《コスト削減と効率向上の環境下で人的資源分野の経験・教訓・課題》会員研討会を開催(2024年7月18日)
7月18日、《コスト削減と効率向上の環境下で人的資源分野の経験・教訓・課題》多業種会員研討会を中智ビルで成功裏に開催しました。この会は、30社の各業種のコア会員企業経営者および人事総責任者が参加する非公開形式で行いました。
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開会に先立ち、中智日企倶楽部・智櫻会部長の馮串紅から本研討会の企画主旨を説明しました。現在、在中日系企業は前例のないチャレンジに直面しており、コスト削減と事業効率化が人事部の重要な使命となっています。多くの会員企業が実質的に成功した一方、さらに多くの企業がいまだ苦しみながら模索しています。この会が各業種の経営管理者が、共に経験や教訓、課題、そして現状と見通しについて忌憚なく交流し、参考案を導く場となれば幸いです。
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第一部:11社の多業種日系企業会員代表がスピーチしました
養楽多(中国)投資有限公司の松浦 祐司董事・総経理は、中国駐在20年を超え、技術や製造工程は、問題なく日本と共通のものを導入できているが、人のマネジメントについては、日本独特の文化があり、一生一社そして海外経験もなく、そのまま中国に赴任の方々が多い為、中国でのローカル人事管理について課題が多いと指摘しました。
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キヤノン(中国)有限公司上海分公司の栄奕文華東渉外行政部総経理は、「全員営業」の方針の下、行政部門が売上に貢献するために行った様々な取り組みを紹介しました。内部研修の講師として他社で研修を行い交流のきっかけを作ったり、キヤノンに訪問してもらい会社の企業文化や製品への理解を深めてもらうなど様々な新しいアイデアや活動を通じて、効率を高める方法を語りました。
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上海櫻花文化用品有限公司の南本 龍作副董事長・総経理は、総経理に就任した2014年から進めてきた「見える化」活動を紹介し、コストの削減にはハード面だけではなく、ソフト面の人事制度の改善も同時に進める必要があると指摘しました。これからも、「精益求精」の精神で業務の改善に取り組んでいくと述べました。
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東麗先端工程技術(上海)有限公司の宋国強董事・副総経理は、同社の管理部が推進しているコスト削減と効率向上の取り組みを紹介し、①業務の見える化、②DX化による業務効率化③プロ人材の育成などについて共有しました。
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上海林内有限公司の馬偉紅人力資源部部長は、流通チャネルの統合、優秀な販売代理との契約、人材配置の最適化などを通じて、常に営業部署の効率向上に合わせた改革を実施し、コスト削減を実現した経験を共有しました。
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那電久壽機器(上海)有限公司の水戸 隆董事長・総経理は、競争が激しく業績が厳しい中で、駐在員の減少や働き方改革の取り組みを紹介し、改革を円滑に進めるためには中国人管理者とのコミュニケーションが大切であると強調しました。
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博邁立鋮投資(中国)有限公司の孫海雄董事・副総経理は、①人材教育リソースの共有、②安全管理コンサルティング機能の強化、③ITシステムの統合、④広報活動など、各グループ会社から統括会社に統合することでコスト改善を実現した経験を共有しました。
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上海凱迪迪愛通信技術有限公司の甫足 空董事・総経理は、費用を削減しつつ業務効率を向上させるDXの活用事例や、人事面では成果だけではなく挑戦も重視する人事制度の採用、360度評価、フィロソフィ活動など、経費をかけず効果を上げる取り組みを紹介しました。
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三井住友海上火災保険(中国)有限公司の鄔情総監は、非人件費のコスト削減やAI、BPO、BROを活用した業務効率向上の取り組みを紹介しました。
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MUFGバンク(中国)有限公司の尼田 健企業戦略部長は、最近の在中日系企業の経営状況を紹介し、自行で推進する「スピード&アジリティ(前言撤回を恐れない)」をスローガンに積極的に発言して軌道修正するカルチャーを広める企業文化改革を紹介しました。
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不二越(中国)有限公司の三浦 昇董事は、中国人社員の提案を積極的に採用し、物流、倉庫や各拠点のスペースの見直しなどを通じてコスト削減を実現した経験を共有しました。
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第二部:11社の日系企業経営幹部の共有後、参加者全員による交流を行いました。
東京海上日動火災保険(中国)の烏日楽総経理助理董事会秘書兼人事行政部総経理、上海吉田拉鏈の張薇人事部長、豪雅(上海)光学の丁毅総裁助理、東芝(中国)上海 の何震宇人事行政部門部門長、東芝電梯(中国)の王麗娟人事部部長、三菱商事金属貿易(中国)の趙蒨人事総務IT部門長、上海中村精密金属の施元銘副総経理、三井化学(中国)管理の金仁子人事総務部長、清水建設(中国)の朱漪人事部長、松下信息系統(上海)の張永炳人事部長らが、自社の取り組みや経験、課題を共有しました。会員企業コニカミノルタ医療科技(上海)、久保田(中国)投資、上海津村製薬、ミスミ、BIC(北京伊藤忠華糖)、コニカミノルタオフィスシステムズ(中国)、藤田(中国)建設工程、兄弟機械商業(上海)の皆様にもご参加いただきました。
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本研討会では、経営者と人事管理者が直接対話し、企業の現状と未解決の課題について真摯に分析しました。
①グローバル経済の不確実性、有効需要の不足、そしてAIやイノベーションへの挑戦という環境下で、在中日系企業の経営者は長期的な視野を持つ必要があります。在中日系企業の課題は、「通過客的」経営モデルにあります(決定権を持つ方は短期赴任の方が多く、経営と管理の持続性に欠ける)。中国で成功している日系企業では、経営のトップが中国のビジネスモデルに精通し長期間駐在する日本人であるか、または非常に優秀な決定権を持つ中国人経営幹部が存在します。
②本社による中国現地法人への過度な管理も、在中日系企業が抱える悩みです。日本本社の指示が過剰で、改革の推進が困難となり、中国での持続的な発展にあまりプラスになっていません。
③コスト削減と効率向上において、「創」の思考を増やし、日系企業間のビジネス協力を推進するとともに、非日系企業とも積極的に友好関係を築くことを提唱します。共に協力し、競い合いながら、自社の強みをアピールし、「創」によって新たな収益を増やすことが重要です。
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交流会では、中智日企倶楽部・智櫻会のサービスチームが、「絆から創」ビデオを放映して会員の皆様に1年間の倶楽部の活動を報告し、これまでのご支援とご信頼に感謝を述べました。
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その後、参加者全員による記念撮影行い、「中智大厦」を見学しました。
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4時間あまりの研討会は、参加者が率直に意見を交換できる貴重な場となりました。今後もシリーズで定期的に実践的で参考価値のある研討会を開催し続けます。