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【寄稿】世界経済の新たなスタンダード実現か 中国経済は新旧産業の均衡を図る(2016年4月1日)

 最新のデータを見ると、世界経済において、長期的な低成長を特徴とする新たなスタンダードの到来が日増しに現実味を帯びていることが分かる。国際通貨基金の最新データによると、2015年全世界の経済成長率は3.1%で、2008年の世界金融危機前5年間の平均成長率である5%前後に遠く及ばなかった。先進国では、アメリカ、ユーロ圏、日本が其々2.5%、1.5%、0.6%の経済成長を遂げた。新興国ではブラジル、ロシアでマイナス成長となり、南アフリカの経済成長率も1.3%に留まったが、中国は6.9%の経済成長を見せた。世界の就業状況を見ると、国際労働機関は近日、2015年全世界で新たに70万人強の失業者が増加しており、2016年から2017年の間新たに340万人の失業者が増えると見られ、2年後の全世界失業者数は2億人を超える、と警告した。世界の失業率を見てみると、2015年アメリカの失業率は5.3%、日本では失業率3.3%と低い水準を維持しているのに対し、ユーロ圏の失業率は依然10%以上の高水準にある。新興国の就業情勢も非常に厳しく、ロシアで失業率が6%に達しようとしている他、ブラジルでは7.2%、南アフリカでは25%に達している。中国では、2016年1~2月の大都市31都市での失業率が5.1%前後で推移しており、昨年同時期に比べ0.05ポイント下落と、全体的に安定を保っている。

 最新の調査によると、2016年2月の中国製造業の購買担当者指数(PMI)は49ポイントで前月に比べ0.4ポイント下落し、7ヶ月連続で臨界値を下回り2011年11月以来の最低水準となった。また、中国非製造業商務活動指数は52.7ポイントで前月に比べ0.8ポイント下落し、2008年12月以降7年ぶりの最低水準となった。これらの主な原因は、製造業では春節の影響を受け需要、供給共に下落したこと、非製造業では、建築業や卸売業の閑散期による影響が考えられる。これらのデータは、中国経済が依然底打ちから落ち着きを取り戻す過程にあることを示している。

 昨今の経済動向の主な特徴を以下にまとめる。

 一、春節の影響により製造業の需給(生産及び新規受注)が揃って下落した。消費財業の商業活動が春節に先立って鈍化し、はっきりと下落した。また、完成品及び原材料の在庫が明らかに増加している。

 二、製造業の買付価格が上昇した。企業購買価格指数は昨年12月以降3ヶ月連続で上昇しており、その伸び率も高まっている。特に鉄鋼、非鉄金属工業の原材料買付価格指数が比較的顕著に伸びている。

 三、春節による消費熱が、関連業種の盛況をけん引した。春節の消費熱は運輸、飲食など旧来の商業活動の他、新興消費産業の商業活動を盛況たらしめている。情報関連、個人旅行、オンラインショッピングの消費量は、昨年同時期より更に増加している。

 四、建築業や卸売業が閑散期の影響を受けた。春節の到来に伴い、建築業が閑散期に入った。また、製造業生産活動の回復基調に伴い、大口商品の卸売業で明確な商業活動の下落が見られた。

 五、不動産業の商業活動が全体的に回復した。不動産業の商務活動指数及び新規受注指数は前月より明らかな上昇を見せており、春節後の市場取引にはある程度の反動が見られた。不動産賃貸、不動産取引規制及び税収などに関する政策が逐次緩和されている状況下にあって、不動産業企業は今年の業績見通しを楽観的に捉えているが、今後の関連政策が業界にもたらす変化には注目する必要がある。

 総じて、現在の経済状況は新旧産業の転換と受給均衡プロセスによる短期的下落により、依然として向かい風に晒されていると言える。供給改革による景気刺激策に伴い、各市場主体は自己調整を早める事となり、それは経済的成長の基礎を絶えず強固なものとするであろう。


   データ:国際通貨基金、国際労働機関、中国国家統計局