> 11月28日中智日本企业俱乐部---2017年総第24講 《中国における契約実務と債権保全・債権回収》開催のご報告
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11月28日---2017年総第24講 《中国における契約実務と債権保全・債権回収》開催のご報告
さる11月28日(火)、2017年第24回講座を「中智上海会議中心」で開催いたしました。
中智上海会議中心:中智グループ専用研修ルーム。淮海路上海図書館前。
開催に先立ち、中智日本企業倶楽部会員経理の新井宏昌から、参加者へご挨拶を述べました。
中国が、世界の工場から世界の市場に変化して以来、日本企業とだけ取引をしていた会社も、中国企業との取引が徐々に増えてきていることだと思います。
その中で、売掛債権の回収に苦労したことがあるという話はよく聞くところです。このような場合、どうやって債権回収をすればよいのか、またいざというときに債権回収ができるようにするには、日頃からどのような点に注意しておけばよいのか、さらに契約書の文言をどのように規定しておけば効果的なのかといった点について、本日のセミナーでは、事例を交えながらご紹介していただきます。
ぜひ、この機会に会員同士で自由に交流、先生との意見交換をしていただき、少しでも皆様の悩みや課題が解決できることを期待します。
今回のセミナーには、在上海日本国総領事館、サクラクレパス、イオン、上海川辺、平田機工、王子製紙、IAI、ディスコ、野村貿易、湯浅商事、滋荣技研贸易などの企業に参加いただきました。
セミナーの講師は、大江橋法律事務所上海事務所の首席代表 松本 亮弁護士が担当しました。
中国における契約の重要性について、中国の裁判では日本以上に書面主義が重視され、契約書が無ければ主張が認められない可能性が高いと述べ、契約書の重要性を強調しました。そして契約時のチェックポイントをいくつか紹介し、中国では営業範囲外の取引は認められないため、取引相手の営業範囲をきちんとチェックしておくことが重要であると指摘しました。また、国際取引の場合、準拠法を規定しておくことも大切だと述べました。続いて、債権回収を見据えた条項について、実際の判例を交えながら解説しました。
債権保全・回収の重要性については、平常時における場合、信用不安時における場合、倒産など非常時における場合の三段階に分けて解説しました。
平常時の債権保全・回収では、連帯保証を取る場合には必ず補償の期間を記載する必要があり、また無限定な保証はかえって無効となる危険があると指摘しました。
信用不安時の債権保全・回収では、中国国外で作成された書類をそのまま中国の裁判所で使用する事はできず、日本で公証・認証が必要になる点を指摘しました。
非常時における債権保全・回収では、中国における倒産制度と倒産までの流れを確認しました。担保権を実行する際には、必ず取引先から了承をえるか、保全の申し立てをしなければならないと指摘しました。
最後の質疑応答時間では、皆様から様々な質問をされ、盛況のうちに終了しました。
中智日本企業倶楽部では、毎月様々なセミナーを開催しています。「中智日本企業倶楽部培訓室」で実施するセミナー・学習会に関心をお持ちの企業様には詳細実施スケジュールもお渡しできます。お気軽に弊社会員サービス部までご連絡ください。
講義風景1 |
講義風景2 |
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講義風景3 |
講義風景4 |
【講座の目的】
中国が、世界の工場から世界の市場に変貌して以来、日本企業とだけ取引をしていた会社も、中国企業との取引が徐々に増えてきていることだと思います。その中で、中国企業のビジネス文化は、日本企業のそれとは異なることから、売掛債権の回収に苦労したことがあるという話はよく聞くところです。
このような場合、どうやって債権回収をすればよいのか、またいざというときに債権回収ができるようにするには、平常時からどのような点に注意しておけばよいのか、また契約書の文言をどのように規定しておけば効果的なのかといった点について、事例を交えながらご紹介致します。
【講義内容】
1、中国における契約実務
2、債権保全と債権回収
2‐1 債権保全・債権回収の重要性
2‐2 平常時における債権保全・債権回収
2‐3 信用不安時における債権保全・債権回収
2‐4 非常時における債権保全・債権回収
3、参加者同士の交流と質疑応答
【講師紹介】
京都大学法学部卒業、北京大学法学院修了。 主な活動:現代アジア法研究会、大阪弁護士会渉外実務研究会、環太平洋法曹協会(IPBA) 取扱分野:海外投資、国際取引、M&A、事業再生・倒産、企業法務、一般民事、中国(香港、台湾を含む)関連法務、アジア新興国法務 主な著作:「中国における財産保全(最高人民法院の財産保全案件の処理に関する若干問題の規定を中心に)」、「外商投資企業に対する管理方法の変化~事前審査制度から事後届出制度へ~」、「中国民商法の理論と実務[97] 中国向け越境eコマースの仕組みと法的留意点」