【寄稿】業績による年次報酬調整(2015年10月7日)
年次報酬調整は企業報酬管理の重要な一環として、科学的・合理的な年次報酬調整方案により報酬制度の良い循環及び動的なバランスを維持することができ、企業にとっては、コア従業員を引き留める有効な手段となっています。しかしながら、年次報酬を調整する時に、「どのぐらいを調整すればいいのか」、「どのように調整すればいいのか」、「どうすれば公正・公平な結果を得るのか」、「どうすれば報酬調整の激励効果を発揮することができるのか」、というようなことが課題となっています。
中智コンサルティングは報酬管理を長期に研究する経験によって、有効な年次報酬調整方案に関して、いくつかの面から考慮しなければならないと考えています。
一つ目は企業の経営状況です。企業の経営状況は年次報酬調整予算に直接な影響を与えます。
二つ目は業界での報酬進展状況です。企業は市場競争力を維持させるため、業界での全体報酬進展状況を把握する必要があります。年次報酬調整の予算を策定する時に、業界の報酬調整比率を参考にする事によって、業界での位置を維持することができます。
三つ目は企業の人材戦略です。企業は差異化がある人材戦略を採用する場合に、コア人材を引き留めるため、年次報酬を調整する時に、一部の従業員(例えば、ある職位序列またはあるクラス)を重視することができます。
四つ目は業績のよい従業員に対して、報酬を大きく調整し、逆に、業績の悪い従業員に対して、報酬を小さく調整します。これにより従業員のモチベーションを向上させると同時に、企業は肝心な人材に有限な資源を合理的に分配することができます。
現在、業績考課を実施している企業の中で、業績による年次報酬調整という方法がよく使われています。この様な報酬調整方法は公平・公正という特徴があり、従業員の納得を得やすいだけでなく、優勝劣敗というような人材発展環境を創り出すことに有利です。これから、皆様に2種類の業績による報酬調整方案を紹介しましょう。
1.個人業績による年次報酬調整
伝統的な業績考課結果による報酬調整は個人業績という単一な変数を利用します。即ち、個人業績考課結果により報酬調整比率を設定するものです。業績考課結果が優秀な従業員の報酬調整比率は高くなり、逆に、業績考課結果が悪い従業員の報酬調整比率が低くなります。こういう調整のやり方は人数または構造が相対的にシンプルで、報酬構成項目を合理的に設置している企業に適用されます。
2.業績による二つの角度から報酬調整を行います
業績だけによる報酬調整方法に関して、作業が相対的にシンプルであるが、社内で格差が大きい、または外部市場との格差が大きいというような報酬体系の問題を解決し、或いはあるタイプの従業員に偏る特殊な報酬調整を行う場合は、このやり方は不十分となっています。この時に、「二次元報酬調整モデル」(二つの角度から報酬調整を行うモデル)を通じて、報酬調整の参考要素を増加することで、目標問題を解決します。即ち、業績考課結果ともう一つの角度を結び付け、従業員の報酬調整幅をコントロールします。一つ目の角度は業績考課結果であり、もう一つの角度は報酬の偏差値、職位類別、職位クラスというような要素です。
どの様な報酬調整方法を選んでも、企業のHRにとっては、報酬調整の結果と報酬調整の予算をどのようにマッチングすればいいのか、という問題がよくあります。そこで、この様な問題を解決するため、一つの方法を紹介しましょう。つまり、調整係数を利用することです。調整係数の設置を通じて、報酬調整方案と報酬調整予算とのギャップを無くします。
例えば、ある企業における標準の報酬調整方案は下記の通りとします。
業績による年次報酬調整 表01 |
標準の報酬調整比率により企業の報酬調整用の標準的な金額を計算することができます。
調整係数αを設置することによって、標準な報酬調整比率を調整します。即ち、
α=報酬調整用の予算/報酬調整用の標準な金額
実際の報酬調整比率は下記のように表示されます。
業績による年次報酬調整 表02 |
 寄稿——中智コンサルティング日系企業事業部> コンサルティングスタント 楊 鴻