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【判例】使用者は非全日制労働者でも労災保険に加入させなければならないか?(2016年4月27日)

案例:

呂氏は上海市内のA飲食店管理会社と非全日制労働契約を締結し、A社の非全日制労働者となった。労働契約では、呂氏は毎日三時間勤務し、A社は社会保険費用を含む18.7元を時給として支払うとしていた。しかし呂氏は現地の職業紹介機関へ社会保険費用の代理納付を申請していなかった。

 一ヵ月後のある日、呂氏は業務中に事故に逢い、右臀部に複雑骨折を負い、一部身体機能が失われた。審査後、呂氏は障害者6級と認定され、労働能力の喪失を条件として労災を受けることができるはずだった。しかしA社と呂氏は共に社会保険に加入していなかったため、呂氏は労災機構による労災待遇を受けることができなかった。

  呂氏は為すすべなくA社と交渉したが、A社は、自身が国家規定に基づき呂氏へ(使用者負担分の)社会保険料を含む時給を支払ったが、呂氏が自身の社会保険料を納付しなかったためにこのような事態になった。責任は呂氏にあり、会社側は関係ないとして、労災に関する損害を何ら賠償しなかった。

 呂氏はA社への労災待遇請求が拒絶されたことを受け、当地の労働仲裁委員会へ仲裁を申し立て、A社へ医療費の支払と労災手当、障害者一時金に相当する額の金額の支払など労災と同じ待遇をするよう求めた。

争点: 

1、使用者は非全日制労働者でも労災保険に加入させなければならないか?

2、非全日制労働者の労災保険は誰が納付すべきものか?

分析: 

 労働社会保障部は「非全日制労働者の使用における若干問題に関する意見」(労社部発〔2003〕12号)において、企業側が非全日制労働者へ賃金を支払うに当たっては、基本年金及び基本医療保険費負担分を控除して支払わなければならない、とある。このことから、企業側が非全日制労働者へ支払う賃金には、労災保険費が含まれていない事になる。使用者と非全日制労働者に労働関係がある間は、国家関連規定に基づき労災保険費を支払わなければならない。本案件のA社はこの規定に反し、呂氏の労災保険費用を納付しなかったために、呂氏が労災を受けられなくなる事態を招いた。このため、労働仲裁委員会は呂氏の主張を全面的に認め、A社へ医療費の支払や労災手当、労災一時金に相当する額の支払いを命じた。

使用者は非全日制労働者に対しても、法に基づき労災保険に加入させ、保険料を納付しなければならない。非全日制労働者であっても、法に基づく労災保険を受けることができ、また5級から10級の障害と認定されたときは、使用者との今日非を経て労災補償及びそれに関する費用を一括で受け取ることができる。