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職場での幸福感をいかにアップさせるか(2011年3月3日)

2011年3月3日

 職場での幸福感―その判断基準は仕事に対する満足度にあり、そのため、職場での幸福感はサラリーマンがよく議論する話題となる。今年1月末に開催された第八回中国EAP(従業員支援プログラム)フォーラムで発表された「サラリーマン幸福感調査報告」によると、サラリーマンの仕事・生活状態に対する幸福感の評価はそれほど高くはなく、中レベルにとどまった。

 「職場での幸せ?何も感じないね」―広告会社に勤めるLucy氏はこう話す。「今は前にもまして仕事に対する興味が無くなってきている。私のやった仕事に関心を持つ人はほとんどいない。自分の仕事はあっても無くてもよいのでは、と常に思う。達成感がまったく無いんだ。どうやって自分の存在価値を証明するのかも分からない」。達成感の無い仕事で、パワーを無くし、やる気も無くしたLucy氏にとって、仕事に対する幸福感は全く見当たらない。しかもLucy氏の話では、仕事に対する目標どころか人生の目標さえも定まっていないところがあるようなのだ。

 

上級管理職、新入社員の幸福感は低め

 「サラリーマン幸福感調査報告」によると、サラリーマンの仕事に対する満足度は、仕事のプレッシャー(仕事の負荷、責任のプレッシャー)、業務内容(職務適任具合、興味・関心度、達成感)、仕事の報酬(給与の公平さ、学習のチャンス、昇進のチャンス)、職場環境(コミュニケーション、人間関係、チームワーク)、企業ロイヤリティ(同僚に対する忠誠心、上司に対する忠誠心、組織に対する忠誠心、帰属意識)、仕事と生活のバランス(社交、生活の享受、安心して働ける)といった6つの構成要素による。

 サラリーマンの仕事・生活状態に対する総体的な幸福感の評価は高くはなく、中レベルにとどまった。その中で、調査対象者は仕事のプレッシャー、企業ロイヤリティにおける満足度が最も下で、仕事の報酬は下から2番目であった。

 「サラリーマン幸福感調査報告」では、一般社員の企業ロイヤリティにおける満足度が最も低かった。艾さんの会社は営業成績で社員を評価する企業で、艾さんの所属する行政部門は脇役的存在であり、彼女の仕事は重要視されることがあまりなかった。艾さんはこう話す。「私が営業部門へ報告に行く際、いつだって私を気に留める人はいない。

 会社が決定する各部門の協力が必要な方策は、いつも結局のところ営業部を助けるためのもの。営業部のほとんどの人間と私の職位は平等であるはずなのに、なぜ彼らは私より高いポジションにあるのか、私の仕事は重要ではないのか?」。

 上級管理職の組織関連事項に対する期待と希望は他の職位よりも高く、職場環境と業務内容における満足度は、他の職位に比べて著しく低かった。中間管理職の仕事に対する満足度はどの面においても、最も高い評価であった。

 新入社員は会社に入社したばかりなので、新しい職場環境と自身のキャリアアップに対し期待と希望が高いのだが、それを実現するには往々にして一定の時間が必要である。非常に多くの事柄に対し、理解をして慣れていかねばならないため、焦りとプレッシャーを感じやすい。よって、彼らは職場環境に対する満足度が明らかに他の職位よりも低かった。

 勤続年数別では、①業務内容②職場環境③仕事と生活のバランスの3つの要素に対する調査結果に顕著な違いが表れた。業務内容と職場環境はともに「逆U字型曲線」を表し、仕事と生活のバランスはちょうどその反対を表している。

 中智徳慧公司のEAPスーパーバイザー、史厚今氏の分析では、このことは、勤続年数が長くなるに従い、サラリーマンの業務内容と職場環境に対する満足度は徐々に高くなり、5―10年経つと低くなる。サラリーマンは一般的に職場や仕事に慣れるまでに1-3年かかり、その後ようやく仕事と生活のバランスが取れてくる。

 収入レベルの異なる従業員間では、特に年収5万元以下の一線都市及びその他の都市の従業員において、仕事の報酬面に対してのみ顕著な違いが表れた。見たところ、新入社員、男性、低収入の従業員に対し、更なるサポートが必要なようである。

 

幸福な陽光を見つける

 調査結果によると、企業にメンタルヘルスケアがあるか無いかで、各要素における満足度に顕著な違いが表れた。メンタルヘルスケアのある企業の従業員の仕事に対する満足度は、メンタルヘルスケアの無い企業よりも明らかに高かった。

 史厚今氏は、この結果を以下のように説明している。従業員のメンタルヘルスに対する組織のサポートと満足度の高低には密接な関係がある。メンタルヘルスケアのある企業では、無い企業に比べ、従業員の満足度は明らかに高く、情緒面においても明らかに快活で、集中力も高い。海外のある研究では、幸福な従業員はより高い生産力を持つことが証明されている。

 個人的な意見としては、明確な計画があり、仕事の中に楽しみを見つけることで、幸福感が更に大きくなると考える。下の2本のストーリーが、何かのヒントとなることを願って…。

 

「人生設計により幸福を感じる」

 劉氏はある会社で営業を担当している。日々の仕事としては、一軒一軒あちこちの取引先を訪問し、よく門前払いに遭い、ひどいときには追い払われることもある。拒絶されることもあるが、しかし多くの場合は仕事をもらえ、取引先と友達になることもある。彼曰く、明確な人生設計があるからこそ、仕事に対する情熱も大きくなる。

 彼の中期計画では、仕事を始めて5年以内に良い成績を収め、昇級すること。しかし、もっと重要なのは、中小企業の責任者達と友達になり、今後の自身の創業のために広い人脈を作ることである。明確な計画を立ててからは、仕事は日々の生活の為ではなく、遠大な理想の為だと考えるようになった。

 よって、毎回新しい友達と知り合いになるか、仕事を一本もらい、ほとんどの時間を楽しく過ごすことができている。多くの人々が、彼の仕事は非常に大変だと言うが、彼自身は心が幸福感で満たされていると語る。

 

「自分のスケジュールを自分で組むことができる幸せ」

 肖氏は市場マーケティングの仕事をしている。出張が多いのはさて置き、目標値が高く、ボーナスを貰うのは容易なことではない。彼曰く、同級生達と比べると自分の仕事は良いとはいえない、彼らの会社ほど有名ではないし、収入も彼らほど高くはない、しかし自分はとても幸福だ、と言う。なぜなら、同級生達は朝早くから夜遅くまで働き、勤務中に私用電話を受ける際はトイレへ駆け込む。

 彼も非常に忙しく、大変ではあるが、仕事の段取りを上手に組み、会社の任務をきちんと果たせば、自分のスケジュールを自由に調整することができる。取引先とのミーティングの後、どこかのカフェでパソコン操作をしたり、本を読んだりする。彼からすると、自分のスケジュールを自分で組むことができる、これこそ幸福と言えるのでは?

 

一言メモ
「職場での幸福感をアップさせる4つのポイント」

  1. まず簡単なことから始める。より多くの成功体験と満足のいくチャンスを創造する。
  2. 仕事と生活により多くの価値を与える。新しい目標と新鮮感は幸福体験を持続させる良い方法である。
  3. 完璧という厳しすぎる要求は必要ない。けちを付けたり、とやかく言って完璧を追求すると、満足感を体験し難く、幸福感からよりいっそう離れてしまう。
  4. メンタルヘルスに気を遣うこと。心身ともに健康であるための意識とライフスタイルは、幸福体験を持続させるキーポイントである。

 

掲載メディア:労働報