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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第35回

『春秋航空日本分公司 湯 励 総経理 インタビュー!』2016/3/25


 
春秋航空日本分公司
湯 励 総経理


  ●  中国初の民営航空会社として11年連続黒字を更新中

  ●  成果主義の人事制度が会社の急成長を支える

 

(弊社インタビュアー)(以下弊社)

2004年に中国初の民営LCCとして設立された春秋航空。設立以来11年連続で営業黒字を達成し、2015年には中国民営航空会社として初めて上海証券取引所に上場するなど、航空業界で最も勢いのある航空会社といえます。その春秋航空の日本支社で総経理として日本マーケットの開拓に取り組んでおられる湯励総経理にインタビューしました。

 

◆◆◆  【中国初の民営LCC航空会社として創業】  ◆◆◆

(弊社)

はじめに春秋航空の沿革と事業内容についてお聞かせ下さい。

(湯励総経理)

春秋航空は、2004年に春秋旅行社により中国初の民営航空会社として設立されました。2005年に上海―烟台間に国内線が、2010年に上海―茨城間に国際線がそれぞれ初就航しました。

(弊社)

民営航空会社として設立が認められるまで苦労があったそうですが。

(湯励総経理)

当時は、航空会社は全て国有企業だったので、民営企業が航空業界に参入しても安全性は確保できるのかという疑問や、反発が民航局から寄せられました。しかし粘り強く説得を続けて最終的に、やらせてみようという判断をして頂きました。

(弊社)

中国初のLCCは中国の方々にすぐに受け入れられましたか。

(湯励総経理)

2004年に設立した当時、中国にはLCCという概念がありませんでした。一般の中国人にとって、航空機に乗るのはまだまだ贅沢な事で、航空機のイメージはテレビCMにあるような、座席を45度に倒して綺麗な客室乗務員がシャンパンを運んでくるというものでした。しかしこれは、ファーストクラスの話であり現実ではないですよね(笑)。

(弊社)

当時の中国の方々にとって、航空機の乗るというのは、テレビの中の世界だったんですね。

(湯励総経理)

その様な時代に、皆さんが航空機を手軽に利用できるよう、LCCを提案しました。これは結果的に大成功でした。2008年の金融危機の厳しい年を含め、現在まで11年連続で黒字を確保する事ができ、おかげさまで2015年には上海証券取引所に中国民営航空会社として初めて上場する事ができました。上場により調達した資金を元に、航空機の数を2024年までに現在の52機に加え新たに60機を導入する計画です。

(弊社)

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いですね。日本への就航状況はどうなっていますか。

(湯励総経理)

現在日本へは、羽田、成田、大阪、札幌、旭川、名古屋、茨城、佐賀、高松、広島に就航しています。今後は、まだ就航していない東北、沖縄、北陸にも路線を増やすことを検討しています。その他の地方空港にも、お客様のニーズがあれば積極的にチャーター便を飛ばしたいと考えています。

 

◆◆◆  【頑張れば報われる人事制度で低い離職率をキープ】  ◆◆◆

(弊社)

続いて、日本法人についてお聞かせ下さい。

(湯励総経理)

当社は春秋航空股份有限公司の日本支社として2015年4月に大阪で設立されました。主に営業を担当しています。日本の従業員は約200名となっています。

(弊社)

4月は日本では新入社員の季節ですが、御社ではどの様な人材を求めていますか。

(湯励総経理)

大きくふたつ挙げられます。ひとつめは、会社に対する忠誠度。裏切りや、嘘、サボリは許せません。ふたつめは、能力です。つまり実力がある人、中国人なら日本の文化をきちんと理解している人ですね。単に日本語が話せるだけではダメ!そして、営業職であれば販売の数字が大切で、結果を重視しています。毎日8時間机の前に座っているだけの人は必要ありません。

(弊社)

社内における従業員のキャリア形成はどうなっていますか。

(湯励総経理)

当社は、年功序列的な人事制度は採用していません。能力と実績により、一気に昇進することもあれば、降格することもあります。

(弊社)

成果主義の人事制度と聞くと、従業員のプレッシャーも大きく厳しい印象を受けますが、離職率はどうでしょうか。

(湯励総経理)

離職率は安定していますね。おそらく他の航空会社さんと比べても低いほうだと思いますよ。理由としては、当社は急成長している企業であり、将来性が見えるからではないでしょうか。

(弊社)

確かに、成長している企業の場合、成果主義の人事制度は年功序列型よりも従業員にとって有利ですね。頑張れば頑張っただけ報われます。どの様な人事制度が良いか考える際には、会社の発展段階に合った人事制度の設計が大切ですね。

(弊社)

去年御社は、関西国際空港の拠点化を発表されました。拠点として関西国際空港を選ばれた理由は何でしょうか。

(湯励総経理)

中国人は関西が大好きだからです。なぜなら、歴史がある奈良や京都、グルメは大阪、ファッションなら神戸と、京阪神地区は見所が豊富です。また、関西は首都圏と比べ物価が安いのも魅力ですね。

(弊社)

報道によると日本でホテル事業に参入されるそうですが。

(湯励総経理)

今年の4月26日に、中部国際空港の近くにスプリングサニーホテルがオープンする予定です。早朝深夜便の多い春秋航空を利用していただくお客様の利便性を考えて、場所は空港の近くにしました。雰囲気は日本のホテルですが、中国企業が経営するホテルで中国語が通じます。中国人が安心して利用できるホテルは高いニーズがあると考えています。今後もこの様なホテルを増やしていく計画です。

 

◆◆◆  【日本語ガイドの第一人者として村山元首相の通訳も務める】  ◆◆◆

(弊社)

つぎに、湯励総経理のご経歴を教えてください。

(湯励総経理)

上海外国語大学日本語科を卒業後、旅行会社に入社しました。2004年には近畿日本ツーリスト西日本営業本部でセールス販売を経験しました。中国に帰国後、上海市旅遊局主催の第一回ガイドコンテストで優勝し、それから現在までコンテストの審査員を担当しています。また、日本語ガイドのテキストの編集を行い、2010年の上海万博の際には、上海市政府の通訳として、村山元首相の通訳を務めました。春秋航空には2015年に入社しました。

(弊社)

まさに上海での日本語ガイドの第一人者ですね。日本支社の総経理に就任され、中国人の目から見て、中国人社員と日本人社員を比べた場合、仕事に対する考え方や働き方に違いを感じますか。

(湯励総経理)

日本人社員は、中国人社員に比べホウレンソウがきちんと出来ていますが、自分の意見をはっきりと言いません。対して中国人社員は率直に自分の意見を言ってくれます。また、日本人社員は、上司の指示を100%守ります。どこそこへ出張に行ってくれと指示すると、文句を言わずにすぐ行ってくれます。この点は中国人社員と大きく違いますね(笑い)。

(弊社)

最近よく中国企業の日本進出や日本企業の買収がニュースになっています。中国企業が日本でビジネスする際、どの様なことに難しさを感じますか。また、日中のビジネス習慣の違いについてどの様に感じますか。

(湯励総経理)

中国企業が日本企業を買収する理由は、先進的な技術とグローバルな販売ルートを手に入れたいからでしょうね。また日本のビジネスで難しいのは、時間がかかることですね。初対面でいきなりビジネスの話をするのは失礼で、2回、3回と会ってからでないと、なかなか具体的なビジネスの話を切り出せません。それに対して中国では単刀直入に初対面でもビジネスの話を切り出しますね。習慣でいうと、日本人とのビジネスは、いちど信頼関係を築くと、安定して取引をしてくれるので、日本人とのビジネスは安心できますね。それに対して中国人とのビジネスは、国が大きいので同じ中国人でも地域によっても全く習慣や考え方も違うなど、なかなか難しい面がありますね。

(弊社)

日本で一番感動した観光地はどこですか。

(湯励総経理)

日本には素晴らしい観光地がたくさん有りますが、最近だと四国ですね。四国で食べたうどんに一番感動しました。正直に言うと、例えば、ラーメン、そば、うどんとあった時、うどんは他に食べるものが無ければ仕方なく食べる程度で、あまり好きではありませんでした。ところが、四国で素うどんを食べた時、うどんのイメージが180度変わりましたね。うどんがこんなに旨いとは知りませんでした。
 うどんの他にも瀬戸内の海産物が美味しいですね。また四国八十八カ所など素晴らしい仏教文化に触れることができます。それに、人が少なくどこに行っても静かな環境で、心が落ち着きましね。

 

◆◆◆  【はじめて春秋航空に乗ると、必ず期待を裏切ります】  ◆◆◆

(弊社)

それでは最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。

(湯励総経理)

まだ春秋航空を利用した事のない日本の皆様にぜひ春秋航空の航空機に乗って頂きたいですね。一度春秋航空に乗って頂くと、必ずあなたの期待を裏切ります。
 何を裏切るのか?安いのはチケットだけで、安全性は高いです。11年連続黒字の航空会社で、飛行機は新しくピカピカです。

(弊社)

長時間インタビュー有難うございました。私も日本へ帰国の際には、よく春秋航空さんにお世話になっていますが、初めて乗った時は想像してたより快適で期待を裏切られました。

 

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 【湯 励(トウ レイ) 氏のプロフィール】

 上海外国語大学日本語科卒業後、中国系旅行会社に入社。2004年に、近畿日本ツーリスト西日本営業本部でセールス販売を経験。中国帰国後、上海市旅遊局主催の第一回ガイドコンテストで優勝し、その後、現在までコンテストの審査員を担当。また、2010年の上海万博の際には、上海市政府の通訳として、日本語ガイドのテキストの編集を行い、村山元首相の通訳を務める。2015年に春秋航空に入社後、春秋航空日本分公司の総経理として大阪に赴任し現在に至る。

 

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 【春秋航空日本分公司 様 会社情報】

大阪市中央区本町4-2-12 東芝大阪ビル5階
TEL(06)6224‐0522
FAX(06)6224‐0523

 

春秋航空日本分公司 湯 励 総経理
湯 励 総経理

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