軸を設定することとプロセスでの発生時点処理を学んでいただけことで、日中両国のマネジャーの職場での行動変容に役立てたのではないかと感じています。

(中智)

今年の5月には、新将命先生をメイン講師に経営の原理原則について講義を行いました。

来年も、7月に新先生に経営の原理原則を学ぶ課長塾と秋には【実践編】としてプログラムを組むことを予定していますが、2種類の課長塾を開催する理由を教えて下さい。

(石塚塾長)

課長塾では、スキル マインド をバランス良く鍛えることを目的としています。自動車の両輪とも言えるこの2つの軸は必須です。7月には、まず土台となるリーダー・マインドを学びます。この視点をもって、職場でマネジメントをすることを最初にうけていただきます。

つづいて 次のSTEPで マネジメントの最大の課題である、部下の指導法とリーダーとしての判断軸に磨きをかえるスキルを学んでいただきます。講座間のインターバルをもうけるのは、学んだ事を職場で実践する機会と改善する行動の機会をもうけるためです。

(中智)

既に100名弱の日系企業の日本人及び中国人のミドルマネジャーたちが課長塾を修了し、職場で活躍されています。修了生の皆さまに対して激励をお願いします。

(石塚塾長)

“課長は辛い、けど面白い”、この合言葉をもって職場に戻り「組織変容」「行動変容」を巻き起こしながら、真のリーダーとして活躍されることを期待します!

 

●   中国でも部下指導の課題は共通

(中智)

上海で初めて課長塾の講義を終えた感想を率直にお聞かせ下さい。

(石田講師)

日本とまったく変わらないですね。講義の中では日本と同じ課題を出しましたが、反応やつまずくポイントなど、日本での講義と全く同じでした。また若年世代の傾向なども日本と中国で同じ様な傾向があることが分かりました。国の違いよりむしろ世代間の違いの方が大きいように感じました。

(中智)

日本と中国で、部下指導の課題が共通しているというのは興味深いですね。

(石田講師)

休憩中、ある中国人受講生が質問に来て、彼もやはり「教え方がわからない」と悩んでいました。日本も中国も、上の世代は教えられた経験が乏しく、実践で鍛えられながら自分で学んできた世代なので、教え方がわかりません。いざ自分が教える立場になった時、「自分で考えろ」、「見て学べ」と言っても、学校教育や塾で丁寧に教えてもらうころに慣れた若い世代は、どうすればよいか戸惑い、すぐに会社を辞めてしまいます。

(中智)

それで、日本だけでなく中国でも行動科学が注目され始めているようですが。

  

(石田講師)

日本だけでなく、中国でも世代間のギャップが大きくなりすぎて、どうやって部下を指導すればよいか悩んでいるのだと思います。若い世代を教えて育てないといけないが、自分がきちんと教わった事がないので、どうやって教えればよいかわからない。そうこうしていると、若い社員がどんどん辞めてしまう。

 

行動科学マネジメントの理論に従えば、国や習慣、文化が異なる部下に対しても、的確に仕事が指示できるようになります。

     

 

●   自分だけで頑張りすぎず、優先順位設定を

(中智)

上海で初めて課長塾の講義を終えた感想を率直にお聞かせ下さい。

(鳥原講師)

中国人と日本人が一緒に課題に取り組むことで、それぞれの優先順位のつけかたや、問題発見の視点の違いがよくわかりました。

例えば、今回の講義で、日本人受講生が職場で大切にしている事は、結果を出すことやリスクを避けることだったのに対し、中国人受講生は、組織の上下関係、側近との信頼関係を大切にしている傾向がわかりました。実際の職場でも少し価値観が違うのではないかと感じました。

(中智)

インバスケットを学んだ受講生の皆さまにエールをお願いします。

(鳥原講師)

今回の受講生は、非常に優秀な方が多かったので、優秀イコール仕事を抱え込んでしまう傾向があります。インバスケットで自分の仕事の性格がつかめたと思うので、後は自分だけで頑張りすぎないためにどうすれば良いか、という点を意識してうまく仕事に優先順位を付けて処理するように心がけて下さい。

  

 

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 【石田 淳 氏のプロフィール】

ウィルPMインターナショナルCEO。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。「行動科学マネジメント」として確立。グローバル時代に必須のリスクマネジメントやコンプライアンスにも有効な手法と注目され、講演・セミナーなどを精力的に 行う。

 

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 【鳥原 隆志 氏のプロフィール】

インバスケット研究所代表。大学卒業後、大手流通業の販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導員(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に従事する。管理職昇進試験時にインバスケットに出会い、自己啓発として独自に研究・トレーニングを開始。これらの経験と問題解決スキルを活かして、法人向けのインバスケット教材開発と導入をサポートする、日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活動中。