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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第1回

『弊社総経理張俊がSMBC中国有限公司國賀社長にインタビュー!』

取材日:2012年12月19日


(右)三井住友銀行(中国)有限公司
社長 國賀 久徳 氏
(左)上海中智日企人的資源管理諮詢有限公司
総経理 張 俊

(張)

 日頃より大変お世話になっております。本日はお忙しいところ、インタビュー企画にお越しいただき、誠にありがとうございます。

 御行は中国で着実な歩みを築かれていると感じております。今日は、中国での御行の経営戦略を中心に教えていただけますでしょうか。

 

(國賀)

 昨年は弊行にとって記念すべき年でした。1982年に北京に駐在員事務所を設置してから30年目を迎えました。この間、銀行業務も大きく変化し、業務の幅が益々広くなってきました。2009年には現地法人化を行い、三井住友銀行(中国)有限公司を設立しました。現在では、上海本店以外に8支店と4出張所の計13拠点を有しています。人員も全拠点併せて約1300名となっています。

 私どもの業務の目的は、まずは日系企業の皆さまの中国進出や、中国での業務をお手伝いすることです。弊行グループの日本でのネットワークを活かし、各営業店がお客さまとお取引する中で得た情報を共有し、日中間で縫い目の無いシームレスな対応を行うことで、様々なサービスを提供しております。

 預金業務、運転資金や設備資金の貸出業務、為替の取り扱いなどの決済業務と、伝統的な銀行業務を行っていますが、それら以外の業務の重要性も高まっています。弊行では、アドバイザリー業務のプロを配置した金融ソリューション部において、多様化・高度化するお客さまのニーズに対応したサービスを提供しています。例えば急速に拡大している人民元のクロスボーダー決済への対応や、法的規制への対処方法など、実践的・専門的な情報の提供を行っています。今後もそのような業務に取り組むことで、お客さまとの次の取引に繋げていきたいと考えています。

 

(張)

 2013年の中国での経営戦略を教えていただけますでしょうか。

(國賀)

 人民元の預金金利、貸出金利の自由化など、中国においても金融の自由化が始まっており、銀行としては経営が厳しい環境となってきています。そのため今後は、預金や貸出業務に加え、アドバイザリー業務などの付加価値の高いサービスをお客さまに提供していきたいと考えております。もう一つは、先ほども申し上げましたが、我々のお客さまの大半は日系企業です。今後は日系企業以外のお客さまを増やしていきたいと考えております。日系以外の企業と言いましても、中国地場企業や多国籍のマルチナショナルな企業、あるいは台湾、香港系の企業もあります。様々な企業がありますが、そのような非日系企業とのお取引を一層深めていくことが、目標の一つです。

 

(張)

 13拠点と1300人の職員を抱える大きな組織で、組織運営の秘訣があると思います。その秘訣を教えて頂けますでしょうか。

(國賀)

 人事のことといえば、中智さんのほうが、プロフェッショナルだと思います。日本人と中国人の職員が入り交じり、中国人職員が圧倒的に多い職場です。もちろん組織運営については技術的なものもあるかと思います。しかし、ベースのところでは、「共有」、「共感」、「共鳴」、この3つのキーワードが大切だと思っています。まずは、情報や価値観あるいは組織がどの方向に向かっていくかを、中国人とか日本人とか関係なく、同じ組織の中で共有します。それらを共有することで共感が生まれ、共通の認識が自然に生まれます。そうしてお互いに影響し合った結果、まさに音が共鳴するように、共に同じ方向に向かって動き出します。これは人種や国籍が変わっても、どこの国でも通じ合えることではないかと私は確信しています。私はこちらに来て半年ですが、十分それは出来ると思っています。情報の共有、共感、共鳴ということを徹底してやっていきたいと思っています。

 

(張)

 もし職員と会社の価値観が異なった時に、会社としてトップとして、どの様に対処するべきだとお考えでしょうか。

(國賀)

 徹底的に議論をして解決する必要があると思います。SMBCという一民間企業として目標があり、それを職員と共有して、共感して、共鳴してもらえる為に、良い議論を重ねるべきだと思います。これは中国人だから日本人だからということは関係ないと思っています。

 

(張)

 話題は変わりますが、國賀社長が中国に赴任した頃の印象を教えていただけますでしょうか。

(國賀)

 私は昨年6月に上海に赴任しましたが、実は以前、北京で生活していたことがあり、中国での生活は今回が二度目です。1986年から1年間、語学研修生として北京に派遣されました。その後、何回か出張では中国に来ていましたが、実際にこのように滞在するのは25年ぶりです。

 北京に住んでいた時に、休日を利用して上海へ旅行に来ました。和平飯店に泊まり写真を撮ったことを覚えています。つい先日、家に戻った時に外灘から浦東側をバックに撮った当時の写真を見てみると、その光景たるや何も無く、『完全没有、什荵・s没有』、正に地平線のようなところでした。再び上海に来て、会社は浦東にあり私も浦東に住んでいますが、近代的で超未来的なビルが立ち並ぶその発展ぶりに、大変驚き、敬意を表しています。

 また食料事情も大きく改善しています。当時、たまには日本料理も食べたくなりましたが、日本料理店は北京に2、3件しかなく、滅多に食べることはありませんでした。しかし現在の上海では、世界各国の美味しい料理が食べられるので、本当にびっくりしています。もちろん、中華料理もとても美味しいですね。

 

(張)

 ちなみに一番お好きな一品は何ですか。

(國賀)

 これは難しい質問ですね。私は辛い物が好きなので、四川料理や湖南料理をよく食べています。しかし上海にいるので、大髣ク蟹や小隨シ包、郤「辜ァ肉も大好きです。中華料理はその地方によって様々な種類があり、どれもとても美味しいですね。上海に来てまだ半年ですが、3キロも太ってしまいました。

 

(張)

 上海で半年間過ごされていますが、週末の過ごし方などを教えていただけますでしょうか?

(國賀)

 週末と言っても出張が入っていたり、季節のいい時期はお客さまとのゴルフがあったりと、ほとんど家にいる機会がありませんでした。冬になりゴルフも少なくなったので、上海市内を探索しようと思っています。しかし、逆に寒すぎて出られるかどうか、自信がありませんが、時間を有効に使って外出してみたいと思っています。

 

(張)

 最後に、上海の日系企業の皆さんへ、共鳴・共感できる一言をよろしくお願いします。

(國賀)

 この半年間の感想として、当たり前のことですが、中国には多様性があり、一言では言い表せない国だと感じています。例えば、北部と南部、沿岸部と内陸部など、地域で見ても全く違います。産業の景気動向なども業種により状況は異なります。また、上海だけを見てこれが中国だと思ってもいけないでしょう。何か一つの事象を見て、これが中国だと決めつけては危険であり、中国の多様性を見ることが一番大切ではないかと思います。『百聞は一見にしかず』と言いますが、メディアや情報だけに頼るのではなくて、実際にこちらにいる方々と話をして、自分の目で見ることが大事だと思っています。

 

(張)

 本日はどうもありがとうございました。

(國賀)

 ありがとうございました。