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協定の効力発生についての解釈

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「中華人民共和国政府・日本国政府社会保障協定」が2019年9月1日に発効します。協定によると、日本は中国から在日本企業へ派遣された中国企業従業員、国際線船舶運輸乗務員、国際線航空運輸乗務員、外交領事機関職員及び公務員に対し、日本における厚生年金ならびに国民年金を納付する義務を免除し、中国は日本から中国へ派遣した上述条件下の在中国日本人員について職工基本養老保険の納付義務を免除することになります。また、日本に滞在している中国方の人員と生活をともにする配偶者ならびに子女について、一定の要件のもと日本滞在期間中の社会保険料納付の免除申請を行うことができます。

中日社会保障協定は発効後、両国の相手国で就業する従業員の社会保険上の権益保護になるだけでなく、中日双方の企業と従業員の社会保険料負担を軽減するものであるため、両国間の経済交流を促進し人的交流をより円滑なものにするだろうと期待を寄せられています。  

なお、中国は中日社会保障協定の他に、ドイツ、韓国、フランス、ルクセンブルグ、セルビアなど11ヶ国と社会保障協定を締結しており、うち9ヶ国との協定が発効しています。

Q1:中日社会保障協定はいつ署名されたのでしょうか?また、発効日はいつですか?

A:中日社会保障協定は2018年5月9日に東京で署名されました。2019年4月18日、中日双方の担当機関が「中華人民共和国政府・日本国政府社会保障協定実施に関する行政協議」に署名し、5月に北京でその発効が確認されました。中日社会保障協定第19条の規定により、この協定は2019年9月1日に正式発効されます。

Q2:中日社会保障協定締結の目的は?

A:社会保障協定を締結することにより、両国間で国境を跨いで就業する方の社会保障上の権利と義務がグローバルスタンダードに則ったものとなります。中日社会保障協定締結の目的は、大きく分けて2つあります。一つは相手国で就業する方の社会保障上の権益を保護すること、もう一つは中日双方の企業及び従業員の社会保険に関する負担を軽減することで、経済的交流を促進し人的交流により利便性を持たせることです。

Q3:中日社会保障協定によって、どの社会保険が免除されるのですか?

A:中国では職工基本養老保険、日本では国民年金(国民年金基金を除く)と厚生年金(厚生年金基金を除く)です。

Q4:中国側から見た場合、中日社会保障協定により日本で社会保険料の納付免除を適用されるのはどのような人ですか?

A:以下の6種類に該当する方は、日本での社会保険料の支払いを免除されます。

1.中国から派遣された従業員。中国領内に経営拠点を置く雇主より、雇用関係に基づいて日本領内へ派遣され業務に従事する従業員。

2.船舶上で勤務する船員。中国船籍の船舶にて雇用される従業員及び通常は中国領内で居住しており、日本船籍の船舶にて雇用される従業員。

3.航空機内の従業員。中国領内の雇主の指示を受けて、国際線の航空機内で勤務する従業員。

4.外交及び領事機構の職員及び公務員。外交及び領事機構の職員とは、「外交関係に関するウィーン条約」及び「領事関係に関するウィーン条約」に定める人員を言う。公務員とは、中国より派遣され日本領内で勤務する公務員及び中国の法律法規により公務員と同等の立場とされる者を言う。

5.例外として、中日両国の主管機関または担当機構は、特定の者または特定の範囲の者につき、いずれか一方の締約国の法令が適用されることを条件として、第五条から第八条までの規定の例外を認めることについて合意することができる。

6.随行する配偶者及び子女。中国から派遣される従業員、公務員、例外に認められた者(※注:中華人民共和国の法令のみの適用を受ける者)に同行する配偶者及び子女については、社会保障に関する協定の実施に関する日本国の法令に定める要件を満たすことを条件として、日本の国民年金の納付義務を免除する。但し、当該配偶者又は子が別段の申出を行う場合は、この限りではない。

Q5:日本側から見た場合、中日社会保障協定により中国で社会保険料の納付免除を適用されるのはどのような人ですか?

A:Q4の1〜5に該当する日本人に適用されます。

Q6:派遣された従業員はいつまで社会保険料の免除を受けられるのでしょうか?

A:派遣された従業員の社会保険料免除期間は最長5年間です。もし5年を過ぎて再度申請する必要が出てきたときは、中日双方の主管機関または担当機構の同意をもって免除期間が延長される可能性があります。

Q7:日本に居住する中国人が日本で社会保険料の支払免除を申請するには、どのような手続きを行えばよいでしょうか?

A:中国国内で職工基本養老保険に加入しており、定められた金額を納付している方については、以下の手続きにより日本での社会保険料の支払免除を受けることができます。

1.個人での申請は、「国家社会保険公共服務平台」トップページ(http://si.12333.gov.cn)へアクセスし、実名で登録・ログイン後「境外免繳申請(国外免除申請)」を選択してください。申請者の詳細な申請情報を記載したら、内容を保存し申請してください。

2.国外派遣元の雇用単位が申請することきは、登録・ログイン後派遣する従業員の申請情報を入力した後、その内容を保存し申請してください。

3.申請後、人力資源社会保障部社保センターは、受け付けた情報をもとに審査します。条件を満たしている場合は、7営業日以内に適用証明書を発行し申請者へ郵送します。条件を満たさないときは、その理由をご説明します。更に資料の提出が必要なときは、事前に告知します。

4.人力資源社会保障部社保センターは、郵送での申請も受け付けています。この場合も審査後に適用証明書を送付します。オフライン環境下での手続きは人力資源社会保障部社ホームページ(http://www.mohrss.gov.cn)より、「服務之窗→服務目録(サービス窓口→サービス一覧)と進み、「中日社会保障協定参保証明線下申請辯事指南(中日社会保障協定適用証明書オフライン申請手続方法)」を参照してください(9月1日より)。

5.申請者は日本の担当機構へ「適用証明書」を提出してください。これにより日本の社会保険料支払免除を申請することができます。

Q8:中国在住の日本人は、どのように社会保険料の免除申請を行えばよろしいでしょうか?

A:中国在住の日本人については、所轄の社会保険担当機構へ日本の担当機構が発行した「適用証明書」を提出してください。所轄の社会保険機構は審査を行い、その資料のコピーを保存します。情報を照合した後、「適用証明書」に記載された期間について社会保険料の納付義務が免除されます。

以上の内容は社会保険局情報を読み砕いたものです。会員各位と参考情報として共有いたします。

中智日本企業倶楽部 智櫻会

中智日本企業倶楽部 智櫻会

2019年8月29日

2019年8月29日