【判例】労働者に直接影響を及ぼす重大事項について、使用者は告知及び公示をしなければならないか?(2016年12月27日)
案例:
陸氏は(巴士グループの)某バス会社で運転手として働いていた。このバス会社はグループ全体の構造改革を断行し、各従業員へ「職工告知書」を送付した。この告知書には「巴士グループは8月より内部編制の調整を開始します。巴士新公司と巴士六汽公司を併合し、新たに新会社を設立します。……また、路線の変更に当たって、労働契約は従前と変わらないものとし、路線は新会社のものへ移行し、新会社の下で労働契約を継続します」とあり、該当する従業員はこれに署名した。このため、元のバス会社は該当者へ退職の手続きを行い、新たなバス会社の下で労働契約を継続履行することとなったが、陸氏は「職工告知書」の内容を知らされていなかったことを理由として、元会社を相手取り不当解雇に対する損害賠償金の請求を労働仲裁庭へ申請した。
争点:
元のバス会社は、陸氏との労働契約解除前に予告を行う必要があったか?また、陸氏と事前に協議しなければならなかったか?
判決:
本案件において、陸氏は元会社が該当従業員との労働契約を解除した際に告知及び協商義務を果たしていないことを理由として、会社側へ不当解雇による損害賠償金の支払いを求めている。しかし判明している事実を見ると、元の路線及び労働者が新会社に帰属することについて、元会社は職工代表大会による表決を既に受けている。陸氏が職工代表大会に関する文書の真実性に疑念を抱いたとしても、これを証明するものが無いから、法院としてはこの異議を認めがたい。また、仮に陸氏が職工代表会議に参加していなかったとしても、「職工告知書」へ署名した際、現在の路線が新たな会社に帰属し、労働者もまた新たな会社に帰属することは知り得たはずである
分析:
法律の規定によれば、使用者が労働者の利益に直接影響を及ぼす規定制度や重要事項を策定するときは、職工代表大会及び従業員全体での討論を経なければならない。更に、使用者は労働者の利益に直接影響を及ぼす規定制度や重要事項を労働者へ告知及び公示しなければならない。 また、使用者側がもし労働者側へ書面による確認を取らなければ、万が一労働紛争が発生した際、労働者側より、自身が職工代表大会へ参加していないことを理由として、使用者側の重要事項を知らなかったと主張されかねない。
使用者側から見た場合、使用者が労働者の利益に直接影響を及ぼす規定制度や重要事項を策定するときは、 まず職工代表大会を開き意見を聴取した上で、参加者を記録し議事録を作成しなければならない。更に、職工代表大会により決定した事項については告知が為され、労働者側へ書面による確認を取ることが必要となる であろう。