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【情報】企業の復工復産に関するQ&A (2022年5月31日)

一、雇用管理

1、使用単位が疫病により経営困難となった場合に採り得る雇用管理措置について教えてください。

疫病の流行により使用単位の生産と運営が困難になった場合、使用単位は労働者との合意により年休の優先消化、給与の調整、賃金支払いの延長、交替勤務、労働時間の短縮、仕事と生産の停止などを柔軟に行うことができます。労働関係を安定させ、従業員をリストラしないように、またリストラを最小限に食い止めるよう努力すべきでしょう。

参照規定:

(1)人的資源社会保障部「新型コロナウイルス感染性肺炎の流行予防及び対策における労務関係の適正な取扱いに関する通知」(人社庁発明電〔2020〕5号)

(2)人力資源社会保障部、中華全国総工会、中国企業連合会、中国企業家協会、中華全国工商連合会「新型コロナウイルス感染肺炎流行予防・制御時の労働関係の安定と企業の復工復産支援に関する意見」(人社部発2020〕8 号)

2、労働者が疫病のリスクを理由として業務の手配に従わない場合は、どうすればよいですか?

使用単位は労働者の労働安全保護を徹底し、疫病のリスクを取り除く義務があります。ただし、労働者が勤務する地域が、封鎖区や管控区でない場合、又は既に強制防疫措置が解除されている場合、労働者は新型コロナに感染するリスクが存在することを理由に、使用者の手配する業務を拒否する事はできません。

参照規定:「中華人民共和国労働法」第三条第一項、第五十二条

3、労働者は、使用単位がマスクや消毒液などの防疫用具を提供しないことを理由に、出勤を拒否することはできますか?

できません。労働者は公民として、疫病流行時には積極的にマスクを着用する義務があります。所在地域や業種が、企業に対して職場復帰の際にマスクや消毒液を支給するよう規定していない限り、労働者はこれを出勤拒否の理由とすることはできません。労働者がこれを理由として故意に職場復帰を拒否し、話し合いによっても合意に至らなかった場合、使用単位は規則制度に従って対処することができます。

4、使用者が感染予防抑制の必要から衛生防疫等の規則制度を策定した場合、労働者に遵守義務がありますか?

当然に遵守しなければなりません。感染予防抑制に積極的に参加することは、全ての国民と企業の法的義務であります。使用者は感染予防抑制に関する規則制度を策定して雇用管理を強化するだけではなく、積極的に防疫法規を遵守し、政府の防疫政策に応えなければなりません。労使関係は人に依存するものであり、労働者は使用者の合理的な手配に従わなければなりません。したがって、使用者の策定した衛生防疫規則制度が合法かつ合理的であり、労働者の権利を侵害するものでない場合、労働者は遵守する義務があります。

参照規定:

(1)「中華人民共和国労働契約法」第四条

(2)「中華人民共和国伝染病予防法」第三十一条

5、防疫の常態化にともない、使用者は適切な従業員管理のため規則制度にどの様な内容を規定すべきでしょうか?

疫病の流行期間は、使用単位の生産・運営、労働方法、オフィス所在地の市・区レベルの政府部門がさまざまな予防・管理状況に対応すべく、さまざまな政策・政令・措置を発表・公布・導入しており、使用単位の雇用管理に対する要求も高くなっています。

防疫管理の正常化の流れを踏まえ、使用単位は以下の方面で規則制度を最適化します。

(1)国や地方の防疫管理の基本要件と原則を規則制度に盛り込む、(2)防疫管理の要件は頻繁に調整されるので、あらかじめ規定に「包括条項」を設ける、(3)疫病の予防管理に協力しない行為を規則違反とし、それに対応する懲戒処分を規定する、(4)在宅勤務の要件に合わせ、在宅勤務期間中の勤怠管理、業務報告、業績評価、その他の具体的な事項を詳細に規定する、(5)疫病の業績に与える影響を考慮し、流行病の予防と制御に適応した労働報酬の構成、計算、賃金の支払い方法を調整する。

二、賃金待遇

1、労働者が新型コロナ肺炎と診断され隔離治療を受け、又は疑似感染者として隔離されている期間中、どの様に給与を支給すればよいでしょうか?

正常な賃金を支払わなければなりません。新型コロナ感染者、疑似感染者及び濃厚接触者が隔離治療や医学観察を受けている期間中、企業は正常出勤に応じた賃金報酬を支払わなければなりません。

参照規定:

(1)「中華人民共和国伝染病防治法」第41条

(2)「中華人民共和国伝染病防治法実施規則」第49条

(3)人力資源社会保障部弁公庁「新型コロナウイルス肺炎の疫情予防抑制期間における労働関係問題の適切な処理に関する通知」(人社庁明電[2020]5号)第1条等。

2、政府による防疫措置により操業停止に陥った場合または労働者が復職できない場合、どのように労働者へ賃金を支払えばよいのでしょうか?

政府が法律に基づいて行った予防管理措置(新型コロナウイルス肺炎感染者、疑似感染者、濃厚接触者として隔離等)により、企業が操業を停止した、または労働者が仕事に復帰できない場合の対処は、状況によって異なります。

まず、企業が復職できていない労働者へ電話やインターネットを使って通常業務を提供するよう手配した場合、通常業務に従って賃金が支払われます。 次に、企業が労働者へ年次有給休暇または企業の福利休暇を取るように手配した場合、賃金は関連する休暇の規定に従って支払わなければなりません。最後に、企業が操業を再開していない、または労働者が復職できておらず、他の手段で正常な労働を提供できない場合、企業は業務及び生産停止中の賃金支払いに関する関連規定を参照し労働者と交渉し、労働契約で合意した基準に従って賃金支払いの1サイクル以内に賃金を支払う必要があります。もし賃金支払いが1サイクルを超える場合、企業は労働者の生活賃金を支払わなければなりません。

参照規定:

上海市人力資源社会保障局「労使関係の調和と安定維持における業務指針に関する通達」(沪人社関(2022)89号)第三条第九項

3、労働者が疫病予防規定に違反したことが原因で検疫または医療観察下に置かれた場合、その間の賃金を支払う必要はあるでしょうか?

労働者が故意に政府部門の疫病予防抑制の要件を遵守しなかったことが原因で、当該労働者が隔離治療または医学観察下に置かれた場合、その責任は労働者側にあります。この場合、会社側は隔離期間中について当該労働者へ賃金を支払う必要はありません。

4、疫病の流行による影響を理由として、賃金の支払いを遅らせることは可能でしょうか?

企業が疫病の影響を受け、生産や操業が困難となり、一時的に賃金を支払うことができなくなった場合、工会または従業員の代表と協議一致の上、原則として1ヶ月を超えない範囲で労働者の賃金の支払いを延期することができます。

参照規定:

(1)「上海市企業賃金支払規則」第十条

(2)上海市人力資源社会保障局「上海市労働関係の安定調和業務推進に関する通達」(沪人社関(2022)89 号)第三条第十項

5、疫病流行の影響で賃金の支払いが遅れた場合、労働者は労働契約を解除して経済補償金の支払いを請求できますか?

請求できません。この場合、労働報酬を全額、期限内に支払わないことについて、使用単位に悪意があるかどうかを検討する必要があります。使用単位が経営難となっており、資金繰りに苦慮している証拠がある場合は、「労働契約法」第38条に規定する労働報酬の全額払い、期日払いへの違反による労働契約解除を理由とする経済補償金の請求は認められません。

参照規定:

「上海市高級人民法院『労働契約法』適用問題に関する意見」(沪高法[2009]73号)第九条第一項

6、労働者がオフィスで隔離され、帰宅できない状況となった場合、使用単位は当該労働者へ残業代を支払う必要があるでしょうか?

必要ありません。労働者がオフィス内で封鎖されている場合、使用単位は通常の出勤に応じて賃金を支払わなければなりませんが、通常の出勤時間を超えた時間(例えば標準労働時間8時間を超えた時間)は時間外労働とみなされません。時間外労働とは、使用単位が通常の労働時間を超えて労働者を継続的に働かせるよう手配することを言い、このケースにおいては時間外労働の要件を満たさないことから、使用単位に時間外賃金の支払いを求める法的根拠はない、ということになります。但し、生産と運営の必要性から、使用単位が労働者の同意を得て通常の労働時間を超えて労働させるように手配した場合は、使用単位は時間外賃金を支払わなければなりません。

参照規定:「中華人民共和国労働法」第四十四条

7、新型コロナウイルス感染者の隔離期間終了後も、休職して治療を続けている労働者に対して、使用単位は賃金を支払う必要があるでしょうか?

医療期間中の労働者には、医療期間中の賃金を支払う必要があります。法定医療期間満了後は、私用休暇として処理することができます。

参照規定:

(1)「新型コロナウイルス感染肺炎流行予防・制御時の労働関係の安定と企業の業務・生産再開支援に関する意見」(人社部発〔2020〕8 号)

(2)上海市人力資源社会保障局および上海市財政局発「本市人的資源社会保障領域における疫病対策の全面支援に関する政策措置の通知」

8、勤務場所が封鎖されたために労働者が勤務場所へ立ち入れない場合、使用単位は労働者へ賃金を支払う必要があるでしょうか?

事業場が閉鎖され、労働者が事業場に入れない場合、労働者は事業場に行って仕事を提供することができないので、労働者側に責任はないといえます。この場合、使用単位は在宅勤務が可能な場合は在宅勤務を手配して労働者へ通常の賃金を支払うか、使用単位の自主経営権に基づき年次有給休暇や振替休日を手配するか、関連法規に基づき業務停止を手配するかの、いずれかの方法を選択することができます。

9、出張に行った労働者が、疫病流行のため予定通り戻れなくなった場合、使用者はその期間中の賃金をどのように支払えばよいでしょうか?

労働者へリモートワークを手配した場合は、通常通りに賃金を支払わなければなりません。リモートワークの手配ができない場合、年次有給休暇や振替休暇を手配することができ、この場合は通常通り賃金を支払う必要があります。リモートワークや年次休暇、振替休暇を手配できないときは、賃金について労働者と相談する事ができます。

参照規定:

「新型コロナウイルス感染肺炎流行予防・制御時の労働関係の安定と企業の業務・生産再開支援に関する意見」(人社部発〔2020〕8号)第二条

10、疫病による経営困難を理由として、労働者の勤務部署を調整し減給を行うことはできますか?

できません。労働者の賃金を引き下げたり、労働者の勤務部署を調整したりすることは、いずれも労働契約の重大な変更であり、使用者と労働者の合意が必要です。疫病の流行で経営困難となった場合でも、使用単位が一方的に賃金を引き下げることはできず、労働者との話し合いによる合意か、民主的な協議手続き(従業員代表大会、工会、従業員代表との協議)を行う必要があります。

参照規定:

人的資源社会保障部弁公庁「新型コロナウイルス感染性肺炎の流行予防及び対策における労務関係の適正な取扱いに関する通知」(人社庁発明電〔2020〕5 号)第二条

11、女性労働者の産休と使用単位の操業停止期間が重なった場合の賃金支払いについて教えてください。

この場合、産休中の女性労働者に対して「女職工労働保護特別規定」に基づく賃金を支払わなければなりません。「上海市企業賃金支払辨法」にある、操業停止期間中の賃金支払規定は適用されませんので、注意が必要です。

参照規定:

(1)「女職工労働保護特別規定」第八条第一項

(2)上海市人民政府『女職工労働保護特別規定』の貫徹実施における本市女性職工の出産育児保険調整規定に関する通知」第二条

12、在宅勤務中に転倒やケガをした場合、労災と認定されるのでしょうか?

従業員の負傷が労災と認定されるには、就業時間中の負傷、職場での負傷、業務に起因する負傷、のいわゆる「3工」要件を満たしている必要があります。在宅勤務について言うと、労働者が使用者の同意又は手配により在宅勤務を行う場合、自宅が勤務場所となります。伝統的な「9時から5時まで」という勤務形態とは異なり、在宅勤務は労働時間が、より緩やかで断片化されており、使用者は時間より成果を重視することになります。したがって、勤務日の9時から5時の間が労働時間と認定されるだけではなく、それ以外の時間の勤務も排除されません。労働者が負傷した時間が勤務時間に含まれるか否かの争いを避けるため、従業員に対して在宅勤務の「出勤時間」を明確に通知する必要があり、きちんと電子勤怠記録を作成して、使用者は管理に責任を負わなければなりません。業務に起因するものか否かについて、労働者が労働を提供したときに使用者の直接監督下に無い場合、傷害事故が発生した場合、原因やプロセスは従業員とその家族の説明に基づくことになり、使用者が反証できなければ、労災と認定される可能性が高くなります。

13、労働者が労働時間に勤務場所にて新型コロナウイルスに感染した場合は、労災に認定されるのでしょうか?また、労働者が出勤及び退勤中に新型コロナウイルスに感染した場合はどうでしょうか?

1.「労災保険条例」第十四条では、労災として認められるべき状況について、①労働時間中に、就業場所において、業務により負傷したとき、④職業性の疾病に罹患したとき、と規定されています。新型コロナウイルスは、一般的に業務内容そのものが原因で感染につながるものではないため、労働者が就業時間中、勤務場所において業務に直接関連して罹患したか否かを判断することは困難です。そのため、新型コロナウイルス肺炎の発症は上記規定にいう事故災害ではなく疾病とされており、職業性疾病の分類・目録にも記載されていません。すなわち、新型コロナウイルスへの感染は職業病に該当しないことになります。したがって、労働時間中に勤務場所で新型コロナウイルスに罹患しても、労災と認定されることは難しいでしょう。但し、労働災害保険規則第十五条第一項に定める、労働者が労働時間中に勤務場所において疾病により死亡した場合や、または救助後48時間以内に死亡した場合に該当すれば、労災とみなされる可能性があります。

2.人社部、財政部、国家保健福祉委員会公布の「職責により新型コロナウイルスに感染した医療・看護及び関連労働者の保護に関する通知」により、医療・看護及び関連労働者が業務により新型コロナウイルス肺炎に感染しまたは死亡した場合は、労災とみなされ、労災保険の待遇を受けることとなります。

3.「労災保険条例」第十四条第六項では、労働者が通勤途上における交通事故、都市鉄道、旅客フェリー又は列車内の事故により負傷し、その負傷に主たる責任がない場合は、労働災害と認定されます。しかし、通勤途中に罹患した新型コロナウイルス肺炎は、交通事故による傷害ではなく疾病であるため、一般的に労災として認定されるのは難しいと思われます。

14、疫病流行期間において、使用単位が労働者をボランティアに派遣した場合は、賃金が発生するでしょうか?また、新型コロナウイルスに感染した場合は労災となるのでしょうか?

1.労働者が使用単位の指示を受けてボランティア活動に参加する場合、通常の出勤に対する賃金に準じた賃金が発生します。ボランティア活動中の賃金や福利厚生について、労使双方が話し合い合意書を作成することも可能です。

2.「労災保険条例」第十五条第二項による、国益や公益を守るための救助・救援活動などの活動で受けた傷害は、労災とみなされます。ボランティアによる防疫活動中に新型コロナウイルスに感染し、発症した場合は、国益や公益を守るための活動による疾病であることから、労災とみなされる可能性があります。

15、新型コロナウイルスに感染した労働者の病気療養期間は、どのように算定されるのでしょうか?

新型コロナウイルス肺炎患者、病原体保有者、疑い患者及び濃厚接触者に対する検疫又は医学的観察期間は、病気療養期間としてカウントされません。検疫が終了した後、労働者が治療を継続するために仕事を止める必要がある場合、病気療養期間は治療を開始した日からカウントされます。病気療養期間は、労働者の実際の勤務年数や、使用単位での勤続年数に応じて決定されます。

参照規定:

(1)上海市人力資源社会保障局、上海市財政局発「本市人社領域における疫病対策への全面的支援に関する政策措置」

(2)旧労働部「企業職工の疾病及び業務によらない負傷における医療期に関する規定」(労部法[1994]479号)第三条

(3)上海市人民政府「本市労働者の労働契約期間における疾病及び業務によらない負傷に対する医療期の基準に関する規定」第二条