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賃上げに初めて曙光が見えてきた

2010年10月5日

 多くの従業員が神経を尖らせる賃金に対して、人々は公の場で自分の考えを表明する勇気がないかもしれないが、各種ネット掲示板での議論はとめどなく続いている。

 「うちの会社で昇給ということはありえない」、「会社が昇給してくれなければ、我々普通の従業員は会社と駆け引きする余地があるものか」、「業種によって所得格差はなぜこんなに大きいのか。噂によると、中国における業種間の所得格差は16倍に達し、証券業界の平均年収は約17万元の一方、畜産業は約1万元のみ。努力するよりむしろ高収入の業界で職に就いたほうがいい」―。

 最近、盛んに取り上げられる《賃金条例》の草案修正は、現在の賃金構造を根本的に変えるものになるかもしれない。草案の最大のポイントは集団協議による賃上げであり、その骨子は「調低限高」というものだ。すなわち最低賃金を引き上げ、独占企業の、とりわけ高級管理職の賃金を制限するとのことであった。

 独占業界の高収入を制限することにおいて、草案では独占業界に対して定期的に平均賃金、昇給幅、昇給額などの内容を公表するよう求めた。これは従業員の賃上げについて政策で更に保障されることを意味した。このうち、最も争点となったのは、独占企業の賃金を凍結し、同一労働同一賃金及び競争が激しい業界の現場労働者賃金の5年倍増計画を実現するなどの内容であった。

 実際には、企業により経営状況が異なっているため、賃上げを一律に行うことは困難である。最近、上海市人力資源社会保障局は今年の企業昇給ガイドラインを公表した。基準ラインを11%、上限を16%、下限を4%と定めた。企業が昇給を実施するとき、収益状況や同業他社の報酬状況をより多く考えるなど、外資系企業及び国有企業による昇給ガイドラインに対する姿勢は若干異なった。

 中智薪酬公司の調査によると、今年の昇給率は2009年に比べ1~3ポイント上回った。とりわけハイテク業界において、一部の企業は2009年において給与調整を行わなかったため、2010年の昇給幅は15~30%にも達した。