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【判例】 親会社の規則制度は子会社の労働者にも適用されるか?(2018年3月29日)

案例:

陳氏は2016年3月10日、某紡績(連雲港)有限公司へ入社した。この会社は某紡績会社グループの子会社だった。

陳氏は勤務中、請求書を二重に発行してしまい、請求金額を間違え、結果顧客との約束の期限に精算ができず、顧客からクレームを受けた。

これについて会社側は、2017年1月、親会社の規定制度を根拠として、重大な紀律違反を理由に陳氏との労働契約を解除する決定を下した。陳氏はこれを不服として労働争議仲裁を申し立て、会社側へ違法な労働契約解除による損害賠償金6000元の支払いを求めた。

争点:

会社側は親会社の規定制度を直接的な根拠とし、陳氏との労働契約を解除することができるか?

陳氏は、自身と労働関係にあるのは某紡績(連雲港)有限公司であるとし、この規定制度は親会社の定めたもので、しかも子会社の従業員に周知されていないから、この規定制度を直接的に適用して労働契約を解除することはできないと主張した。

これに対し会社側は、この規定制度は親会社で民主的手続きに則り制定されたものであるから、従業員への処置の根拠となり得ると反論した。

判決:

仲裁委員会は、陳氏の訴えを認めた。

分析:

「公司法」第14条には、親会社と子会社は等しく独立した法人であり、独立して民事的責任を負う、と規定されている。

労働契約の相対性に基づけば、子会社の労働者を使用するのは子会社であって親会社ではない。ゆえに、親会社の定めた規定制度には子会社の労働者に対する拘束力は無い。

なお、「労働契約法」第4条には、「使用者が労働報酬、勤務時間、休憩・休暇、労働安全衛生、保険福利、従業員研修、労働紀律及び労働ノルマ管理等についての労働者の密接な利益に直接関わる規則制度又は重要事項を制定、改正又は決定する場合は、従業員代表大会又は従業員全体で討議し、方案及び意見を提出し、労働組合又は従業員代表と平等な協議を経て確定しなければならない。

規則制度及び重要事項決定の実施過程で、労働組合又は従業員は不適切であると考える場合、使用者にそれを提起し、協議によって改正・改善する権利を有する。使用者は、労働者の密接な利益に直接関わる規則制度及び重要事項決定を、公示するか又は労働者に告知しなければならない」と規定されている。