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『2017年中国人力資源フォーラム「日系企業分科会」開催のご報告(2017年9月15日)』

 9月14日、中智上海経済技術合作公司は、上海嘉里大酒店において「2017中国人力資本論壇・日系企業分科会」を開催しました。日系企業分科会会場では、駐上海日本国総領事館、上海日本商工クラブ、各業種のリーディングカンパニーより訪れた代表者ら、中智日企倶楽部・智櫻会会員企業の上級管理者230余名が一同に会し、ハイレベルで専門的な経営者フォーラムに参加しました。


 
■フォーラムに先立ち、主催者を代表して中智上海経済技術合作公司副総経理の徐伊文氏が、来賓を代表して在上海日本国総領事館の平山大典領事がそれぞれ挨拶を述べました。


 徐伊文副総経理から、主催者を代表して来賓の皆さまに対し感謝を表しました。中智公司は成立以来30年、一貫して日系企業を重要なお客様としてサービスを提供しており、皆さまの信頼と支持に対し感謝を述べました。そして中国の高度成長が目まぐるしい変化を遂げている現在、日系企業は自身への、業界全体への、業務規模への、グローバル戦略への、そして時代への課題を背負う局面となっています。中智上海は経験豊富で熟練した対日系企業サービスチームを有しており、幅広い日系企業のお客様より高い信頼を得ております。中智日企倶楽部・智櫻会は日系企業の中国における再成長へ向けて更に優れたサービスを提供することでしょう。今後も引き続き、中智に対するご関心とご支持を賜りますようお願いします、と述べました。


 
  続いて在上海日本国総領事館の平山大典領事が来賓を代表して挨拶を行い、2017年人力資本論壇「日系企業分科会」の開催に祝意を述べ、主催者の中智公司及び来賓の各位、講演やパネルディスカッション参加企業の代表者に対して深い感謝の意を表しました。挨拶では、中国経済は安定期に入ったが、他の国と比べて高い経済成長率を維持しています。また従来、在中日系企業は製造業が中心でしたが、現在はサービス業、IT業等の産業が増加しています。総領事館は在中日系企業の支援を重要な使命のひとつとし、同時に、今年は日中国交回復45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年を迎えるにあたり、領事館としても様々な活動への取り組みや参加を通じて日中の人的経済的交流発展に貢献して行いたい、と述べました。最後に来賓の皆さまのご健勝と事業の発展を祈り挨拶を締めくくりました。   


 
■続いて三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司投資銀行部中国ビジネスソリューション室の小泉大祐室長が、《中国の経済動向と最新の金融諸規制トピックス》をテーマに講演を行いました。

  小泉大祐氏は、講演で今後の経済日程、GDPの構造、消費、投資、外需の動向、物価や金融政策、不動産市況など主要な経済指標の最新データを参加者と共有しました。また、金融規制に関する政策や外貨準備、対外投資、外債管理方式の最新政策等について詳しく解説しました。三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司は、日本最大の都市銀行の現地法人として2007年7月に設立され、当地外銀のリーディングバンクとして、引き続き中国事業の強化に取り組んでいます。   


 
■ “経営と人”パネルディスカッション

  今回の日系企業分科会では初めてパネルディスカッション方式が採用され、「経営と人」をテーマに、中日の壁をどう打ち破るか、中国発のグローバル人材の育て方について、中智と大手日系企業の代表者がディスカッションを行い、日系企業成功の道とボトルネックを探りました。パネルディスカッションでは、中智日本企業倶楽部の馮串紅部長が司会役、日経BP中国社の谷口徹也総経理がコメンテーターを務めました。パネリストには、キヤノン中国、江蘇王子製紙、富士フイルム、三井金属、新日鉄住金軟件等の業界を代表する企業の代表者に登壇頂きました。   



  はじめに日系企業をめぐる「中日間の壁」について議論を行い、江蘇王子製紙の岩永本部長は、「法令順守」に対する姿勢や、心理面の壁として対応方法やスピード感に対する壁が存在すると指摘しました。しかし、日系企業は「市場を借りてビジネスをさせていただいている」という謙虚な気持ちを持って、チャイナスタンダードに一定の折り合いをつける必要があると述べました。富士フイルムの姚部長は、日本企業が現地化する過程で存在する壁として、日本人駐在員が重要なポストを独占していると、役割に疑問を抱かれると指摘し、権限移譲の重要性を強調しました。これに対し、キヤノン中国の森川高級総経理は、中国人だから、日本人だからではなく、その役割に合った人材を「国籍や性別などを超えて」適材適所を実現・追求することが大切だと述べました。また、新日鉄住金軟件の鄭総括部長は、中国人社員の立場からの本音として、本社が派遣する駐在員の基準は何か、駐在員の任務は何か、現地社員には理解できない場合があると述べ、異文化の環境で業務を行うには、駐在員を派遣する前に現地の意見を取り入れ、最適な駐在員を選んで派遣すべきであると指摘しました。また、「中日の壁」について三井金属の境総経理は、積極的に壁を取り除く取り組みについて、本社社員の中国に対するネガティブな印象を変えるため、今年から中国で2週間の新入社員研修を実施したことを紹介し、実際に身近に経験する事で、新入社員の中国に対する印象が大きく変化したと述べました。   

  続く「中国発グローバル人材の育て方」のテーマでは、キヤノン中国の森川高級総経理は、キヤノンでは、グローバル人材の育成に重要なのは社員に様々な経験を積ませてあげること、すなわち「多様な経験が人材を育てる」と考えており、中国各地、国際赴任を行っている。そのためには、それを支える「風土と制度」が大切であると指摘しました。また、人材の採用の基本理念として採用している4Qを紹介しました。4Qとは、IQ、EQ、AQ、GQの4つのQを指し、IQは知能指数、EQは心の知能指数、AQは挑戦を厭わず困難に立ち向かう気持ちを表す逆境指数、GQはグローバル指数であると解説しました。また、江蘇王子製紙の岩永本部長は、“ONE OJI”の取り組みを紹介し、現在8社が同じ執務室に合流し上海にある王子グループ各社の管理部門のグループ間統合を目指していると述べました。富士フイルムの姚部長は、富士フイルムでは、人材採用の際に国籍、出身、性別を問わず、本当に必要とする人材を採用している。中国国内の優秀な社員の多くが日本本社で勤務 する機会を得ていると述べました。また、新日鉄住金軟件の鄭総括部長は、日系企業に若くて優秀な人材を引き付ける魅力が徐々に失われつつあることを心配している。10年後を見据えて、優秀な人材の引留め問題や社内言語の日本語から英語への転換なども考慮しなければならないと指摘しました。優秀な人材の離職問題について、キヤノンの森川高級総経理は、キヤノン中国では、2年に一度、社員満足度調査を行い、結果を分析し、日頃から優秀な社員の気持ちを理解するよう努め、離職前の予防措置を講じていると述べました。   


  ディスカッションでは、パネリストの方々により、中日の壁をどう破るか、グローバル人材の育て方について深く議論しました。日本人管理者と中国人管理者の異なる立場からスタートし、素晴らしい見解を聞く事ができました。参加者からも、ディスカッションのテーマが非常に興味深かった、日系企業の現地化には決まったモデルは存在しないが、この様なディスカッションを開催することは大変意義がある、今回の議論は在中日系企業にとって参考になる等の感想を頂きました。   



  最後に、中智日本企業倶楽部の新井宏昌が閉幕の挨拶を行いました。中智日本企業倶楽部は、今後も日系企業が中国で発展する為のサポート、日系企業の人のこと、人に関わる全てのことについて総合的にご支援させていただきます。   

 
2017中国人力資本論壇「日系企業分科会」は230名を超える方々にご出席頂きました。著名な日本企業である三菱グループ、三井グループ、キヤノン、富士フイルム、王子製紙、日経BP、三井金属、新日鉄住金、イオン、京セラ、ダイキン、常石、サクラクレパス、ツムラ、福桑精機等の有名グループ経営者の方々にご出席いただきました。今回のパネルディスカッションは、各方面のご支援をいただき、無事に成功裏に終える事ができました。来賓の皆様から寄せられたアンケートのご意見とご助言は今後の日系企業に対するサービス改善の貴重な資料とさせて頂きます。重ねて厚く御礼申し上げます。