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【寄稿】在中日系企業の現地従業員の昇進引留めに対する考え方(2016年9月1日)

 中智人力資本調査及びデータサービスセンターは、 従業員の業績考課と褒賞に関する実態調査の上半期第二弾として、昇進における管理制度や昇進ルート、 昇進プロセスやその評価の依拠、昇進試験の周期や昇進者数などについての調査を行った。 今回の調査では7月末までに318部のアンケートを回収し、有効回答数は270部、うち日系企業は72部であった。

 今回の調査によって、従業員の昇進管理制度を設けている日系企業は75%に上り、 日系企業が従業員の昇進管理を重視している実態が浮き彫りとなった。今や多くの人々の知るとこ ろとなった日系企業の年功序列管理モデルとは、従業員の勤続年数の長短が彼の技術、技能、経験及び企業への貢献 度と正比例する人事管理モデルである。世界500強企業にランクインしている日系企業の半数近くがこれを採用して おり、現在の市場競争にあって、決して賃金が高くない日系企業の従業員にとって大きなインセンティブとなっている。


  

 とはいえ、それぞれの市場環境には、それぞれに合った企 業管理モデルが存在する。市場競争が加速するに連れ、ここ数年間日系企業の成長は不本意な結果 に終わっており、直近2年間の従業員離職率も上昇しているが、これは現代日系企業の昇進モデル がミレニアム世代を満足させられない為である。彼らはむしろ複線型の短期的な昇進モデルを求 めているのである。今回の調査では、中国企業(国有及び民間企業)の60%以上が複数の昇進ルー トを設けており、外資系企業及び中欧合弁企業では一つの、または複数の昇進ルートを共有して いるが、日系企業では依然として主に一つの昇進ルートのみを採用している実態が明らかとなっている。


  

 複線型昇進制度とは、通常見られる管理 職と専門技術職の昇進ルートに、もう一本及び複数本の昇進ルートを組み合わせたも ので、一般的には営業販売や現場作業、プロジェクト管理などを対象に、その企業の 業種に合わせて設けられる。複線型昇進制を設けている企業を見てみると、製造業では 現場作業に、ハイテク業やIT、金融、コンサルティング業ではプロジェクトマネジメン トにそれぞれ独自の昇進制度が見受けられる。今回の調査では、38%の企業が3つ、31%の 企業が4つ、31%の企業が5つ以上の昇進制度を設けていると回答した。


  

 従業員の昇進を検討するとき、企業は通常、 その従業員が社内規定を順守できているか、経営理念や企業文化を理解しているか、 上級管理者に必要な管理能力やコミュニケーション能力などを含めた業務能力を具え ているか等、多くの要素を総合的に評定するものである。最良の内部昇進評価制度と いうものは、当該部門の推薦、基本的審査、直属の上司や経営陣、人事部による評価 を経て、結果の確認と経営陣の最終認可を得るというプロセスを踏むものだが、多く の企業では当該部門の推薦に始まり、直属の上司の評価を経て、経営陣が評価及び承 認を行うだけの内部昇進評価制度に留まっている。


※数字は、各プロセスを採用している企業の比率   

 合理的な昇進管理には、従業員の業務の幅、達成感、成長意欲の向上に 一定の効果があり、また、より良い昇進制度は従業員の離職率を下げ、帰属感やモチベーション、会社への敬意 度を向上させる効果がある。これらこそが、あらゆる企業へ長期的発展と、各企業文化の形成をもたらすものなのである。