ホーム > HRニュース > 中国HRニュース> 【「ドライアイ、治療が必要な目の症状」について】駐在会員向けの健康ヘルスケアコーナー(2021年11月11日)

【「ドライアイ、治療が必要な目の症状」について】駐在会員向けの健康ヘルスケアコーナー(2021年11月11日)

  

コロナ感染予防でオンライン作業が増える中、目への負担は増加傾向にあります。

乾燥感だけにとどまらない様々な眼の不調、何もせず放置していないでしょうか。嘉会国際病院の眼科に着任した翁欣瑜(Weng Xinyu)先生にドライアイについて聞きました。

■最近目が乾燥して長時間のデスクワークが辛く感じます。どうして、目が乾燥するのでしょうか?■

パソコンや携帯などのデジタルデバイスを多用するデスクワークでは、作業に集中するとディスプレイを集中して見つめ続けるため瞬き(まばたき)の回数が減少します。一説に、パソコン等を使った作業時には、瞬きの回数は通常の1/3程に減少するとも言われます。瞬きは涙液(るいえき:なみだ)を眼球の表面全体に行き渡らせる作用があり、目の表面の乾燥を防ぐ意味があります。

また気温が低下する秋以降は空気中の湿度が低下し、また室温を保つための空調による空気の循環も目の表面の水分蒸発をまねきます。

■ドライアイの診断■

こんな症状はありませんか?ドライアイ(乾燥性結膜角膜炎)の可能性があります。

  

image source : https://www.santen.co.jp

△目が疲れやすい

△目が痛い

△目がかゆい

△目やにが出る

△目がゴロゴロする

△物がかすんで見える

△目が重い

△目が充血しやすい

△目の不快感が取れない

△目の乾燥感が続く

△眩しくかんじる

△涙目

上に述べた自覚症状に加えて、目の表面を覆う涙の層と結膜・角膜に異常が認められるとドライアイと診断されます。

■涙がもつ大切な働き■

眼球表面にある涙は油層と液層という二つの層から構成されていて、眼球の粘膜上皮を覆い、結膜や角膜を保護しています。液層は涙腺から分泌された涙液で、眼球表面の粘膜上皮から分泌されるムチンと呼ばれる粘液成分(糖タンパク)が混ざっています。油層の脂分は上下の瞼(まぶた)のまつ毛の奥にあるマイボーム腺という腺から分泌され、涙液の蒸発を防ぐ働きがあります。

  

image source : https://www.nhk.or.jp/kenko

眼球表面にあるこの涙液層の乱れは様々な要因によって引き起こされます。長時間のデジタルデバイスを使用するデスクワーク、気温の低下、空気の乾燥、コンタクトレンズの使用、喫煙といった外的要因、緊張やストレスといった心理的要因、加齢による涙腺の萎縮、糖尿病や自己免疫疾患であるをシェーグレン症候群、眼瞼に対する手術歴、油層分の脂分を分泌するマイボーム腺の障害などの内的、器質的な要因があげられます。

嘉会病院の眼科では、最新の機器を使用して、迅速に眼球表面を覆う涙液の状態を確認し、ドライアイの診断を行うことができます。

■ドライアイは注意すべき疾患ですか?ドライアイに隠された重篤な疾患はありますか?■

ドライアイは注意すべき疾患です。眼球表面のバリアー機能が低下し、結膜炎や角膜炎などを誘発しやすくなります。涙液層が不安定になると目の不快感が出るだけでなく、視力が低下したり、涙目になったり目やにがよく出るようになることもあります。

マイボーム腺に異常があり、分泌腺が塞がれているドライアイの患者さんでは、ものもらいを繰り返すケースもよくあります。難治なドライアイは糖尿病やシェグレーン症候群など全身性の病気が原因であることもありますので、早めに受診し相談することをお勧めします。

  

image source : https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health

■ドライアイの治療はどのように行いますか?■

涙と涙液層の状態により、涙液を補充したり修復するための最適な目薬を処方します。同時に、眼球表面の炎症症状を認める場合には、抗炎症炎症作用のある点眼薬を処方します。

眼瞼のマイボーム腺の出口が塞がれている場合、眼球を温める温罨(おんあん)法やマッサージ方法を指導したり、最新の専用機器で治療を行うこともあります。涙液の分泌が少ないなどの症例では、涙が鼻腔に排泄される涙管の排泄点である涙点を特殊なプラグで栓をして涙の排泄を防ぎます。

  

image source : https://www.skk-net.com/

これらの眼科領域の医療処置と同時に、ドライアイを引き起こしている生活環境要因、仕事環境などを患者さんと確認し、改善指導を行います。

■子供と大人、男性女性で、ドライアイの症状で気をつけるべき点はありますか?■

子供の場合、アレルギー性結膜炎の症状がないか確認が必要です。男女ともに、デスクワークの最中は定期的に目を休憩させ、就業環境が乾燥しすぎていないかを確認しましょう。また喫煙は眼球表面にも良い影響がありませんので、控えるようにしましょう。そして夜間は就寝前の“ながら携帯”の時間を短くし、しっかりと睡眠を確保して、目を休めてください。

症状が改善しない場合、なるべく早く眼科を受診し、必要に応じて点眼薬の処方や眼の状態に合わせた処置を受けるようにしましょう。

眼科領域疾患では、ドライアイ以外にも年齢により緑内障、白内障、強度近眼を呈する網膜疾患(裂孔、剥離)や、黄斑変性、糖尿病性網膜症、高血圧性網膜症など様々な疾患が存在します。眼科検診をしばらく受けていないかたや、ご家族にこれらの疾患がある方は、一度ご自分の目の状態を確認するようにしましょう。

  

  

中智日本企業倶楽部 智櫻会

中智日本企業倶楽部 智櫻会

2021.11.11

2021.11.11