ホーム > HRニュース > 中国HRニュース> 【判例】同一労働同一賃金とは、同一の職位にある労働者へ等しく同額の賃金を支払うことを言うのか?(2021年2月26日)

【判例】同一労働同一賃金とは、同一の職位にある労働者へ等しく同額の賃金を支払うことを言うのか?(2021年2月26日)

案例:

魏氏は2015年11月にある工場へ入社し、アフターサービスの業務に就いていた。労使双方は期間の定めのない労働契約を締結していた。ある日、魏氏はふとしたことから、同じ業務に従事している趙氏が、業務成績の良し悪しに関わらず毎月「職務手当」をもらっていることを知った。職位手当を貰っていなかった魏氏は、工場側が自身の賃金を差し引いたとして、労働人事仲裁委員会へ仲裁を申立て、会社側へ「労働法」の同一労働同一賃金規定に基づき自身にも職務手当を支給するよう求めた。

争点:

会社側は、同じ職位で同じ業務に従事している従業員に対して、全く同じ賃金を支払わなければならないか?

分析:

仲裁庭は、本案件の争点を「会社側の行為が同一労働同一賃金規定に反するか」であるとし、審理を進めた。

「労働法」第四十六条には、「賃金の分配は労働に応じた分配を遵守し、同一労働同一報酬を実施する」とある。同一労働同一賃金については旧労働部弁公庁による「『労働法』若干条文に関する説明」に規定があり、そこには「『同一労働同一賃金』とは、使用単位が同一の業務に従事し、等しく労働し同一の労働業績を挙げた労働者について、等しく労働報酬を支払うことを言う。同一労働同一賃金は相対的なものであり絶対的なものではなく、使用単位へ同一の職位にあるすべての労働者へ等しく賃金を支払うことを求めるものではない。同一の職位にある労働者へ、労働技能や業務経験、熟練度、業績等がそれぞれ異なっていることを理由として、賃金に差異を設けることは、労働力価値の一般的規律や労働分配の原則に反するものではないから、同一労働同一賃金の原則に反しない」と示されている。

仲裁庭は審理の結果、魏氏が康氏、趙氏、周氏ら7人とともに属しているアフターサービス部門のうち、趙氏だけが職務手当を受け取っていたことがわかった。しかし会社側が提出した資料によると、趙氏は2003年12月に人事部の審査を受けて「テイスティング」を行う上級業務に就いていた。会社側が趙氏の特殊技能に応じてより良い待遇としたことは、会社側の自主的経営権行使の範疇である。翻って魏氏は在職期間中何ら技能証書や役職を得ておらず、これで趙氏と同じ待遇を求めるのは理に適っていない。

従って労働人事仲裁委員会は、最終的に魏氏の訴えを退けた。