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中智&日経BP「課長塾IN上海」第5期【実践編】が成功裏に開催される(2018年12月4日)

 中智上海経済技術合作有限公司と日本経済新聞グループの日経BP社が共同で研究開発した「課長塾IN上海」第5期【実践編】が、11月29日、30日に上海で成功裏に開催されました。


 日経BP社と中智は多方面の提携を行っています。中智を通じて、2016年から企業管理職の研修を目的としたハイエンドのカリキュラム「課長塾」を中国に導入しました。参加企業からの強い要望や、中智と日経BP社双方による積極的な推進の下、「課長塾IN上海」研修プロジェクトは毎年春に「高級管理者養成塾」【経営の原理原則編】、秋に「課長塾IN上海」【実践編】を開催し、多くの参加企業様から好評を頂きました。

 春の「高級管理者養成塾」【経営の原理原則編】では『勝ち残る組織を創るリーダーの条件』及び『リーダーのための成果をあげるチームのつくり方』をメインテーマに研修を行いました。経営の原理原則を理解した上で、秋の「課長塾IN上海」【実践編】では、『リーダーのための優先順位選択方法』及び『行動科学による部下指導法』をメインテーマに、「限られた時間内で最も優れた成果をあげる方法」、「人を導く秘訣」などの企業管理の道について学びました。


 開催に先立ち、中智上海経済技術合作有限公司日本企業倶楽部・智櫻会部長の馮串紅が主催者を代表して挨拶をしました。馮部長は、「在中日系企業の人材育成には、日本人駐在員の管理能力向上と日系企業の現地化プロセスにおける経営管理に関わる中国人従業員の採用、育成及び留保というふたつの課題を抱えています。これらの課題を解決すべく、中智は唯一の国務院直属の全国的な人的資源サービス企業グループとして、日本最大の経済メディアである日経BP社と提携し、「課長塾IN上海」の研修プロジェクトを共同で開発しました。既に第四期まで展開しており、参加企業様から好評いただいています。今回の【実践編】でも、「インバスケット」で有名な鳥原先生と日本における行動科学の第一人者である石田先生が講師を担当しました。受講生の皆様が、二日間の研修を通じて、部下の指導法と業務分配のテクニックを十分に学んで頂けることを期待します。」と述べました。


 続いて日経BP中国社総経理の谷口徹也氏から、受講生の皆様に対し日本の管理職研修事業について紹介しました。「課長塾」は今から8年前に日本でスタートし、約三千名を数え、日本各地の企業の優秀なミドルマネジャーを養成してきました。「課長塾」のプロジェクトを中国に導入してから3年が経ち、在中日系企業の特徴とマッチさせ、「高級管理者養成塾」【経営の原理原則編】と「課長塾IN上海」【実践編】を送り出しました。在中日系企業がより多くの優秀なマネジャーを養成するための、お手伝いができればと期待を述べました。


 挨拶の後、日経BP社経営メディア本部本部長、「課長塾」塾長の石塚健一朗氏がオリエンテーションを行いました。石塚氏は、この研修で議論する課題に正解は存在せず、間違いを恐れず積極的に“speak out”するよう強調しました。オリエンテーションでは各受講生が「自己紹介」と「自分のリーダースタイル」についてグループごとにディスカッションを行い、受講生の皆様が共に学ぶ仲間を理解し、自己を認識し、自分のリーダースタイルの特徴について考えました。


 「課長塾IN上海」第五期【実践編】は二日間の日程で開催し、一日目の講義は鳥原隆志先生が、二日目の講義は石田淳先生が担当しました。

 日系企業では「仕事のご褒美は仕事」という言葉をよく聞きます。仕事で成果を上げ、上司が認めると、さらに重要な仕事を任されます。ミドルマネジャーとして、部下の仕事に指示を与え、フィードバックとサポートをすることも必要です。この様に、大量の重要案件の中から、どの様にすれば優先順位判断し、限られた時間内に最良の成果を出せるのでしょうか?今回の課長塾【実践編】の第一日目は、鳥原先生に「インバスケット」による難題の解決方法を学びました。


 「インバスケット」とは、20世紀の50年代に教育訓練の成果を測るためにアメリカ空軍によって開発されました。このメソッドは、例えると、未処理案件が入っている籠かから、制限された時間内に優先順位を決めて、仕事を効率的に処理する方法です。

 「インバスケット」の基本概念を説明後、受講生に対し「インバスケット試験」を行いました。これは、特定の企業と身分になりきり、特定の環境下において、1時間以内に多くの案件を処理するというものです。1時間の緊張する試験の後、鳥原先生は処理結果について詳細な分析を行いました。時間に限りがあり、全てに最善を尽くせない状況下においては、優先順位の決定が重要になります。大量の案件を処理しなければならない中では、一握りの重要案件が大部分の案件に決定的な影響を与えます。限られた時間内に20%の重要案件を高いクオリティで完了できれば、80点以上を取ることができます。それでは、案件の優先順位をどの様に決めればよいのでしょうか?鳥原先生の方法は、案件を「重要度」と「緊急度」の2つの指標を用いて4象限に分類して判断します。


 このほか、鳥原先生は問題の識別、情報収集、対策策定の要点、利害関係者との意思疎通などの具体的な方法について詳細に解説しました。受講生たちは「インバスケット試験」で分析された優先順位の最も高い案件について、活発な議論を交わしました。この様な観点からの議論と先生の批評は、受講生たちの問題解決能力をさらに高めたことでしょう。









 二日目の研修では石田先生が行動科学の視点から、有効な部下指導法について受講生たちと検討しました。実務における部下の業務パフォーマンスの差は個人の能力の差にすぎないのか?上司の指導法に原因は無いか?石田先生は、行動科学による部下指導法では、上司と部下の相性、直感や経験に頼らずに、部下が効果的に業務において成長し進歩することを助ける事ができると述べました。


 簡単な例として、ペットボトルの水をコップに注ぐ行動はいくつのプロセスが必要か?という問題を出しました。大多数の人が、2~3個のプロセスで簡単にできると考えていました。しかし、実際に一つ一つの動きを分解すると、20個のプロセスに分解する事ができます。もしペットボトルの水をコップに注いだことのない子供に、これをさせる場合、どの様に説明すれば子供はうまく水を注ぐことができるでしょうか?部下へ指示を伝える際も同じく、管理者にとっては言わなくても分かる事であっても、部下にとっては分からないのかも知れません。多くの場合、部下はやる気がないわけではなく、それが手に余ると感じ、単に具体的なやり方が分からないだけなのです。

 日系企業では「暗黙知」という言葉を重んじ、上司は明確な指示を出さなくても、上司の目を見れば、部下は何をすべきか理解することができます。しかしこれは、豊富な業務経験と相互間の阿吽の呼吸で成り立つものであり、高級管理者と中級管理者間では成り立つかもしれませんが、一般社員からすると業務の経験不足から、なかなか難しいことです。ミドルマネジャーとして部下を指導する際、目標を多くの具体的なプロセスに細分化し、部下を一歩ずつ所期の目標に到達するよう導けば、それほど大きなギャップは現れないでしょう。また、一つの技能は50回の反復練習があって初めてできるようになるものです。指導効果の強化と持続には、部下へ反復練習の機会を与える必要があります。

 石田先生は更にMORSの法則や、Want-to-do曲線とHave-to-do曲線を用いた具体的な部下への指導方法の他、感謝や承認、帰属感や一体感、成長機会や具体的な指示などにより如何にして部下へ金銭以外の奨励や激励を与えるかについて解説しました。








 今期の受講生たちの大部分は、中智日本企業倶楽部・中智智櫻会の会員企業から、貿易販売、機械製造、金融保険、技術開発等の業種の著名日系企業の管理者に参加頂きました。「高級管理者養成塾」の受講生の多くが、経営の原理原則を理解した後に、学習の効果を高め、実践ですぐに効果のある仕事のやり方を学ぶため、情熱を秘めて【実践編】に参加されました。

 また、上海の日系企業のみならず深センや広州など全国各地の支社からの参加者も見られました。各業界各地方からの参加者が「課長塾IN上海」第五期に一斉に集い、各々が業務における困難を解決するべく、情熱をもって共に学び、活発に議論し、非効率で忙しい業務環境としないための実践における突破口を探求していました。

 二日間のカリキュラムを終えた後、30日夜には会場で修了式が開かれ、日経BP中国社の谷口総経理が参加者たちへ修了証を手渡しました。祝杯を揚げた後、皆で「課長塾IN上海」第五期【実践篇】の成功を祝い、受講生が一人一人壇上で感想を述べ今回の研修を高く評価するひと幕も見られました。受講生たちは皆、課長塾で学んだことが実際の仕事に生かされ、効率の向上と大きな成果の獲得につながると確信していました。今後の仕事で実感したこともまた、深く探求されていくことと思われます。


 企業の内部研修と違い、課長塾にはあらゆる業種のあらゆる企業から受講生が集まりました。それぞれの業種、企業が独自の成長段階にあり、物事の捉え方や解決方法もそれぞれに異なっています。困難に直面した際には、相互交流と思考のぶつけ合いが新たな風を呼び、それぞれに問題解決の切り口を与えるものです。また、課長塾では日本人駐在員と中国人従業員が対等な立場で交流を深め、深い理解と共通認識を有するようになりました。まさに生きた異文化学堂と言っても良いかもしれません。


 「課長塾IN上海」研修プロジェクトは、引き続き上級管理職の日本籍駐在員や現地化において経営に参画している中国籍幹部へ良質な管理者研修を行ってまいります。中智公司は今後も日経BP社と提携し、課長塾の充実に取り組み、「課長塾IN上海」研修プロジェクトが多くの日系企業管理者にとって再成長の揺り籠となるよう、努力する次第です。