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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第4回

『南京富士通南大軟件技術有限公司 長田格総経理にインタビュー!』

取材日:2013年3月1日


南京富士通南大軟件技術有限公司
総経理 長田 格氏

((弊社インタビュアー)(以下弊社)

 南京富士通南大軟件技術有限公司様は1999年(平成11年)5月8日に富士通基本ソフトウェアを担当するソフトウェアインテグレーション部門と中国超一流の南京大学との提携で(資本金123万ドル(富士通:78.9%、南京大学:21.1%))、南京に設立されました。現在は社員数約1,200名の陣容で、富士通のDNA、ソフト開発ノウハウ、そして南京大学の優秀な人材、技術を結合することにより、経営の基盤を確立されておられます。

 本日は南京富士通南大軟件技術有限公司(以下FNST)の長田格総経理に会社設立の経緯、業務のお話、その他プライベートも含め、総経理のきさくなお人柄を反映した笑い声がたえない和やかな雰囲気の中でインタビューをさせていただきました。

 

(弊社)

  本日はインタビューをお受けいただきましてありがとうございます。まず、最初にFNSTさんの設立の経緯をお聞かせください。

 

(長田総経理)

 1999年に富士通と中国の一流大学である南京大学が提携を結びまして、会社を立ち上げました。

 

(弊社)

 長田総経理は何代目の総経理でしょうか?

 

(長田総経理)

 私で3代目です。2011年の4月1日に赴任しました。その前にも中国には幾度も出張ベースで来ていたのですが、実際にこちらに駐在したのはこの約2年間です。

 

(弊社)

 長田総経理と中国との出会いのきっかけはなんでしょうか?

 

(長田総経理)

 私は富士通に入社以来一貫してソフト開発を行ってきています。そして、1995年に、会社(FNST)ができる前なんですけれども、急激に円高になった時期がありました。これに対処するため、事業部全体でオフショア開発を始める、そのために、どの国に依頼するか調査をしようということになりました。そのころ、私の部では日本語を扱うプロダクト(ワードプロセッサ)を開発していましたので、同じ漢字を使う中国がいいと決めて、中国国内でいくつかのコネクションをもっている大学に実際に調査に行きました。その中から優秀でかつ計算機科学に対して力を入れていると感じられた南京大学にソフト開発の委託をすることとしました。それが、ちょうど、1995年です。それから何度も出張で南京に来ました。

 その後、南京大学に依頼した私のところの仕事がうまくいっているという状況を聞きつけて、富士通のいろいろな部署が他の業務を依頼するようになりました。その後、実は私は南京大学に業務依頼しているプロジェクトから離れることになり、しばらく別の仕事をしていましたけれども、南京大学の技術開発を委託していた人たちが会社組織にしたい、富士通と南京大学で合弁会社を作りたいという話が起こり、1999年に会社が設立されました。

 

(弊社)

 分かりました。それから長田総経理が中国と出会った後、これまで継続して中国へのこだわりを持ってこられた理由はございますか?

 

(長田総経理)

 まず、最初は、日本語を扱うプロダクトの開発という点から中国を選んだのですが、今は日本語そのものを扱うかどうかと関係がなく、仕事をする上で日本語で仕事を進めていけるということが一番大きいと思います。要するにエンジニアが日本語をすんなり学んで実際に使えるようになる、日本語学習への意欲があるし、また、日本語を覚えやすいということもあるのだろうと思います。二番目に超一流大学卒の非常に優秀な頭脳を、非常に安いコストで使えるということです。

 

(弊社)

  総経理、最初に1995年に中国に来られた時の印象はいかがでしたか?

 

(長田総経理)

  もう、その当時はそれはそれは衝撃的なことの連続でしたね。まず、上海に来て、それから南京に移動するのですけれども、もうデコボコ道をオンボロ車で何時間もかかるんですよね。列車で移動した時でも5時間ぐらいはかかりました。(今では、新幹線で1時間ですが)。当時を思い返しますと、いやあ、たいへんなところに来てしまったなあと感じました。

  ただ、何を食べてもおいしい、これはよかったですね。レストランでもホテルでもずっと中華料理を食べて、これがすべておいしい。さらに、金陵ホテルの裏手には毎朝屋台のワンタン屋が出ていて、出張前には、屋台では食べるなって言われていたんですが、あまりにおいしそうで思わず指差して食べてみたら、これがおいしかったんですよ。たった1元(0.5元?)だったか。今でも南京の小さなワンタン屋のワンタンはおいしいですね。

  それから、南京大学の方に話を戻しますと、当時も計算機学科というものがありまして、計算機室を整備されていましたので、まあ、仕事を頼んでみて大丈夫だろうと思わせるものがありました。また、実際、仕事を頼んだ当時の南大の関係者は南京大学の講師、助手みたいな人だったんですけれども、あるいは少し大きなプロジェクトの時は大学院生も入っていましたけれども、これがまた超優秀でした。始め、一緒に仕事をした彼らは、今、南京大学の計算機学科の教授になっています。

 

(弊社)

 南京大学ですから、とても優秀なスタッフがいらっしゃるんですね。そして、これまで富士通さんは南京大学との資本提携でやっていらっしゃる訳ですから、確かな信頼関係を築かれていらっしゃるんですね。

 

(長田総経理)

  その通りです。

 

(弊社)

 分かりました。話は変わりますが、現在、職員採用時の学生の応募状況はいかがでしょうか?

 

(長田総経理)

  毎年200人ぐらい採用しています。だいたい1500人ぐらい応募してきて、筆記試験・面接でふるい落とし、250人ぐらいにオファーをだし、200人ぐらいが実際に入社する、という感じです。南京大学からも昨年17人、今年も同じくらいの数を採用できそうです。実は、12月までの採用では苦戦したのですが、2月以降の採用で盛り返してきました。他社の採用が今年絞られているのが、影響したようです。

 

(弊社)

  現在、エンジニアの方はどれぐらい、在職されていますか?

 

(長田総経理)

  全体の職員約1200名中、約9割がソフトウェア開発のエンジニアです。残りの1割が彼らを支援するセクションの人材です。エンジニアのメイン業務は日本本社富士通のために必要とするソフトウェアを開発することです。お客さんとの会話、提供されるドキュメントもこちらから提供するドキュメントもすべて日本語です。約5%ほどの幹部社員のほとんどすべて、約20%ほどのリーダレベルの半分以上がN1レベルです。N2も含めればリーダ以上はすべてといっていいでしょう。支援部門の人材も、やはり日本の関係セクションと話をするケースが多いこともあり、多くの社員がN1レベルです。

 

(弊社)

  分かりました。総経理、話題を変えまして休日はどのようにお過ごしなさっていますか?

 

(長田総経理)

  休日の一日は南京のいろいろなところへ行きます。南京あるいはその近郊の公園・山・遺跡などはほとんど2年間で回りました。この前の春節は、南朝石刻という南朝時代の皇帝陵のお守り(麒麟など)の遺跡が3つ、南京にあるのですが、それらすべて回りました。探すのが大変でした。大体紀元400年~500年ごろ、日本でいえば有史以前という大変古い時代のものが南京にはあるということで、これから出張に来られた人に自慢するのが一つ増えました。

  近場は最近ヤマハの電動自転車を買いましたので、自分でペダルをこいで行くこともあります。買い出しなどもスーパへ自転車で行きます。

 

(弊社)

  そうしますと総経理、御自分で自炊もなさいますか?

 

(長田総経理)

  はい、週に1~2回ぐらいはします。日本から取り寄せた米を自分で炊いて。おいしいです。富士通は日本食の通信販売を送料無料でサービスしてくれています。

  あと、昨年の9月以降お客さんが激減していますが、それでも会食が週に2~3回はあります。あとは一人で外食。南京にも今はたくさん日本料理店がありますので、時々は行きます。南京では商工会所属の会員は250人、学生を含めて800人ぐらいいるといわれています。その中で日本料理店が20件程営業しているようですので、過当競争なんですよね。まあ、お客さんはほとんど中国人という店がほとんどですが。

  そして、私が最初に中国に来た1995年頃は、日本料理店は1件だけしかありませんでしたので、初代の総経理は食事面でたいへん苦労されたと伺っています。中華料理はたいへん油が濃いですよね。年をとってくると毎日油っこい料理では体がもたないので、初代総経理は毎日その一件だけある日本料理店に通っていたと聞いています。

 

(弊社)

  そうしますと普段の食生活ではそれ程ご苦労されてないんですね。他に何かご苦労されている点等はございますか。

 

(長田総経理)

  そうですね。空気の汚染の問題もあるようですので平日はできるだけ外へ行かない、会社の部屋には空気清浄機等を導入しようと計画しています。でも、週末の多少空気がきれいな時は、さほど気にもせず、週に1回ゴルフや遺跡巡りをしてリフレッシュしています。 そういえば、苦労とはちょっと違いますが、残念なのは、中国にいながら全然中国語が上達しないことです。社内では全部日本語が通じますし、中国語会話の勉強時間を確保しようとしても忙しくて流れしまう。夜も社員と一緒なら問題なし、一人なら日本食ということで、話す機会が少ないのが残念ですね。

 

(弊社)

  なるほど、わかりました。最近は離職率も下がってきているんですね。総経理は中国に永年おられるような印象を受けますが、中国の方とのコミュニケーションで困る点はありますか。気質の違いなどを感じられませんか?

 

(長田総経理)

  多少は感じますが、中国人でも日本人でも人はそれぞれ個性がありますので、特に日本人だから、中国人だからと意識はあません。それぞれの良いところを活かして、活躍してもらいたいと思います。もっとも私は中国語を話せる機会があまりありませんので、私のなかにある中国の方へのイメージは、日本語の話せる中国人に限っての話ですが。

 

(弊社)

  分かりました。最後に総経理、本日のインタビュー全体を通じて感じたことが南京富士通さんは社内制度がたいへん整備されており、弊社営業の観点から考えさせていただきますとコンサルティング営業の余地があまりないことが分かりました。(弊社としては残念でした・・・涙)。  本日は貴重なお話をお伺いすることができ、たいへん有意義でした。南京富士通南大軟件技術有限公司様の益々のご発展を心からお祈りしております。 ありがとうございました。